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創業6年目にして初めて新卒採用の春に思うこと

WAmazingはこの春、2022年4月、創業6年目にして初めての新卒社員を2名迎えた。コロナ禍がなければ、もう少し早かった可能性はあるが、なんにせよ、まだインバウンド需要が回復しない現時点で、WAmazingを選んでくれた2人には感謝しかないし、同時に責任もズシリ…と感じている。
※ちなみにまだ2023年度新卒採用の予定はありません。

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なぜ、責任をズシリと感じるかといえば…

なぜズシリと重い責任を感じるかといえば、それはやっぱり新卒は、経験者採用とは違う重みがあると感じる。もちろん、経験者採用(中途)も気軽な気持ちでやっているわけではない。その人の人生を、ご家族の生活を、1度きりしかない人生のキャリアの一時期をお預かりするという気持ちで採用している。だから採用にあたっては最終面談で必ず全員に(オンライン前提ではあるが)会ってお話させてもらっている。しかし、経験者採用というのは、既にビジネス経験がある方々であり、それを踏まえて転職して弊社を選んでいただいている。
しかし、新卒は違う。
社会人として社会で働いたことのない、いわば生まれたての赤ちゃんの最初の「親」になる覚悟を問われる。私自身が新卒で働いた会社に感謝があるので、それを彼らにしてあげたいという「恩送り(PayFoward)」の気持ちもある。

自分自身の新人時代はダメ会社員

私は大学卒業して新卒社員としてリクルートに就職した。結局、18年3か月在籍したリクルートが私にとって、最初で最後の「勤めた会社」だ。(もちろん、何かしらの理由でいつしかWAmazingを離れた後、どこかの会社にイチ社員として勤める可能性もゼロではないが、おそらく…)
自分の会社員時代を振り返ってみると、特に社会人1年目は、我ながら酷いものだった。まず大学時代、ほとんど午前中に起きたことがない自堕落な生活を送っていたせいもあり、「朝起きて、連続5日間、会社にいく」ということが苦痛でしょうがなかった。大学ならば1限に必修の授業があるなど1年生の時ぐらいだから2年生以降は朝は起きないし、私は大学の最寄り駅に住んでいたから”学住近接”で、付き合ってた彼氏は車持ち(中古のジムニー)だったから数か月も電車に乗らずに暮らしていた。つまり毎朝起きて電車に乗って通勤するなんて苦行中の苦行だったのだ。まぁ、こんなダメサラリーマン状態が、今年の春、日経新聞に「私の新人時代」としてインタビューされ、全国のビジネスパーソンにさらされている。世の中のすべての「新卒社員」へのエールになるのか?不明だが、「自分より酷い人がいる」ということで安心してもらえれば幸いである。(2022年3月28日日経新聞掲載)

ちなみに、上記インタビューには掲載されていないが、記者さんに語った新人時代のダメ社会人エピソードとしては「研修で堂々と寝ていて、人事部の人に怒られる(諭される)」というものもある。こちらは以前、日経産業新聞コラムに書いていた。どうやら私は「自分のダメ人間っぷり」を全国にさらすのが好きらしい。


目指すべき山が見つかっていなくても焦らなくていい。キャリアはまず「川下り型」で

日経新聞でダメ新人時代を全国にさらした理由は、フレッシュマンたちに伝えたいことがあったからである。なりたい自分も、つきたい職業もなかった私は、たまたま、川下りの最中に(30代後半になってようやく)登りたいと思う山を見つけた。だから、「フレッシュな新卒ビジネスパーソンたちよ、焦らなくていい。目の前の仕事を一生懸命やろう。職業人生は長いのだから」ということが言いたかった。ちなみに当社WAmazing入社式の祝辞でも同じことを語った。でも、これを読むと、不安になるかもしれない。「最後まで川下りだったら、どうなるの?山がいつまでも見つからなかったらどうするのか?」
…実はそれでもいい。
そうすると、おそらく、やがて「大海原」に出るのだ。キャリアの終盤戦に、目指す山の頂にいるのも良いと思うが、大海原にいるのも、また良さそうだ。想像で書いているのは私もまだ終盤戦にはいないからだ。
ちなみにこの「川下り、山登り型キャリア」の話は上司の受け売りで、上司にこの言葉をもらったときは、ひどく安心したことを覚えている。その経緯は以前、日経産業新聞のコラムに書いた。

リクルートへの感謝①女でも容赦なく鍛えていただいた

リクルートは私が採用されたときも、そして今も男女の差がない。私が就職活動をしていた1997年当時は、多くの企業が女性新卒社員を募集していた。1985年に制定され、翌1986年に施行された男女雇用機会均等法から約10年が経っていた。しかし多くの企業の採用は「女性一般職」と「女性総合職」がわかれていた。(そして女性総合職の数は少ない。一般職のほうが多い)そして「男性一般職」という募集はなくて、男性は総合職採用しかないのである。私は、こういう企業では働けない、と感じていた。「女性」という世界の約半分が該当する属性で入り口を区別する企業ではなく、加藤史子という1人の人間をみて採用してくれる企業じゃないと、女性である自分はすごく働きにくいのではないか…と思っていたのである。20歳そこそこの自分の感覚はたぶん、正しかった。複数企業の内定をもらい、しばし悩んだすえにリクルートに決めた。私の選択は正しかったと思う。社会人の基礎を作る最初の3年間ぐらいで「1人の人間」として鍛えてもらった。この3年間がなければ、今の私は絶対にない。
だからこそ、WAmazingに入社した新卒社員についても、社会人最初の一歩のこの場で鍛えなくてはという責任を感じる。

