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インターネットに関する広告のお金の支払いルールを真剣に考える時では

2017年に熱く議論された広告の透明性は?

 インターネットには、実に多くの広告が登場する。Webサイトにはバナー広告が、検索画面には検索ワードと連動した広告が、動画サイトには動画広告がと、本当にさまざまだ。その多くの広告は、表示回数か、クリック回数に基づいて、広告主はお金が払う。コンピューターを使った広告なので、実際の実績に基づいてお金が支払われることが、他のメディアにはあまりない特徴だ。

 テレビ広告は、何世帯化のサンプルによるデータに基づいて、視聴率が推計され、視聴率を参考に広告の金額が決まる。しかし、全世帯のデータではない。インターネットの広告は全数のLogから支払う金額が決まる。このことから、インターネットの広告は、非常に透明性の高い取引と当初は思われていた。

 しかし、もしこの「クリック」が人ではなく、コンピューターに仕掛けたプログラムがクリックしたとしたらどうだろう。実は、人によらないクリックは、すでに発生している。そして、この問題は、2017年1月に、米プロクター・アンド・ギャンブルが問題を提示し、日本でも当時議論された。

 広告の費用の透明性については、この時期から日本でも議論されていたが、大きな進展はない気がする。現在、多くの広告主は、その広告費用の流れよりも、どの記事と一緒に広告が出るかというBrand Safetyに多くの時間を費やして対策していると思われる。

 もちろん、Brand Safetyは多くの広告主にとって問題である。ただ、この問題は客観性があまりなく、この記事と一緒に広告が出るのは良い、悪いというのは、ある意味主観的で、広告主が違えば、基準が違うだろう。また、大企業でいえば、Brand Safetyは確かに広告を選定する、宣伝部・広告部の仕事だ。そして、お金の流れの問題は、財務、会計部門の仕事だ。しかし、この問題を知っている、財務・会計部門はあまりに少ないのではないだろうか。

 コンピューターに広告がクリックされて、そのお金を広告主が支払っているとすれば、これは明らかな詐欺被害で、客観的にも証明できる。そして、それを放置していても良いことはない。もし日本の広告主が、このことに声を出さなければ、日本以外からもこのような不正を行う人たちを、日本の広告市場に呼ぶことになるのではないか。すまり、クリック詐欺の温床を作ってしまうのである。私は、Brand Safetyよりも、「クリック詐欺」の問題の方が、先に解決すべき問題だと考えている。

その広告の問題が、スマートフォンのアプリでも

 そして、この問題が、スマートフォンのアプリでも行われているようなのだ。

 残念ながら、この問題は、パソコンや携帯で表示する広告ゆえに、常に起こる問題だろう。広告商品が開発されれば、新しい広告詐欺の方法が開発されるだろう。

 この問題は技術の問題ではなく、広告の監査の問題や、お金の支払いか他のルールの問題だと思う。インターネットの広告に、抜き打ちで詳細分析を行い、不正なクリックがないか、調べるようにする。また、一定のこのような不正な行為があっても、それでも支払うルールを整えるなど、広告主と、広告業の企業と、議論してルール整備することが重要だ。

 今までは、問題が大きくなかったかもしれないが、この問題はこのままだと必ず拡大する。その前に、インターネットの広告に関しての、お金の支払い方のルールを真剣に再整備するときになったのではないだろうか。

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本間 充(アウトブレイン顧問/アビームコンサルティング顧問)

1992年に花王に入社。デジタル・マーケティングをリード。現在は、コンサルタントとして企業のマーケティングのデジタル化を支援。ビジネスブレークスルー大学の講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授、事業構想大学院大学 客員教授。著作として「シングル&シンプルマーケティング」

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