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「外食市場の6割、旅行市場の2割」はもうソロ客が支えている。いつまで戦艦作るつもり?

日経にも当たり前だが、ソロ活支持層の記者は一定数いて、たまにこうしたソロ活(ソロ外食やソロ旅)についての記事が出ます。

こちらは2019年の記事。

そして、こちらは2018年、僕のインタビューを紹介する形で朝刊の一面でも扱われたものです。

日経だけではなくNHKでも取りあげられました。


僕は、2014年からずっと市場におけるソロ活市場を提言し続けてきたわけで、その内容はソロ社会におけるマーケティングについての拙著「ソロエコノミーの襲来」などに書きました。


未婚や晩婚、独身生活者の増加を人口動態面だけからとらえるのではなく、マーケティングの観点からとらえなおすと新たな市場がそこに発見できます。企業への講演、ヤプリなど各種ウェビナーやレギュラーでやっている宣伝会議の講座でもそうしたことをお話しているわけです。

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コロナ禍において、親の仇のような扱いを受けた飲食業界ですが、特に定食屋や居酒屋系は大打撃を受けました。しかし、同時に20時で閉店などの制限によって大打撃を受けたのもソロたちなのです。

彼らにとって外食は、食費の半分以上を占めますし、実額で一家族分以上どころか1.7倍くらい外食に費やします。

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そもそも夕食の時間が遅い。20時に店を閉められてしまったら行けるわけがないのです。

独身の外食がなくなったからといって業界的にはたいした問題ではないだろうと思われる方は、認識を改めた方がいいと思います。外食産業を支えていたのは独身者(特に男の)だし、彼らのソロ外食です。20-50代の独身男女だけで総外食市場の60%を占めます。いかにソロ客が大事かおわかりでしょう。

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旅行も同様です。

旅行もコロナ禍の影響を受けて打撃をこうむっていますが、なかなかグループや家族での旅行が行きづらい中で、宿泊業界にとってせめてもの希望の光明はソロ旅の拡充ではないでしょうか?

そもそもそソロ旅の市場規模がどれくらいあるかを理解している人は少ない。旅行業界の人間でさえも。とある旅行関連の大きな企業にかつて「ソロ旅」について提案したことがありますが、若い人たちは理解できても、決裁権のある40代以上のおっさんたちがまあ理解できない。

「ひとり旅なんてやってる人間なんて少ないし、そこを狙っても意味ないだろう」というわけです。

そういうところは本当にヤバいと思います。どれくらいヤバいかというと、第一次世界大戦後、これから航空機戦争に時代になるというのに、大型戦艦を作り出すくらいヤバいのです。

2019年の旅行・観光動向調査によれば、年間のソロ旅(国内旅行)の延べ人数は1億1370万人。日本の全人口に匹敵する人が年間ソロで旅行しています。さすがに家族の旅行延べ人数には負けますが、夫婦の9900万人、友達同士の7050万人なんかより圧倒的に多い。もはや全旅行延べ人数の20%がソロ旅になっているわけです。

日本人国内旅行消費額は21兆9,312億円ですが、そのうちの4兆1000億円はソロ旅です。これも19%を占めます。もちろんこのソロ旅はすべて独身者というわけではありません。既婚者もソロ旅はします。

ソロ旅については、かつてテレビ番組の「アメトーーーク」において眞鍋かをりさんが的確なことをおっしゃっていました。

「スケジュールと予算と価値観の合う友達ってほぼいなくない?」

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まさにその通りで、友達と夏の旅行の話を進めているうちに夏が終わってしまいます。行きたい時に、パっと行ける。特にスケジュールを組むことなく、行ってから気の向くままに旅をする。そんなソロ旅が独身に限らず、ウケるのは当然なのです。

本当は一人で行きたいのに、周囲に合わせて我慢するくらいならさっさと一人で出かけましょう。一人では旅行なんか寂しくて行けないという人も、一回経験してみてはどうですか?意外に寂しさは感じないものですよ。

一人だからこそ、見知らぬ人に気軽なく話しかけられるということもあります、人見知りな人でも。旅の恥はかき捨てといいます。誰も自分のことなんか知らないと思うと人間は大胆に行動できたりするものです。

「一人でごはんを食べる・一人で旅行に行く」それは決して、一緒に食べるあ相手や一緒に行く相手がいないから仕方なくやる行動ではなく、そういう相手がいようといまいと、独身だろうと既婚者だろうと、時と場合によって「一人でも楽しむ」という方向性になっていくべきだろうと思います。




長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。