SNSを軸にした、企業のSDGsに向けた取り組み10選
2015年9月に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。2030年までに持続可能でよりいい社会の実現を目指すための国際目標として、世界中で目標の達成に向けたプロジェクトが生まれています。
今回のコラムでは、数あるSDGsプロジェクトのなかでも「SNSを活用したもの」に焦点を当てて取り組みを紹介します。
ここ数年は、国や自治体だけでなく、企業や消費者の間でも取り組みが生まれていますが、その動きに特に注目しているのはZ世代です。
Z世代は子どもの頃から気候変動や海洋汚染などの問題が身近にあったこともあり、「サステナブル」や「エシカル」など環境に良いアクションをすることが当たり前。
そんなZ世代を巻き込むには、若者の消費行動の中心であるSNSを活用するのが一番効果的でしょう。
▼Z世代の消費行動については僕の著書『エモ消費』で詳しくご紹介しています
SNSを軸にしたSDGsの取り組みは、若者を巻き込んだSDGsプロジェクトといっても過言ではないのです。
1.魚ミールパックのサブスクサービス「フィシュル」
旬の魚のミールパックを毎月届けるサブスクリプションサービス「フィシュル」。
九州のスタートアップ・ベンナーズが、規格外サイズや一般認知度の低さを理由に加工されない未利用魚を活用したミールパックを30日ごとに自宅に届けています。水産加工業の面からSDGsに挑む取り組みとして注目を集めているサービスです。
TwitterやInstagramなどのSNSを通じて、アレンジレシピや未利用魚の魅力を日々発信し続けており、魚の調理が難しいことを理由に魚食離れが進む若者や主婦層に「作れそう!」と思える機会を提供しています。
2.SDGs×エンタメでZ世代を巻き込む!「REGENERATION FESTA」
湘南を拠点にSDGsに関わる活動をするZ世代グループ「NAMIMATI」が主催するイベント、「REGENERATION FESTA」。
これからの社会を担うZ世代が、世界で起きている問題としっかりと向き合い、持続可能な未来を築いていくため、エンターテイメントを融合させた次世代の祭典です。
告知や宣伝にSNSが使われることはもちろん、当日は、アーティストによるショーやディスカッションタイムのほか、SNSを用いた抽選会を行うなど、さまざまなアプローチによってイベントが盛り上げられました。
https://www.shonan-namimati.com/2022/06/17/regeneration-festa-2022/
3.私物出品でポイントが当たる!メルカリのInstagramキャンペーン「インスタフリマ」
Instagramを利用したキャンペーン施策として挙げられるのはメルカリの「インスタフリマ」。
メルカリでは事業を通じて地球環境に対してポジティブなインパクトを生み出つづけていくことで、環境課題の解決に貢献する「プラネット・ポジティブ」を掲げ、循環型社会の実現や環境負荷軽減・気候変動に取り組んでいます。
Instagram上に使わなくなった私物を投稿することで、メルカリポイント5,000円分が当たるこのキャンペーンでは、インフルエンサーも着なくなった私物を出品するとともに、コーデを作成し投稿。
インフルエンサーを巻き込んだSNS施策によって、フリマが「中古品の購入」ではなく「エコへの取り組み」というカルチャーとして見られるようになりました。
4.ハッシュタグ×YouTube動画を活用「LIXILスペシャルマッチ ~SDGs アントラーズと考えよう。地球のこと、未来のこと。~」
株式会社LIXILと鹿島アントラーズによって開催されたサッカーイベント「LIXILスペシャルマッチ ~SDGs アントラーズと考えよう。地球のこと、未来のこと。~」でも、SDGs×SNSの取り組みが見られます。
スペシャルマッチに向けた企画「アントラーズと始めよう!リクシルSDGsフォトコンテスト」では、SDGsの達成につながる取り組みを専用フォトフレームで撮影し、その写真を紹介コメントと一緒に投稿するキャンペーンを実施しました。
抽選で選ばれた人には、サッカー試合のSUITE BOX観戦招待などの豪華賞品が。選手たちがSDGsについて学ぶ特別動画がYouTubeで公開されるなど、SDGsへの関心が集まるきっかけとなりました。
5.おにぎりの写真投稿で給食を届ける「おにぎりアクション」
おにぎりの写真投稿がアフリカ・アジアの子どもたちの給食になる取り組み「おにぎりアクション」。
「おにぎり」の写真をSNSに投稿すると、認定NPO法人TABLE FOR TWO Internationalを通じて、1枚の写真投稿につき給食5食分に相当する寄付を、セブンイレブンやセレナなど30を超える協賛企業が提供。
世界の食の不均衡と、肥満と飢餓の問題について考えることのきっかけになる気軽なアクションとして、2022年には47都道府県37カ国から投稿が集まり、150万食以上が子どもたちに届けられました。
