9月7日から水際対策の緩和決定。これでインバウンド旅行者は本当に戻るのか?~目の前の絶望と、近い未来の希望を語る~
岸田首相が今日11時~の記者会見で、9月7日からの水際対策の緩和を発表されました。
ポイントは、
1日の入国者数上限2万人(現在)を、上限5万人(9月7日から)引き上げて、添乗員なしツアーも認めるというものです。
しかし! これではインバウンド旅行者は、ほぼ戻ってこられないのです。
※以下を読んで納得、あるいは、インバウンドベンチャー代表(私のこと)が可愛そうだと思ったら、スキじゃなくてもスキください…♪
コロナ禍前の訪日外国人旅行者は8割が個人手配の個人旅行者(FIT)
なぜ、入国上限2万人が5万人になっても、インバウンド旅行者が、自由に日本入国できないのか?それは、個人旅行者が対象外となっているからです。
国土交通省観光庁発表の「訪日外国人旅行者消費動向調査」(2019年年次報告書)の5P目にあります図表1-10 旅行手配方法(国籍・地域別、全目的)によりますと「すべての国・地域」においての旅行手配方法において「個別手配」つまりは個人自由旅行者(Free Individual Traveler)による旅行が約8割(76.6%)となっています。
訪日外国人旅行者消費動向調査(2019年 年次報告書)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001345781.pdf
つまり、首相は記者会見で「パッケージツアーのみ」と明言していましたので、個別手配のFITとよばれるFreeIndividualTravelerが約8割が対象外となってしまいます。
岸田首相は、記者会見にて、「先進7カ国(G7)並みの円滑な入国が可能となるよう、さらに緩和を進めていきたい」とも述べています。つまり現段階の水際対策の緩和は、先進7か国(G7)並みの円滑な入国緩和には、まだ及ばないというご自覚の上での今回の発表だと思われます。
真の「観光開国」は、いつになるのか?
では、真の観光開国はいつになるのでしょうか。日本の水際対策の緩和は、これまで「段階的に」進んで参りました。
なので、いずれは国際交流正常化および円安ニッポンの経済再生のためにも個人旅行者(FIT)も解禁されることと思いますが、もうこればかりは現在、政治判断となっているので私にもわかりません。
時間の問題…なので、おそらく9月あるいは10月ぐらいではないでしょうか。最近のニュースで県民割が延長され、全国旅行支援(旧GOTOトラベル)は当面見送りというものが出ています。
県民割といっても実は7月の参院選前に地域ブロック割という風に行先が拡大しています。仙台在住の方なら宮城県だけでなく東北6県に対象が割引対象になっているという具合です。(ただし東京都だけ除外されています)日本の観光旅行消費額というのは全体で約28兆円ほどもある大きなものですので、地域や事業者の経済対策として、参院選終了後には、本当は全国旅行支援も開始したかったに違いないのですが、コロナの第7波がきてしまいました。インバウンドは急成長市場ですが、まだ国内旅行消費の4分の1以下なので当然、優先度が下がります。
9月末でもし県民割が終了すれば、10月から全国旅行支援が開始でき、それに続いて訪日の個人旅行者も入国OKするという順番かと推測します。
個人旅行者(FIT)解禁されればコロナ禍前の水準に戻るのか?
では個人旅行者(FIT)さえ解禁されればコロナ禍前の水準に戻ってくるのでしょうか。インバウンド旅行者は相互の地域交流、つまり、日本に自由に遊びに来ることができても、自分の住んでいる国・地域に戻るときに隔離措置がある場合には、気軽に旅行にやってくることはできません。
そのため、訪日旅行者が多い国・地域の水際対策の状況が重要なファクターになってきます。
コロナ禍前(2019年)は、どんな国・地域から訪日外国人旅行者が来ていたか?
以下が観光庁発表の、コロナ禍前の2019年、日本に来ていた外国人旅行者の国・地域の内訳です。
中国・韓国・台湾・香港の東アジアで全体の7割、
東南アジアを含めるとアジアで8割を超えます。(82%)
「日本のインバウンドは、アジアからが8割」ですので、このアジア諸国がどういう入国緩和をしているかが大事になるわけです。
結論から言うと、中国「×」香港「△」台湾「〇」です。
すみません、韓国を除外しちゃったのは、韓国の観光消費額が低いため、WAmazingの注力マーケティング対象は中国と香港と台湾だからです…。(自社都合で申し訳ないです…)
以下は観光庁さんの資料から、いかに「中国・台湾・香港」からのお客さんが、「消費単価が高くて」「リピート率が高い」日本にとって経済効果の高い良いお客さんであるかということがご理解いただけるかと思います。
【中国】ゼロコロナ政策が続くと思われ、インバウンド旅行者需要回復観点では「×」と言わざるを得ない
2019年には960万人の中国人が訪日。これは日本にとって人数でも第1位であり、消費額でも第1位です。つまり、インバウンドによる経済活性、地方創生効果としては中国からの旅行者の貢献度が高い。
しかし、中国は「ゼロコロナ政策」を継続しています。
14億人を擁する大国であり、鎖国を続けても経済ダメージが少ない(内需が強い)ことや、中国政治にとって非常に重要なイベント「共産党大会」を控えていること(今年は10月16日に開幕)、そして何より今年の共産党大会は5年に1度の国家主席選挙をあわせて実施することになっており、そこに対して、習近平国家主席が憲法改正をしてでも、異例の3期目に意欲を見せております。(今までは国家主席は2期8年までが慣例でした。しかし、習近平氏は、2018年に憲法を改正し国家主席の任期制限を撤廃しています)
