見出し画像

デートは「男がおごるのが当たり前だろ?」論争【コラム17】

「デートでは男がおごるのが当たり前か」問題。

男が全額おごるべきですか?ワリカンでもいい派ですか?

僕は、定期的にソロ生活者の実態把握のために、座談会形式の定性調査を実施しています。先日、30代独身女性の座談会を実施した際、まさに「デートでは男がおごるのが当たり前か否か?」が話題に上り、ことのほか議論が盛り上がりました。ちなみに、座談会の参加メンバーはバリバリと仕事をこなし年収も意識も高い女性たちです。

そこで出た意見について、今回は漫画で紹介しようと思います。

© 荒川和久 無断転載禁止

© 荒川和久 無断転載禁止

© 荒川和久 無断転載禁止

© 荒川和久 無断転載禁止

「男がおごるべき」という彼女たちの主張をまとめると、以下の3点です。

1. 初デートは男がおごるのが当たり前。なぜなら、女性は化粧品や洋服など見えないところでお金を投資しているから。

2. 初デートは男としてのプレゼンテーションの場。気概を行動として見せるべき。そういう視点で考えれば、そもそも割り勘なんてありえない。

3. そもそもファミレスでしかおごれない収入でデートに誘うな。金を稼いでから来い。

まず1点目についてですが、男性からしてみれば反論したい部分もあるでしょう。化粧品はともかく、男性でも洋服くらいは買います。もちろん、男性より女性のほうが美容やオシャレにお金がかかることは理解できますが、そもそもそうした「自分磨き」は、男性からおごられるためにやっていることではないと思うのですが……。

一方、2番目の「気概を見せろ」という部分はどうでしよう?多くの男性は納得してしまうのではないでしょうか。まだ付き合っていない段階の初デートであればこそ、男性の本気度を可視化してほしいという彼女たちの気持ちもわかります。自ら稼いでいる彼女たちは、男性に経済的依存を求めて「おごられたい」のではなく、気持ちの問題だと言っているのです。

最後の「金を稼いでから来い」は、前2つとは明らかに論点が異なります。というより、矛盾しています。本来は「男がおごる」という行動の是非を問題にしていたはずなのに、3番目は行動評価ではなく、男性の経済力のなさを問題にしてしまっています。

「気概を見せろ」と言いつつ、実はその前に「絶対値としての経済力」という足切りラインが存在するのです。いうなれば「金がない男はお断り」ということです。しかし、こうした経済力での過度な足切りこそが、婚活女性が「結婚できない蟻地獄」に陥る元凶でもあるのです。それこそ、私がこの連載でも繰り返し提示している未婚化の根本的な要因(男女とも結婚できない原因は金)が潜んでいます。

ちなみに、独身女性が全員「男がおごるべき」とは思っていません。むしろそういう思考の人は少数派です。2016年に僕が定量調査した結果によれば、既婚女性で「おごるべき」という人は3割にも満たない。おごるとかおごられるとか、そんなことにいちいちこだわる女性ほど結婚できないのかもしれません。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。