社会人院生に講義して、AI活用の勉強法が見えた
このnoteで、「勉強」とは、
と定義しておく。たとえば「仕事などで大きな成果を挙げたい、そのために、①情報を集め理解し、②行動していく」といった場面での、①=情報面についての努力だ。
言い換えれば、インプットではなくアウトプット前提の勉強法。その後の行動への準備段階としての勉強。明確な成果物が出て、はじめて勉強した、と捉える。
インプット型の勉強とは、たとえば語学や資格など、勉強の中に明確なゴールがあるタイプのものがある。この場合、「TOEICの勉強法」と具体化できる。教養としての勉強も、まずは知っておく、というインプット系といえる(※AIを使いこなすためには、教養量は多いほどよく、In/Outの境界はあいまいだが、わかりやすく二択で整理している)
結論として、まずは月3000円をなにかのAIサービスに課金すること。仕事など目標を決め、使い倒し、アウトプットを作ること、を推奨する。
事例:大学院講義
事例として、この秋、法政キャリアデザインの大学院で、社会人院生(と聴講生)さん相手に担当した、僕の講義での経験を説明しよう。
特殊な例と思われるかもしれないが、ビジネスなどの目標達成と、考え方は同じだ。論文作成とは、
①ゴールを明確にし(=解明課題)
②現実を客観視し(=既存情報の整理)
③ギャップを洗い出し(=不足情報の明確化)
④行動により埋めてゆく(=独自調査と考察)
ということ、ロジカルシンキング・問題解決、ビジネスコーチングなどの手法と共通するから。
法政キャリアデザインの院は社会人対象で、平日夜に3時間半、土曜は1日、講義がある。社会人院生は、それぞれ仕事の現場でなんらか課題意識があり、その解明のために集まっている。冒頭の定義でいえば、
となる。
まずは課題解明に必要な情報(文献など)が何かを把握し、集めて、整理する。その時点で完璧に答えが出れば良いのだが、普通なにかしら足りない要素があるので、不足分を自分で調査し(法政キャリアデザイン大学院はここ重視)、橋渡ししながら考察していく。
だから、学術論文を書くという行為は、ビジネスにおいて汎用的につかえる勉強法の習得、となる。
ということは、生成AIを使って、正しく(ここ大事)論文を書くことができれば、ビジネスにおけるAI活用の勉強法がわかった、といえる。
生成AIを使った論文作成法=すなわち勉強法
大学院では、修士論文を提出して審査に通らないと修了できない。だから修論を書く、というプレッシャーがみなさん高い。そのプレッシャーをさらに加圧するのが、学術論文や学術的専門書の難しさだ。
ただ実際には、難しそうに見えるだけで、読み方、扱い方のコツがわかれば、かなり楽になる。読み方よりも、扱い方、にコツがあり、講義では実際の論文を幾つか読みながら説明している。
とはいえ、論文を探し、使えそうなものを選び、理解して、、、というプロセスは面倒。未経験者にとって心理的プレッシャーとなり、一歩目が進まず、修論作成スケジュールが逼迫してゆく。僕自身が10年前、修論書いていて、そうだった笑。
そんな第一ハードルが、生成AIによって、劇的に簡単になっている。(念のため、簡単になったのは序盤の作業であって、手を抜いて簡単に書けるようになったわけではありません)
生成AIの使い方
たとえば、「●●業界における営業職の能力(コンピテンシー)について解明したい」という場合。まずは、AIにほぼそのまま質問する。
くらいで初手は十分。シンプルに質問を重ねていけば良い。たまに「AIを活かすプロンプト」とか見るが、全く無意味だと思う。
すると、幾つも答えを返してくる。最も使えそうなものを選んで、
など、シンプルに、具体化していく。すると、幾つも論文タイトルなどを教えてくれる。概要も知りたければ聞けばいい。
研究テーマだけでなく、研究の手法についても質問する。
などでいい。
こうして、最初に読むべき文献を絞ることができる。すごいのは、こうしたやりとりが、数分間で済んでしまう。
また、この時点で、まあまあ自分の研究の全体像もみえてくるだろう。それを計画書としてまとめて、レビューをお願いすることもできる。
といった壁打ちもできる。
そこから先は、じっくりと読む必要があり、そこは省略できない。しかし全体の効率性はかなり上がる。
なお、これらの指示はほぼ音声入力、マウスの親指クリック1つで起動
AIさんとおしゃべりするだけ、むちゃくちゃ楽。
追記:無料AIはオモチャ、有料AIはプロの道具
講義では、このプロセスをライブで行う。みなさん無料版のは使っているが、こういう使い方はしておらず、みなさんびっくりされる。その情報をみながら、講師である僕は質問やアイデア出しをしていく。
その効果は大きく、受講者さんが発表するそれぞれの研究計画が、Before/Afterで、激しく変わる。
この差は、有料版で、具体的な質問を繰り返すことで、はじめて見えてくる。無料版のChatGPTでも「すごい」という感想は出るだろうが、仕事で差をつけるのは有料版であることが第一条件、次にその使い方。まずは3000円を課金しなければ、使い方は見えてこない。
生成AIにより序盤は楽になるが、全体では手を抜けない
全体では、手を抜くことができないのは、AI以前と変わらない。だから、知識・経験の浅い学生には難易度が高いと思う(しかも自分でそのことに気付けない=この点は、学生さんは自覚しておいたほうがいい。楽をしたつもりが、就活ES全落ち、とかで気付くことになるかもしれない)
知識経験の多いベテランほど、AIは使いやすいはずだ。ちょうど日経ビジネスの河合薫さん連載でそんな話が:
生成AIは、極めて有能だが、主体性が全然ないので、指示がとても大事。AIに対してどこまで指示できるかが、AI時代の能力だ。
AIに任せられる作業と、人間が注力すべき思考行動
このテーマはClaudeさんに聞きました。月給3000円の働き者です
AIに任せるべき作業
情報の初期収集・整理 (既存研究の概要把握・関連文献の検索・トレンド分析)
定型的な文章作成(文献リストの作成・基本的な要約・フォーマット調整)
人間が注力すべき部分
研究設計(問いの設定・独自性の確保・調査手法の選定)
批判的分析(情報の信頼性評価・矛盾点の発見・新たな視点の提示)
実践的検証(現場での観察・インタビュー実施・データの解釈)
・・・
つまり、既存の文章など情報整理はAIが得意だが、自分で調査するオリジナル部分は、人間だけのオリジナル領域、といえる。
まあ理屈はこれくらいで。
まずは、やってみること。
あらゆる勉強法の、基本。
結論: まずは月3000円をなにかのAIサービスに課金すること。仕事など目標を決め、使い倒し、アウトプットを作ること、を推奨する。
トップ画像のネットはAIとかけています(かかってません←ネットだけに)