お仲間集めて自分らの懐を潤すことだけ考えている人達

少子化は婚姻減であるということを言い続けてきて、それはやっと政治の世界でも認識されてきたと思ったら、今度は「婚活支援だ」とか短絡的に言い出してるのは、ホントにどうしようもないとしか言いようがない。
とはいえ、官僚は頭がいいのですべてわかった上で「本気でやる気はないけどやった感だけ出す」ってことをさせられているのだろう。

この件について、以下のようなヤフーコメントを出した。

大事なのは「婚活支援」ではなく「若者が若者のうちに結婚して家族を持てると思える環境支援」であるという前提認識が先。そうした環境を整えれば、結果的に婚姻数も出生数もついてくるでしょう。 そして、その環境のもっとも比重の大きい部分は経済環境です。経済的にゆとりのある若者しか結婚も出産もできなくなっているという現状を正確にとらえ、表面的な賃上げなどではなく、実質可処分所得をあげて、中間層の若者の心の余裕を整えるという方向に目を向けてほしいもの。

これには、1.2万以上もの「参考になった」ボタンが押されている。

言っちゃなんだが、「婚活」なんて言葉を使えば使うほど婚姻数は減るよ。そもそも今の若者が「恋愛離れ」しているわけでも「結婚離れ」しているわけでもなく、皆婚時代とたいして違いはない。
結婚に前向きな若者の割合は1980年代から40年間変わらない。

https://toyokeizai.net/articles/-/739476?page=2


https://toyokeizai.net/articles/-/739476?page=2

変わったのは若者の価値観ではなく、それがなかなか実現できなくなってしまった環境の問題である。ぶっちゃけ1990年代の若者より2020年代の若者の方が実質可処分所得が低い。それも当然で、90年代は国民負担率も低く、消費税もまだ3%で、何よりボーナスからは社会保険料はひかれない時代だった。あの頃の若者と今の若者とでは経済環境が全く違う。

そして90年代までは職場結婚がお膳立てをしていた。強烈に「結婚したい」などという意識がなくても、猛烈に個人が努力などしなくても、気が付いたら「結婚してた」という社会環境も違う。それがいいか悪いかは別にして。

つまり、結果として婚姻数の減りをおさえたいのなら、それは婚活支援をすることではなく、若者の環境を整えることが先なのだ。そこを間違えるから的外れになる。

一事が万事、子育て支援ばかりやるから子育てコストがあがってしまい、かえって少子化を促進しているということと同じになる。政府が婚活支援などすればするほど婚姻のコストが急騰し婚姻数は減るぞ。

そして発表されたこのワーキンググループのメンツを見て、思わず絶句。一体何をやろうとしているのか。

このメンツを見て違和感を覚えるのは私だけではないだろう。東京工業大学特任教授の西田亮介氏も以下のようなヤフーコメントを書いている。

別に大学教授比率が減るのはいいと思うが(どうせ御用学者しか呼ばれないから)、聞いたこともないような企業が呼ばれているが、誰がそれを選んだのか?というのが全く見えない。お友達ですか?

そもそも電通がいることから、広告屋にありがちなグルイン調査に金をかけたり、インフルエンサーに金をかけたりするんじゃなかろうか。動画作ってバズらせましょうとか提案しそうでこわい。

はっきり言ってムダ金だよなあ。

と思ったら、この研究会そのものがこども家庭庁からの意識調査競争入札によるものらしい。

https://twitter.com/yuchikoyama/status/1814496771131035758

入札参加企業一覧を見ても「ああ…」としか思えないけど、落札金額が2230万ねえ…。そんなにコストかからないけどねえ。何やるのか知らんけど。利益率高そう。

こういうニュースもある。

「自治体はいいカモ。(自治体は)結果は二の次で、予算を使ったことが成果。こう考える職員の価値観が、結果を出さなくていい悪質なコンサルを招く」

自治体をこども家庭庁に変えても言えることだろう。

しょーがない。自治体や官庁というものは「お金は生み出さない」で「お金をただ使うだけ」のところだからだ。むしろ「お金を使う奴が出世する」。

それ以外も、地方創生とかデジタル田園都市なんちゃらとか大体公金チューチュー横流しビジネスになる。そしてそれが常態化し、利権ビジネスとなって、政治家にとってもうまみのあるものになるし、官僚にとっても天下り先ができておいしい、と。
政治家、官僚、企業が手を取りあって「お主もワルよのう」の世界を作っている。

別に、「小さい政府」や「夜警国家」にしろという極論は言わないが、いい加減、何かやった感を出したくて金をバラマいたり、無駄に使ったりした挙句、何の効果も得られないばかりか、そのしわ寄せが全部国民負担の形で返ってくるという悪循環を断ち切ってほしいものだ。

長い歴史を見ても、国が亡ぶ直前には、こうした利権構造が常態化し、一部のそれを享受できる層が「俺たちは国民みんなのために頑張っている」などと大きい声を出しながら、お仲間だけを集めて自分らの懐を潤すことばかりするようになってるもの。

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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。