不満を意見に変える技術。
「不満」という感情はなくならない。
世の中にはどう健全に生きてきても「不満」という感情が生まれてくることがある。そしてその「不満」という感情は人間関係だけではなく、自分の立ち位置(立場)までも壊しながら蝕んでいくことがある。
それはそうだ。不満というものは伝染するし、その不満分子は組織のリーダーからすれば「排除したくなる」筆頭なのだから。
私は長い間、その「不満」という感情の無い環境をどうしたらつくれるかという観点でいろんなことを考え、そして実行してきた。
その結果何がわかったかというと、「不満」というものをゼロにすることはできないということだ。そしてこれを読んでいるあなたはこう思っただろう。「そんなの当たり前だ」と。
それでも私は、人が持つ「不満」が組織を狂わせ、そしてその不満は伝染し あっという間にその組織は不満の温床化していくということを知っているし数多く見てきている。そしてこうも言っておこう。不満の温床化となった組織は間違いなくポジティブな成果がでない。そのことに例外はない。
もしあなたが今属している会社や組織が不満の温床化しているのなら 今すぐ転属や転職することを私は勧めるでしょう。人は自分の役割と責任の中でポジティブに”コト”を捉えることができなければ 潜在能力を発揮することはできないからだ。
それほどまでに「不満」というやつは結果的に”自分自身を貶める”厄介な感情だ。誰かの何かに不満を感じているだけで、つまりが「自分自身が落ちていく」落とし穴になってしまうのだから。
「不満」と向き合うということ。
不満というのは字の如く「不満足なコト」によって生まれる感情だ。
例えば「給料が少ない」「休みが少ない」「残業が多い」というのも不満の要因になるし、フリーランサーの場合は「値切られる」とか「支払いが遅れる」「直しが多い」という不満もあるわけだ。
私は「結局、不満をなくすことは難しい」と考えたときに、不満を排除するのではなく「受け入れるためにどうすべきか」と考えるようになった。
そしてひとつの方法として「不満と向き合う時間をつくる」という考えに行き着いたのだ。
もう一度言うが、不満というのは「感じているだけで潜在能力に良くない影響を及ぼす」ものだ。これはビジネスだけのことではない。夫婦関係も恋人関係も友人関係も同じだ。相手に「不満」を抱き続けると何かの拍子に爆発することもあるし、言わなくてもいいことを口にしてしまうこともある。
しかし不満は多い少ないはあれどどこかで感じてしまうものでもある。そしてその不満を消化せずにずっと抱き続けるとどうなるか。自分自身の本来の良さや能力が失われてしまうのだ。
相手に抱いた不満なのに、その不満な感情は自分自身へと降りかかってくるのだ。
だから私は「不満」という感情と向かい合いことが必要だと感じた。私の場合はビジネスの上で感じたことだが何もビジネスに限ったことではない。
何かに対する「不満」な感情は、間違いなく自分の潜在能力や本来の優しさ・強さを削ぎ取るほどの厄介な感情なのだ。
「不満」と「意見」の方程式。
不満を持ってしまうことは仕方ないことだとしよう。いや、本当に仕方ないことだと思っている。かく言う私も不満を感じることはあるし、それによって失敗した過去もある。
そこで私がそれをどう克服したかという話をしよう。すでにこの章のタイトルに書いてあるし、そもそもこの記事のタイトルにもあるからわかっているかと思うが、私の場合は「不満を意見に変えて必ず相手に伝える」という方法で克服してきたと言えるのだ。
「不満」というのは私個人の感情だ。「こうしてほしい」「こうしてくれるのが普通」という自分の中のスタンダードと違うことをする相手に感じやすい。
例えば、「これだけ頑張ったんだから給料を上げるのが普通の会社じゃない?」と思っているのに給料が上がらなかったら「不満」。
「予定していた制作時間を相当オーバーしたけどいいものが完成した」と思っているフリーランスに「ちょっと違うんだよね。こことここを直してくれる?」と言われて「不満」。
「また来ますね」と笑顔で言って帰ったのに二度と予約してくれない初めて客に「不満」。
不満を感じているのは自分なのに、相手は何も誰も変わらずに不満分子になっていく自分。落ちてるよね。
その一方で「意見」とか「提案」には”自分の感情”だけでなく相手とのネゴシエーションが必要になるわけだ。
よく夫婦喧嘩をして「話し合おう」となって、お互いの不満をぶつけ合って余計に悪化するなんてあるじゃない?
やはり「不満」というのは「言いたくなる」ものなのだ。言うことで多少スッキリはするのだろうが生まれるものは何もない。あるとすれば妥協だ。
そこで「ネゴシエーションを発揮した言い方」とは何だ?と考えるわけだ。
それを私は「不満を意見に変えること」だと言いたい。そう、それで不満感情を抱いた人も相手の人もポジティブになれる。
「不満を意見に変える」とは?
「不満」を「意見」に変えるのは難しそうだと考える人もいるだろう。実際に私が部下に「もしこのプロジェクトに不満があるなら意見に変えて言いなさい」と言ったら「不満はあるけど それを意見にできませんでした」と言ってきたことがある。
確かに意見とかネゴとか言うとテクニック論だと思う人もいるようだが、私が言っているのはもっと単純な話だ。
「不満」というものはネガティブだけど、「意見」はポジティブだ。
私が言いたいのはつまりはそこだ。特に社内の上司部下の関係性があると「良い意見」を言わなくてはと考えがちだが必ずしもそうではない。
ここで最も重要なことは「ネガティブをポジティブに変換する」習慣なのだ。
例えば、「待遇が不満」だとしたら「この結果を出した上で相談させてください」と言うとか。
「休みがなく不満」だとしたら「工程やオペレーションを見直して、休みが取れてなお成果が上がる方法を考えてみる」とか。
ごく単純なことから始めればいい。ネガティブをポジティブに変換するということは、そう意識して考えているということだけでも環境や組織には良い影響を及ぼす。
決して不満分子にはなるな。あなたの潜在能力を発揮するために、
「不満」は「意見」に変えようじゃないか。
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