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Neuro Diversity=神経多様性のある社会に向けて

先日、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder = ASD)を中心とするコミュニケーションを研究している大学教授とお話する機会がありました。

自閉スペクトラム症(ASD)は「病」ではなく、一種の「認知スタイル」と考えられているそうです。そもそも自閉的特性は連続体(スペクトラム)である。Neuro-Typical(定型発達)と、ASDの間には明確な線引きがあるわけではなく、グラデーション。そのグラデーションの一部には、ASC(Autism Spectrum Condition)という特性ゾーンがあり、10人にひとりくらいいる、と言われているそうです。

この認知スタイルを測定する「自閉症スペクトラム指数(AQ)」というものには、以下のような項目があるとのこと。
* ほかのことがぜんぜん気にならなくなってしまうくらい、何かに没頭してしまうことがよくある。
* パーティなどよりも図書館に行く方が好きだ。
* 他の人が気がつかないような細かいことにすぐ気付くことが多い。
* 特定の種類のものについての(車について、鳥について、植物についてのような)情報を集めることが好きだ。
* 自分がすることはどんなことでも慎重に計画するのが好きだ。
など。

こういう人、いるじゃん、周りに! という感じです。けっこう面白い人で、仕事としても頼りにしている人で、でもちょっとクセがあるなあ、という人。心当たりがありませんか。そして、また、このASDおよびASCの人たちは、認知の解像度が高いのだそうです。

美術) ミケランジェロ、ゴッホ、アンディ・ウォーホール
音楽)サティ、バルトーク、グレン・グールド
物理学)ニュートン、アインシュタイン
論理哲学)ラッセル、ウィトゲンシュタイン
上記は、自閉スペクトラム特性を持つと思われる人たち。

認知の解像度が高い人たちだからこそ見える世界があるのだそうです。その高い解像度が、視覚に向くのか、聴覚に向くのか、論理に向かうのか、そこの嗜好性は個性で別れるのだとか。ただ、芸術か数理かに進むことが多いそうです。そして、それは解像度の違う人たちにはなかなか理解してもらえず、少数派であるがゆえに共感を得られる仲間が見つけられづらいという現状があります。

フロー状態を維持する人たち
ほかのことがぜんぜん気にならなくなるくらい何かに没頭してしまうことがよくある、という状況は、まさに「フロー状態」と同じである。

・その瞬間に行なっていることへのきわめて限定した集中
・行なっている行為と意識の融合
・自分を見ているという自意識の喪失
・自分の行為のしっかりしたコントロール感
・時間感覚の歪曲

まさに、フローです。そう考えると、自閉スペクトラム症は、極めて高い認知能力を持ち、年中フロー状態にいる人々と考えられるのかもしれません。

コミュニケーション研究として、テーブルトークRPGを活用しているそうです。ASDの人は、無目的な雑談が難しいのですが、テーブルトークRPGのように、枠組みがあり、設定がある上でのコミュニケーションは成立するのだそうです。また、ロールプレイすることで役割が付与され、会話を楽しいと感ずるようになるのだとか。さらに、そうした対話をコーディネートするゲームマスターに敬意をはらい、自らそれをやってみたいと思うようになった人も出てきたとのこと。

これを、ものすごい高い解像度でやれたら面白そう。なんちゃってファンタジーではなく、世界観設定から本格的に取り組み、Neuro-Typicalな人たちとの共創もふくめ、Neuro Diversityの実現に向けた面白い活動を企画していこうと準備をはじめました。

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