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テレワーク下のマネジメント、本当に「成果重視」でいいの?!

こんにちは、ナラティブベースのハルです。テレワークが続く中、「マネジメントや人事評価を変えていかなければならない」という声が多く聞きかれますが、「自社の正解」をしっかり見つけることができている企業はまだまだ少ないのではないでしょうか。
様々な専門家や調査考察の記事では、「時間やプロセスの管理が難しくなっている。目標・ゴール設定を今まで以上に明確化し成果を重視すべきだ。」という考え方が主流のようです。
あなたはどう思われますか?
この記事では、そんな「成果重視」への切り替えが、果たしてテレワーク下のマネジメントの問題を解決するのか?をテーマに、みなさんそれぞれの「自社の正解」を考えるヒントをお届けできればと思います!

知らず知らず、部下の不安を煽っていませんか?

テレワーク下でも適切な評価ができるように、部下と成果定義を今までよりもしっかりと握ろうと工夫される管理職の方がいらっしゃいます。もちろんそれ自体は間違っていませんが、実は、その「成果重視」シフトの動きが、部下を不安に陥らせることがあります。ナラティブベースのお客様でも、実際、企画職の方がこんな不安を打ち明けてくださいました。

「時間を使っただけ業務が進むという職種ではないので、自分が四苦八苦しているプロセスを見せられないまま成果だけみられると思うと、不安から逆に今までより集中できなくなってしまった。」

このテレワーカーの「人事評価に関する不安が根強い」という傾向は、以下の日経の記事で紹介された2つの調査結果の共通点としても取り上げられ、「成果重視」へのシフトが評価される側の不安と強く結びついていることは確かと言えそうです。

また、同記事内の調査でも課題として3位に上がっていた「オフィス勤務者との評価の公平性」という項目にも、管理職としては注目が必要です。というのも、「職種間、部署間の不公平感」についてもテレワーク推進の現場でよく聞かれる声で、これには管理職の振る舞いや言動が密接に結びついているからです。

テレワーク下の「あるあるNGマネジメント」4タイプ

こういった「知らず知らずのうち」も含めた、テレワーク下でありがちなNGマネジメントタイプをわたしなりに4分類してみました。もちろんこれ以外にもあるかもしれませんが、少しだけ身に覚えがないかな?もしくは自社で起きていないかな?という視点で読んでみていただけたらと思います。

<テレワーク下の「あるあるNGマネジメント」4タイプ>
● 急な変化や理由不明が原因の『不安助長型」
● 任せても、人が育たない『おまかせ・とりあげ型』
● 慣れるまでのつもりが泥沼に『マイクロマネジメント型』
● 統率を理由に柔軟性を失う『ルール遵守型』

『不安助長型」
人は、急な変化理由のわからないことに不安を覚えます。既出の急な「成果重視」シフトで不安をあおってしまうケースもそうですが、もう一つ挙げた「職種間・部署間の不公平感」が起きるのもこのタイプです。「なぜこっちはこうなのに、あっちはああなの?」と、不公平に見えてしまうのは、その理由がよくわからないということに起因しているのがほとんど。差がある理由や判断の根拠が共有されれば不安解消につながります。
「最初は不安だけどそのうち慣れるだろう」という考え方もありますが、いらない不安をあおり能力の発揮を邪魔したり、モチベーションを下げている可能性もあるので今一度見直してみることをお勧めします。

『おまかせ・とりあげ型』
「成果重視」に切り替えるべきという考え方が「任せる」という行動につながる
のは当然です。でも任せたままアウトプットまですり合わせや進捗確認なしでは、出てきたものが違っても当然です。忙しい管理職の方には耳が痛いかもしれませんが、スケジュールの問題から直しの指示や指導をする時間もなく取り上げて自分でやってしまうなんてことも…。でもそれでは、成果も評価できない上、成長機会を奪ってしまうことになってしまいます。