6.YouTubeでBGMを配信「Green Music produced by Zurich」
気候変動問題に対して関心を持ち、それぞれの立場で行動を起こす「きっかけ」を作るYouTubeチャンネル「Green Music produced by Zurich」。
チューリッヒ保険会社によるこのチャンネルでは、ユーザーから楽曲のテーマにしてほしい場所を随時募集中。気候変動の取組みに賛同するアーティストがその土地をテーマに楽曲を書き下ろし、アニメーションと融合させたBGMを配信しています。
2023年5月時点でチャンネル登録者数は6万人を超えています。
7.サステナブルなファッションショー「美少女図鑑COLLECTION」
株式会社美少女図鑑による、“次世代美少女の原石”によるランウェイショー「美少女図鑑COLLECTION」。
2023年5月に開催された第3回目では「地方創生×持続可能」をテーマに、ヴィンテージ総合プラットフォーム「VCM(Vintage Collection Mall)」とのコラボステージを実施しました。
それに伴い、出演モデルのオーディションをライブ配信アプリ「ミクチャ」で開催。
一般公募によって集まった、地元にゆかりのある美少女が、地方発のヴィンテージショップのアイテムを取り入れたサステナブルファッションを身に纏い、各地の魅力やSDGsにつながる身近なアクションを提案します。
8.海藻の魅力をTikTokで発信「MISAKY.TOKYO」
海藻を使ったフードテック事業を展開するCashi Cake inc.が展開する和菓子D2C「MISAKY.TOKYO(ミサキ・トウキョウ)」では、TikTokアカウントの運営を強化しています。
ブランド商品であるCrystal Treats(琥珀糖)の情報発信と、ファンとの交流の場として運用を始め、完全無広告でフォロワー100万人を突破。
海藻は、地球上の約30%の二酸化炭素を吸収するといわれている一方、一定の大きさ以上巨大化すると二酸化炭素吸収力が衰えてしまうため、定期的な収穫をする必要があります。
その観点から「食べることで地球環境が良くなる」食材として、SDGsの文脈で注目を集めています。
世界中の人々を健康に幸せにするだけでなく、地球環境問題の改善にも挑戦する取り組みです。
9.ドラマ仕立てで事業を紹介「北海道推しごとオーディション」
最後に、僕の経営する僕と私と株式会社からも2つのプロジェクトをご紹介します。
まずは、三菱UFJ銀行が行った地方創生プロジェクト「MUFG北海道推しごとオーディション」。
北海道で環境社会課題解決に取り組む事業を公募し、審査会を通過した事業をTikTok動画で紹介するというものです。
Z世代に自治体の事業を見てもらい、社会を動かす一員となってほしいという想いから生まれたこのプロジェクト。ぼくわたはプロジェクトのアドバイザーとして企画・運営を⾏いました。
動画では、ドラマ仕立てのストーリーを通じて事業を紹介。登場⼈物の名前を北海道の町名にし、ストーリーの中で事業内容の紹介をすることで、堅いイメージのある地方創生やSDGsに関する自治体事業をわかりやすく訴求しました。
10.脱炭素社会を目指して情報を発信「CQ」
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、一人ひとりがライフスタイルについて考え、行動を変えていくことを目指すプロジェクト「CQ」。
環境負荷を下げる行動をセルフチェックできる指数「CQ(脱炭素指数)」の開発を行う関西電力との取り組みです。
インフルエンサーやアーティストへのインタビューコンテンツの配信や、Twitterでの脱炭素に関するトピックスやプレゼントキャンペーンの展開を通じて、ゼロカーボン社会に向けた行動変容を呼びかけています。
また、CQでは現在、脱炭素指数を計測する機能を開発中。本格的なサービスの展開を前に、幅広い層への「CQ」認知拡大に取り組んでいます。
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僕と私と株式会社では、SNSを活用した取り組み以外にもさまざまなアプローチ方法によってSDGsに取り組んでいます。
「若者を巻き込んだSDGsプロジェクトを動かしたいけど、どんな施策が良いかわからない」という企業の皆さま、一緒に意義のあるプロジェクトを咲かせてみませんか?ぼくわたがきっと力になります。まずはお気軽にご相談ください!
※このnoteは個人の見解です。
今瀧健登について
1997年生まれ。Z世代へのマーケティング・企画UXを専門とし、メンズも通えるネイルサロン『KANGOL NAIL』、食べられるお茶『咲茶』などを企画。
Z世代代表として多数のメディアに出演し、"サウナ採用"や地方へのワーケーション制度など、ユニークな働き方を提案するZ世代経営者。
日経COMEMOでは、Z目線でnoteを綴り、日経クロストレンドでは、「今瀧健登のZ世代マーケティング」を連載中。
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