日本はいびつな男女不平等社会。その原因と対策
世界銀行は190カ国・地域の経済的な権利を巡る最新の男女格差調査を公表し、日本は103位でした。女性の職業選択や賃金、起業に関する制約が低評価の要因です。
また、経済的な環境だけではなく、結婚の環境に関しても、厳しい現実が示されています。ツイッターで盛り上がっていましたが、先進25カ国の男女の未婚・既婚別の幸福度調査の結果も、男女における結婚の影響のいびつさを表していました。
この世界価値観調査の図から読み取れることは、
・日本の未婚男性の幸福度は最下位 → 結婚すると、幸福度が飛躍的に高まる
・日本の未婚女性の幸福度は世界1位 → 結婚は幸福度へ、さほど影響しない
という事実です。
男女ともに常に幸福度が低位で安定してしまっているギリシャを除けば、結婚は、どの国でも男女ともに幸福度を上昇させますが、日本だけは事情が異なり、結婚は男性のみが得をする不平等な状態になっています。
幸福度に差が出る原因
別の調査から、既婚女性の幸福度を変化させる大きな要因は、夫婦関係の満足度にあることがわかっています。
夫婦関係が、「満足」から「普通」、「不満」へと変化するにつれ、女性の幸福度は大きく低下しています。
既婚時の幸福度が夫婦関係に依存するのは議論の余地がなく、他国でも同じ傾向はみられるはずです。
相対的に日本の既婚女性の幸福度が低く抑えられているというのは、他国に比べて、妻は夫に対して不満を抱いていることが想定されます。
夫への不満の背景
人は誰しも、自分の育った環境しか知らないため、それを常識として、是とする傾向にあります。そのため、自身の子どもの頃の家庭環境は、世界の常識であり、正しいものであるとし、疑いもしないものです。
しかし社会は変化しています。
日本における世帯人数の平均値は下降の一途です。核家族化が進行しました。
また、1980年と比べ専業主婦は半減し、共働き世帯が増加して、既婚家庭の大多数は共働き世帯になっています。
現代では、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らしながら、専業主婦のお母さんのいるサザエさん一家のような家庭を見つけるのが、難しくなっています。
頼る人がおらず、夫婦ともに働いている環境であれば、双方が家事や子育てに責任を持つ以外の選択肢はありません。もし、家事と子育てをどちらかに依存する場合、片側が大きな負荷を担う不平等な状況が発生します。
自分の父親は、家事を一切やっていなかったから、子育てに関わっていなかったから、それが常識であり、自分もそうするべきだと考えてしまうことは、人間の特性上、避けられない面もあります。
しかし、このままでは、夫は家庭の美味しいところだけを搾取するフリーライダーになってしまいます。
結婚後の不平等の解消を目指す
進化心理学では、人間は自分だけ得をするフリーライダーを極度に嫌うと断じています。
例えば、アマゾンに住むアチェ族は、日常的にジャングルへ狩りに出かけます。彼らの文化では、自らの獲物を食べることが許されておらず、他者の獲物を食べることが決まりとなっています。そして、長期間にわたって獲物が取れないと『罪を犯した』と判断されます。
人間ではありませんが、南米に生息する血吸いコウモリの事例も興味深いです。そのコウモリは代謝が早く、2日続けて血を吸えないと餓死してしまいます。吸った血を不運な仲間のために分け与える行動が観察されており、人間社会における互助組合のような役割を果たしていることがわかっています。
しかし、常に血が分け与えられるわけではありません。以前にどのくらいの血を分け与えたかという回数は仲間から記憶されており、少ない仲間は見殺しにされます。
我々は、一方的な負荷に対して精神的に耐えられない傾向にあります。既婚女性が不満を抱くのは、とても自然な感情です。
そして、片側に重荷を置く行為は持続的な関係性の発展を損ない、因果応報で自らに返ってくるはずです。
既婚男性は、古い常識に囚われず、立ち止まり、何が起きているのかを把握し、考えを改めることもできるはずです。
# 2022年4月18日追記:「未婚男性と既婚男性の幸福度の差異」は、結婚を通じて変化していることを論旨の前提としています。しかし、世界価値観調査は結婚前後で実施されているわけではないため、アンケート結果から断定することはできません。既婚グループは結婚してもしなくても幸福度が高く、未婚グループは結婚とは関係なくそもそも幸福度が低い可能性もありますが、個人の経験や周囲の状況から、結婚による状態変化が差異をもたらしていることを仮定しています。
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