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当の子育て世帯からも「いらない」と言われてしまう庁って

最近少子化周りの仕事も多くて、テレビや雑誌の取材もそれ関係が大半を占めている状況なのですが、Xなどで「こども家庭庁」についてポストすると、まあバズることが多い。

みんな不満持っているのだ。

しかも、不満を持っている層として、以前は、この庁に無関係な独身などが多かったのだが、最近はまさに子育て世帯の人が増えた。

このポストの引用ポストやリプライを見ていただければわかるが、「子育て世帯だけどあんなのいらない」って声が多い。

それをまたポストしたら、いいね2万以上の大バズり。

それもそのはずなんですよ。

子育て支援とか錦の御旗立てているけど、やってることは結局のところ増税と社会保険料負担増だから。岸田内閣の時の異次元の少子化対策とかいって結局のところ「子育て支援金を徴収します」という話でしかなかったわけで。

これは何度も言ってるけど、「配った上で後で全部徴収するなら最初から、配らなくていいから取るな」とみんな思っている。

みんなもう忘れてるかもしれないが、2009年に旧民主党が政権取って、そん時の公約で「こども手当」なんてのをぶちあげていたわけだが、結局公約の額には足らない手当しか実現できず、それどころか、その時まであった年少扶養控除が大幅に削減された。結局、いってこいで手取りはたいして増えてない。

で、その後、政権奪還した自民党も選挙時には「年少控除復活」と言ってたのに全然復活しない、と。

その後も、やれ所得制限だなんだかんだと理屈つけては、とにかく「絶対に国民の手取りを増やしてなるものか」という狂気すら感じるようなことばかり。

結論から言えば、児童手当の拡充などせずに、年少扶養控除の枠や年齢をちょっと拡大しただけの方が、効果もあったし、子育て世帯も助かったはずなんですよ。だってその方が中間層以上なら手取りは絶対増えるから。

少子化対策として子どもの数を増やしたいのなら本当はそうするべきだった。一方で、低所得で子どもを育てている層に対してだけは給付すればいい。控除してもそもそも納税額少ないからメリットはないのでね。

本当はそういうバランスと効果を考えてやんなきゃいけないのに、選挙ウケだけを狙って「配ります」って野党も与党も言い出して、その挙句、「配るけど手取り減る」というバカなことがずっと起きていた。

財務省は絶対にタダでは配らないのよ。配るならその分きっちり回収するから。

そんなことを続けて、結局本来第三次ベビーブームがくるはずの1995-2005年にはまったく出生の山がてきず、2005年以降に至っては東京以外、結婚も出生も激減した。

東京の出生率が全国最下位とかいうから誤解があるけど、出生率が低いのは、東京には異常に若い未婚の女性が多いからであって、実は日本の出生は東京(正確には8大都市)によって支えられている。

支えられていると書いたが、当然絶対数は減っていて、結果として大都市比率が高まってしまったのは、結局「カネがないと子ども産めない」という出産のインフレが起きたからです。東京23区で子のいる世帯の中央値は1000万円超えだからね。

なんでそうなったかというのも、児童手当なんかのせいです。

児童手当をもらっても、じゃあもう一人子どもを産もうなんてことにはならなくて、今いる子のための投資に使おうという意識が働く。結果、塾だ、習い事だ、家庭教師だ、などと教育費がかかり、1990年代までと比べて圧倒的に子ども一人当たりのコストがインフレを起こした。
この頃、メディアも「子ども一人を大学まで行かせたら何千万円」とかよく喧伝してたでしょ。

そんなの聞いたら、三菱商事とか高収入の会社に入った若者以外は「とても無理だ」と思うわけですよ。

それで何が起きたかというと、かつて結婚して親になれていた中間層の若者が未婚のままで、世帯年収900万以上だけが子どもを持てる社会となった。
グラフは下記の記事にて↓

恐ろしいことに、1990年代から2020年まで30年間、20代の若者の可処分所得は全く増えていないどころか、むしろ減っている。しかもその中央値は300万円にも到達していない。
給料は微々たるものだが年々増えたけど、それ以上に社会保険料負担が増えたからである。
国民負担率が増えれば増えるほど、婚姻数も出生数も減る。
私がいう「少子化のワニの口」である。

繰り返すが、児童手当みたいな現金給付はまったく新しい出生には結び付かない。そんなことするくらいなら幼保無償化とか給食無償化とか「お金がかからない」方向の方がまだマシ。
児童手当給付の一方で国民負担率はあがっているから「給料あがっているのにになか生活苦しいな」とみんな思うし、最近の物価高では明らかに「苦しいよ」ってなってるはず。

子育て世帯でさえそう思っているのに、そもそも給料の低い独身の若者は何の給付もないのだからもっと苦しい。毎日の生活で精一杯。いや、伊藤忠とかに勤めていたら別だけど。

伊藤忠社員の出生率があがったとかいうニュースもあったけど、多くの中間層からしたら「だからなに?そらそんだけ給料あればそうだろうよ」としか思わない。働き方改革とか育休とか関係ないから。カネだから。

人間はもらったことより取られたことを覚えているもので、カネの話にすれば、給付されることの喜びより、税金や社会保険料や消費税で取られたことの方が不快だし不安になる。

だから20代の若者の将来の経済的不安が70%という異常な状態に今なっている(1990年代は30%だった)。

来年度の子ども家庭庁の予算が6兆円とかいわれている。勿論この中には必要な予算もあることは否定しない。但し、有効な予算の使われ方ならまだしも、3分の1くらいは多分業者の中抜き利益に消えて行ってると思うよ。
庁になって完全に利権の巣窟になってしまった。いや、必ずなるんですよ、組織を作って予算を持ったら。ならないことなんてない。そういうもの。

予算が増えるのも、御用学者や御用シンクタンク(官公庁から金をもらっている○○総研とかの類い)が、揃いも揃って、少子化対策の予算を増やせば少子化は解決するなどという大嘘を言うものだから。
そういうよね。その予算が増えれば自分らへの発注分も増えるのだから。

子ども家庭庁に取り入ったシンクタンクと電通が、こんな会議体をやっている。これも当然ながら税金が使われている。

ここの予算をどんだけ増やしても出生数は増えないことは、日本に限らず世界各国がもう証明している(俺はずっと言ってきたことだけど)。

少し前にやってたシャープのAI松田優作CMじゃないけど、いい加減もう嘘やマヤカシはやめてくれよ、と多くの国民が気付いてきたのだと思う。

「本当のことが言えるヤツ、減ってない?お前だよ」

本当のことに向き合って、やるべきことを真摯にやっていこうよ。だから国民民主党にみんなが期待しているのでは?


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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。