リクルートへの感謝②創業者が突如消えた元祖スタートアップでの学び

ここに感謝しているのは今、私がスタートアップ創業経営者だからだろう。
リクルートの原点は1960年に江副さんが始めた「大学新聞専門の広告代理店」が原点である。だから私の入社時点で既に創業38年が経過していた。スタートアップなんて言葉は当時なかったが、いわば「元祖スタートアップ」「元祖・学生ベンチャー」だ。現在ではもう創業60年を越えるリクルートは老舗企業といってもいい規模なのに未だにベンチャーっぽいカルチャーを持つ不思議な会社だ。私は約6年前にWAmazingを起業したが、起業しての働き方は、リクルート時代との働き方に比べてほぼ変化もなく違和感がなかった。リクルート時代も新規事業開発ばかりやってきたというのもあるだろうが、何よりリクルート自体がスタートアップっぽいのだろう、60年経って、なお、である。そして、もう1つ特徴的なことがある。日本における「元祖スタートアップ」というのは、カリスマ的な創業経営者によって率いられていることが多い。例えば、ソフトバンクは孫さんだ。例えば、楽天ならば三木谷さんだ。例えばユニクロならば柳井さんだ。もうすこし新興に目を移して、例えばサイバーエージェントでは藤田さんだ。例えばDeNAならば南場さんだ。創業経営者というのは基本、キャラが超☆濃い。(美しくいえばカリスマ性がある、となるが)
そもそも、その濃いキャラのもとに集まった奇特な方々によって最初の組織ができているのだから、その組織文化にてリーダーシップを発揮できる。問題は後継者だ。創業経営者がつくった組織文化・カルチャーを土台として、さらに企業を発展させるような後継者探しに苦労する例は多い。(柳井さんも孫さんも南場さんも、トライしては出戻っている)
しかし、リクルートは違う。創業経営者だった江副さんはリクルート事件により代表を去り、社会の表舞台からも去った。リクルート事件は1988年だから私が入社した1998年は事件から10年後だった。(でもまだ1兆円を超える有利子負債を返している最中だった)だから私は1度も、江副さん本人にお会いしたことがない。しかし彼の存在・キャラクター・思想・文化は色濃く今も継承されていた。会社ではそれを「DNA」などと呼んでいた。最初は「DNA(遺伝子)だなんて人間みたい」と最初は思ったが、確かに起業は「法人」とよばれ”人”がつく。法人には人格があるのだ。
この創業経営者が突然消えた特異な元祖スタートアップでの日々は、未来の私に役に立つ気がしている。つまり学びを活かして努力すれば、上手に社長をやめられるのでは、という期待だ。
私は、もともと「起業したい」とか「社長になりたい」という願望は1ミリもなかった。もし、そんな願望をもっていたら、40歳までリクルートに勤めていることはなかったと思う。18年3か月もサラリーマンをやらず、さっさと20代で独立しているはずだ。だから、たまたま目指したい山が見つかってしまって、誰もやってくれなさそうだから自分が社長になると決めた30代後半のある日から、「私は果たして、上手に社長を降りられるのだろうか」というのが心の中の心配事としてくすぶっている。社長を「やめたい」という意味ではなくて、自分以上にWAmazingという法人を成長させられる適任者がいるときが来たら、執着を持たずに手放さなくてはいけないという自戒に近い。人間育て(育児)も、法人育て(創業成長)も、手塩と愛情をかけて育ててきた相手だけに、いかに自分の寂しさを我慢し執着を手放し、相手のさらなる成長を後押しできるか、というのは、なかなか難易度が高い。
先日のSmartHRの宮田さんブログには共感しかない。

だから新卒で入社した会社への感謝を2つ。
1つ目の感謝は新人時代という過去の自分を育ててくれた過去への感謝、
2つ目の感謝は、もしも、いつか会社の成長のために自分が去らねばならない時がくるならばその時に多くの示唆をくれるだろうという未来への感謝だ。

先日、入社した新卒社員が20年後にWAmazingに何の感謝をしてくれるか

今の延長戦上に未来を考えるフォーキャスティングではなく、ありたい世界を描き、バックキャスティングで今何をすべきかを考えると、先日、入社してくれた2名の新卒社員が「20年後の彼らが、新卒で初めてはいった会社(WAmazing)に何を感謝しているだろうか」と考えた。やはり、最初はちゃんと鍛えるというところだろう。
そして2つ目はやはり、WAmazingがめちゃくちゃ成長する、ということだろう。成長市場に身をおいたスタートアップが成長するように、成長企業に身をおいた新卒社員もまた、成長するだろう。
ちゃんと鍛える、というところは、当社の取締役COOがやってくれると言っている。そう、私は実は新卒社員育成なんてやったことがないのだ。(COOは人事部長の経験がある)私の役割は2つ目、WAmazingをめちゃくちゃ成長させる、ということだ。新卒が入ってなくても、もちろん邁進していたのだが、さらに気合が入った。というか、共同創業者とともに前職をやめた時から、1人目の社員を雇った時から、1回目の外部資金調達をした時から、もうとっくに戻れないが、改めて、何十回目かのPoint(s) of NO RETURNである。




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