『マイクロマネジメント型』
上記の2つとは逆に、見えない不安から細かい指示や確認を行うマイクロマネジメントに陥ってしまう場合もあります。特に、新人や新しく配属になった異動者、転職者に対して、テレワーク下では顔を合わせてOJTというわけには行かないからと、最初は細かく慣れていってから手放そうとして、敢えてはじめてしまうケースも。その場合、空気を読むことに一生懸命な部下は、合わせようとするあまりに自分で考え自分で業務を組み立てる主体的な態度が逆に出しづらくなり、上司はマイクロマネジメントがやめられなくなるマイナススパイラルに陥るケースもあるので注意が必要です。

『ルール遵守型』
最後に、「成果重視」の別の形として、自分のチームや部署の成果をテレワーク下で落としたくないという理由で、統率を取ろう、管理をしっかり行おうとルール遵守を求めすぎる方向に振れる場合もあります。特に在宅で業務を行なっているメンバーの場合、環境や家庭の事情でイレギュラーな対応・判断が必要となる日もあるでしょう。その時、柔軟な対応で支援することが検討できない上司は、自分の方ではなく上を向いて仕事をしている人、と部下に捉えられてしまうかもしれません。

いずれのタイプもマネジメントをなんとかテレワーク適応させようと工夫をした結果ではあるのですが、違った課題が湧き上がってしまうという意味で陥りがちな罠、NGタイプとしてみました。

「管理する」から「自己管理を支援する」へ

さて、ここまで問題点ばかりをみてきましたが、ではどのように工夫の仕方を変え、解決していくやり方があるのでしょうか?
「不安を煽らず、成果を取り上げず、細かく指示せず、柔軟に・・・」
そんなこと言われても!!!と思った方に、お伝えしたいのが「管理する」から「自己管理を支援する」へという発想の転換です。

今では当たり前の考え方になってきましたが、テレワーク下で必要となってくるのは部下の自律的な行動です。ところが、4タイプでも見てきた通り、上司が管理→評価することを考えすぎてしまうと、不安を生み主体性を奪う結果になりがちです。そこで、管理の主体を部下に切り替え、部下が自己管理→成果をだす工夫を先に考え、それを上司が支援できるように工夫すれば、実は結果的に、管理も評価もできる流れへつながっていきます。

テレワークのメリットをマネジメントで最大化する

テレワークのメリットとして一番に上がるのが移動時間の削減や効率化ですが、実はそれ以上にメリットがあるのが、業務をオンライン化することによる「プロセス見える化(共有)」「ログ(記録)」です。そして、この2つのメリットは上司が部下の「自己管理を支援する」のにもってこいの特徴です。自分の過去記事を引用させてもらうと、具体的に以下のようなことが可能となります。

今何をしているのか?どのような経緯があったのか?どこでつまずいているのか?何に時間がかかっているのか?原因は?そういったことを理解するためのログがクラウド上にある状態では、ありがたいことにオフィスで直接相談や確認をしていたときよりも状況把握がたやすくなります。
気に掛ける必要のあるメンバーや業務はアラート機能をつかってリアルタイムに追いかけ声を掛けることもできますし、ログを使って後からいっしょに振り返り、内省を手助けすることもできます。
つまり、管理職側はリアルで行うよりもずっと多くのことを知れ、メンバーは知ってくれているという安心感の中で仕事ができる利点があるのです。
<以下、自身の過去記事より引用>

上記の記事でも触れていますが、こういったプロセス共有の工夫や習慣ができていくと、蓋を開けてびっくりするような行き違いや管理の抜けもなくなり、評価も自ずと経緯を汲んだ適切なものになっていきます。


さて、最初の問いに戻りましょう。
「成果重視」への切り替えが、果たしてテレワーク下のマネジメントの問題を解決するのか?
仕事ですから、もちろん成果が重視されるのは当たり前ですが^^;
その手前のプロセスについては、オンラインならではの工夫をする余地がまだまだありそうです。
わたしは、プロセス共有・ログを用いたコミニケーションなど、オンラインのメリットを最大限に生かし工夫することで、「自己管理支援」という新しい管理の仕方が可能になり、マネジメントが変わっていくのではないかと考えています。

コロナ禍はまだまだつづきそう…まさに、変革の時です。
それぞれの「自社の正解」を、いっしょに見つけていきましょう!

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