つまり、ものすごく気合いが入っているわけでして、中国共産党大会が無事に閉幕するまではゼロコロナ政策を転換するとは到底思えないわけです。
ですので、中国からのインバウンドの本格的な需要戻り回復予測としては、「楽観で来年の春節ごろから、悲観では来年の後半以降、最も悲観では、習近平氏の3期目の任期が終わるまで(つまり5年後)」というものになっています…。(涙)
いくらオミクロン株が弱毒化しているといっても14億人に一斉に発熱されてしまっては国も経済も機能不全に陥るでしょうから…。
【香港】中国による同化政策は気になるもののコロナ対策については「1国2制度を元に中国と全く同じではない」と香港の保健長官が発言のため「△」
つづいて香港、です。昨今の政治的情勢を踏まえると香港は中国による同化政策の影響を強く受けています。しかし、香港は、もともと国際経済都市として発展してきました。また14億人の人口の中国に比べ、香港の人口は750万人です。この750万人という数字は、ほぼ愛知県の人口(愛知県民)と同じです。もし仮に、愛知県が日本から独立しようと思ったら、めちゃくちゃ他国と交流せねば経済が成り立たないのは自明の理として理解できるかと思います。
そのため香港の保健長官(日本で言うところの厚生労働大臣みたいなお立場か)は「コロナ対策については1国2制度のもと、中国は香港に同じ政策を要求していない」と明言しています。つまり香港独自の水際対策の緩和があり得るということですね。
また、香港の保健長官は「検疫なしにできるのは11月頃かも」という発言もしています。
こちらは確定ではありません。引き続き香港ニュースをウォッチしていきたいたいと思います。
香港はイギリス文化影響を強く受けているため、クリスマスホリデーで、12月中旬ぐらいから長めにお休みを取る人が多いため、そこに間に合わせてくる可能性もあるのではないかなと思っています。
【台湾】既にゼロコロナ政策からウィズコロナ政策に転換済み。個人旅行者の復活について中華圏3地域の中では最も期待できるので「〇」
最後に台湾ですが、こちらは「〇(まる)」予測です。
中国×、香港△ときて、嬉しい〇(まる)です。
台湾政府はコロナウイルスの主流がオミクロン株になり弱毒化して重症化率が低くなった春あたりから、成功をおさめていたゼロコロナ政策からウィズコロナ政策に転換してきています。
先日、8月26日に、台湾の交通部觀光局が、記者会見しました。交通部観光局というのは日本で言うところの国土交通省観光庁みたいな部門です。
内容は、最速9月末から観光客受け入れを行うというもの。ただし、隔離、受け入れ人数などの詳細は公表されませんでした。
グローバルマーケティングには1-2ケ月時間がかかるので、台湾内の人を海外に出すよりも先に、場合によっては、海外の人を台湾に受け入れると明言しました。
※ただ台湾のBA5の感染が拡大傾向で9末にピークアウト予測なので、その状況によってはまた変更の可能性あり
これはつまり何を言いたいかというと、台湾も台湾にとってのインバウンド旅行者が欲しいんですね。なので日本の発表を待たずに「日本人は台湾に遊びに来られるよ!」と早めにPRしたんだと思われます。緩和されたからといって「明日、台湾いこう」とはならないですから、1,2か月前に発表することが大事ですね。
少なくとも「台湾からのインバウンド個人旅行再開」という夜明けは近い!
インバウンド関連産業の皆さん、希望を持って粘り腰で待ちましょう!
先のデータでも提示したように「台湾」からの旅行者は489万人いました。日本にとっては1位 中国(960万人)2位 韓国(558万人)についで、第3位 台湾(489万人)です。
さらに人口対比では、どうでしょうか?
中国は14億人、韓国は5000万人、台湾は2350万人です。
ということは、人口対比で訪日旅行に来ているのは台湾が世界第2位なんです。え?じゃあ、世界1位はどこだって??
訪日客数は「のべ」でカウントされていて、人口は「ユニーク」でカウントされていますから、割り算するのは正確な計算方法ではないものの、一応やってみますと、中国の場合は全人口の0.68%が訪日していて、韓国は全人口の約11%、そして台湾の場合は、全人口の20%です。5人に1人です。
そして香港は2019年に229万人の方が訪日いただいていますが香港の人口は750万人です。(愛知県民と、ほぼ同じ)香港に至っては、全人口の30%、つまり約3人に1人が訪日してくださってるんです。なので、香港が世界第1位ですね。
台湾も香港もさほど大きな地域ではないですから、あまり国内旅行という概念や市場がありません。
私たち、日本人が、近隣県へ温泉旅行や北海道、沖縄にいく感覚で日本に来ているというのが台湾、香港の方々です。
現・岸田内閣は2016年に第2次安倍内閣が掲げた「明日の日本を支える観光ビジョン」の目標を変えずに堅持しています。この目標では、2030年に6000万人の外国人旅行者を迎え日本国内での消費額15兆円を目指すとしています。
本noteに引用した数字は、ほぼ国土交通省観光庁や日本政府観光局(JNTO)による発表数値で、これを岸田内閣が知らないはずはないので、きっと、次の水際対策の緩和は「個人旅行者(FIT)解禁」だと信じています!
現在の「円安」はインバウンド市場にとっては「追い風」になります。
間違いなく日本経済の活性化にとっては欠かせない一手になるでしょう。
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そしていよいよ、元々やっていたプラットフォーム(OTA)事業を再開する時期がきました。
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ここからは、希望しかない!
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