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Long Covid - 医療体制を抜本的に見直さない限り希望者ワクチン全員接種しても緊急事態宣言が永遠に解除できないその理由

永遠に解除できない緊急事態宣言?!

今日は、8/31。夏休み最後の日。そして7/12から始まり8/22に解除予定だった日が延長された日。但しそれは、9/12に再延長され、再々延長される見通しだ。もう、全国どこでいつから緊急事態宣言下なのか、複雑すぎて誰も把握できていない。解除はいつになるのか。少なくとも9/12ではなさそうだ。

「新規感染者の基準を見ると、東京一つとっても(1日あたり)500人未満にならないと解除できない。現状を考えるとかなり難しい」(田村憲久厚生労働相は29日NHK番組)

新規感染者数は、8月後半4,000-5,000人で推移している。これが10分の1の500人になる日が来るのか、政府の対策を検証してみる。

1. 緊急事態宣言が与える危機意識

過去4回の緊急事態宣言で確認されたが、不思議なことに「緊急事態宣言が出るぞ」という前後のタイミングで、実行再生産数が低下を始めるという現象が繰り返されている。最後の2021/7/12の緊急事態宣言は、オリンピック期間中の発令を避けたい政府が、10日前倒しで始めたため少しズレている。しかしながら、感染拡大の兆候を察知した一部、感染に敏感な人は自粛活動に入るためか、実行再生産数は下がり、感染の「爆発」を避ける一定の効果はある。

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但し、再生産が1弱程度の高止まりで、少しづつ感染者数が何週間もかけて減っていくという傾向が続くだけだ。デルタ変異株によって感染速度が早まり、一気に多数の感染者数になった場合は、高い水準で感染者が発生し続けそれに伴って重症患者も増える。地域医療に責任を持つ知事や国民が日本版ロックダウンの必要を訴える理由だ。


2.人流削減対策

分科会は、「人流5割減」を求めて、百貨店地下の食品売り場などの人出の強力な抑制、テレワークのさらなる強化、県境を越える移動の自粛などの対策を柱にまとめたが、これらが実効性のある対策になるとは到底思えない。

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主要駅で人流は1割減程度だ。個人の飲食店は4-5割は時短営業していない。

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例えば渋谷では緊急事態宣言宣言以降も、渋谷区内の居住者の人流は2019年と比較して2割しか減少していない。繁華街では8月下旬の、緊急事態宣言の再々延長発表以降、先の見えない事態に諦めてかむしろ増えている。

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実際には人流5割減にはほど遠い。

3. ワクチン接種

今回のワクチンはあまりの早期開発に実効性や副反応が不安視されていたが、やはり感染防止にも重症化防止にも有効な優れものだ。

大阪府880万人の今年3月1日〜8月15日の間の新規感染者8.3万人のうち、ワクチン2回接種後14日以降に発症したブレークスルー感染はわずか317人。重症者、死亡者ゼロだ。

政府は、8/29時点でのワクチン接種の全人口に占める割合が53.1%(1回目)、2回目(42.49%)と発表している。しかし、その多くは優先接種の高齢者だ。総人口の3割がほぼ9割接種を完了している。

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人口密集地帯で感染を広げる若者層の接種状況はまだまだだ。例えば先程の渋谷区は、20-30代は、まだ45%(1回目)、17%(2回目)程度の接種率だ。

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渋谷区の状況は8月下旬現在予約状況に余裕があり、渋谷区民は予約すれば明後日にでも打てる状況にも関わらず、ワクチン接種の副反応に過剰に反応し様子見が多いのか接種がなかなか進まない。

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そうしたなか、センター街のように一部の繁華街の人流はむしろ増える傾向にある。

ワクチン普及下での感染長期化を予言していた尾身会長とアメリカの近況

実は当時、あまり話題にならなかったが、分科会の尾身会長は、今年3月の時点で既に、国会答弁で「今年12月ごろまでに全国民の6~7割の接種が一巡したとしても、依然としてクラスター(感染者集団)や重症化は起こり得る」と説明している。

事実接種が先行するアメリカでは、少なくとも1回接種していた人は6割を越えていたにも関わらず、

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デルタ株の蔓延で入院患者は、9週間前の6倍以上、昨年の11月下旬から1月のワクチン接種開始直前のレベルの入院患者10万人以上まで悪化している。

冒頭の田村厚生労働大臣の発言のように東京都の感染者数が500人未満/日にならないと解除できない、としているが、

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今年に入って、東京都の感染者数が500人を切っていたのは、3月と6月の一部、91日のみ。残りの150日(62%)は基準の500人を越えている。そして500人を最後に越えた7/6以降はずっと増加傾向が続いている。

受け入れ医療体制抜本的に見直し新規感染者500人の基準を変更できない限り、永遠に緊急事態宣言は解除できない。

野戦病院施設は誕生するのか

緊急事態宣言頼みの限界が露呈し、医療体制を抜本的にコロナ専門の医療体制を構築しない限り、逼迫状態は続き通常医療にも影響する。都では確保病床5967床に対し、25日時点で4154人が入院。使用率は既に7割に上る。10,026人(同日時点)が入院・療養等調整中で、自宅療養中に死亡する事例も続出している。また、既に救急車のたらい回しで、救うことできたはずの緊急医療で命が失われるケースが頻発している。

そもそも何よりも先の見えない緊急事態宣言の延長に次ぐ延長は、市民のモラル・ハザードを起こしつつあり、なし崩し的に感染リスクを伴う日常生活が再開し人流も増え、重症者数に歯止めがかからない。

東京都は何故か一貫して、つい最近まで野戦病院に反対だった。

東京都には豊富な医療資源があります。役割分担をして、必要な施設を整備しながら体制をつくってきました。宿泊療養施設での抗体カクテル療法をできるようにしたり、酸素ステーションの整備も進めています。いわゆる野戦病院のように患者を1カ所に集めてオペレーションするのが効率的との考え方があるのは承知しています。しかし、医療資源があるのに、わざわざ、医療的に環境の悪い体育館に臨時病床をつくる必要性はない。検討する予定もありません」(感染症対策部)

何故、医療資源あるのに緊急事態宣言が解除されないのか疑問だ。

最近ようやく、東京都も東京都医師会も、方針転換の兆しが見える。

「国の求めに応じこれから検討していく。患者を1カ所で集中管理する野戦病院的な施設は今後、必要になると思う」(都幹部、8/24)
先々週、尾崎会長は
・開業医がコロナを診る
・在宅医療で対応する
・初期治療もする、などを発信された。
これは、180度方向転換、である。東京都医師会を受けて先週は、大阪府医師会の茂松会長も、尾崎会長と同様の発信をなされた。東京と大阪が変われば、全国の医師会に波及する(長尾和宏長尾クリニック院長)

脆弱な医療体制の再構築ができない限り、緊急事態がむしろ日常となる日々が続く。ワクチンの供給が安定して希望者全員が接種しても、一定の割合の忌避者が存在する限り、残念なことだが海外の様に変異種により希望者が全員(7-8割)接種したとしても、非ワクチン接種者(2-3割)において何度でも「クラスターが発生する」(尾身会長)。日本人の真面目な国民性に期待し自粛効果の楽観的希望的観測から抜本策を先送りするには、もう限界だ。



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