見出し画像

コーヒー店や洋菓子店を始める前に知っておいた方が良い事

将来コーヒー屋や洋菓子屋を個人経営したいという人に、始める前に知っておいた方が良い点をまとめてみます。あくまで徒然なるままに書くのでこれで完璧!ではないことだけ留意頂きながら、個人的に大事だと思う点をピックアップします。

始める前にビジネスモデルの理解する事が大事

お店を開く前に、自分が開きたいお店のビジネスモデルへの理解度を上げておくことは大切です。

先日ツイートが多くの人から反響がありました。やはり具体的に考えておくことは多くの人にとって興味関心が高いトピックなのだと思います。

ものすごく簡略化すると、ビジネスは「売上-コスト=利益」です。

ビジネスモデル理解の初歩は、
・どんな商品サービス売上をあげるのか?
・売る商品サービスを提供するのにかかるコストはいくらか?
・その結果利益がどの程度残るのか?

をきちんと理解して、そのために売上を最大化するのかコストを最小化するのかその両方なのかを思案しながら、最終的な利益を最大化、もしくは目標とするレベルに近づける方法を考えて行くこと事です。

売上と粗利の関係

ビジネスモデルよって店舗開店後の戦略の考え方が変わります

例としてコーヒー店洋菓子店をピックアップして簡単に比較してみます。あくまで、開業前の方々に参考になれば良しという事で、ビジネスモデルを理解してもらうために、ものすごく単純化して考えていきます。(実際はもっと複雑なのであしからず)

まず知っておくべき事は、粗利率という考え方です。粗利率は単純に商品サービスの売上高に対して原価を引いた売上総利益の率の事です。

自分が想定しているビジネスモデルにおいて、この粗利率がどの程度(%)なのか知っておくことはとても大事です。

仮に年商が1,000万円のAとBと言う商売があっても、粗利率がAは50%、Bは80%だとすると、年間で500万と800万、同じ年商でも300万円違う事になります。

以下の記事からも同じようなビジネスモデルに見えて粗利率で全然違う結果になります。

この粗利から販管費等を引いたものが貢献利益(単体PLで考えればここが営業利益)で、ここから全社でかかる費用等をひいて、営業利益を出していきます。

ここでは、あくまで個人店経営の初歩を考えるということで単体PLかつ「売上と粗利率」という2点に絞って考えていきます。

コーヒー店のビジネスモデル

コーヒー_L1008682

コーヒー店のビジネスモデルを「コーヒーを淹れて売る」と単純化して考えてみます。

コーヒー店は粗利率は高いが、売上のトップラインがあがりにくいビジネスモデルだと思います。

まず粗利率を考えると、サービサーとコーヒーを淹れる人が同じ(=バリスタ)かつ他の業態に比べれば短時間で商品提供ができます。そのため、粗利率は高いと判断できます。

一方で売上は、コーヒー一杯の単価が相対的に世の中の商品に比べて高く無いことと、一人が一杯以上買う事が基本的に無いという特性上、冒頭のツイートにあったように、売上を劇的に上げる事がなかなか難しいモデルと判断できます。加えて、もちろんテイクアウトもありますが、イートインモデルのため、物理的に店舗の面積に回転率が左右されがちです。

上記のツイートに対するコーヒー屋さんをやっている方の反応を見ていると、「そもそも1杯単価が500円で売れない」「平日に1日100杯も売れない」とご感想が多くみられました。

では粗利率は高いが、売上のトップラインが伸びにくいコーヒー店を経営するとなった際に、どのような事を考えておくのか?を洋菓子店のビジネスモデル解説の後にまとめて書きます。

洋菓子店のビジネスモデル

ラインナップ

洋菓子店のビジネスモデルも単純化して「スイーツを作って売る」という前提で考えます。

洋菓子屋は粗利率は低いが、売上のトップラインはあげやすいモデルだと思います。

まず粗利率ですが、相対的に低い理由は、製造パートを自分達で持つという前提だからです。コーヒー店は販売部分にある意味で製造(淹れる)がマージでていましたが、洋菓子店は基本的に製造と販売が分離している点が設備投資や人件費をもっていかれます。加えて、商品点数が多い傾向にあり、原材料も種類が多いため、原価が高いのです。

次に売上のトップラインですが、コーヒー店に比べると一回あたりの単価が比較的高い事や、複数買いを想定できます。また、当然イートインもありますが、基本的には物販モデルのため回転率を高める事ができるため、作れる数という制約条件はあるもの、売上のトップラインを上げていく事が出来るモデルだと思います。

ポイント①「粗利率をあげる」

画像4

粗利率が高いが、トップラインがあげにくいコーヒー店と、粗利率は低いが、トップラインをあげやすい洋菓子店でも共通して考えておくポイントを「粗利率をあげる」「売上をあげる」の2点で考えてみます。

粗利率をあげる:コストを削る
粗利率が高めるためには、コストを削っていく事が大切です。これにより利益最大化を思考してみます。

いきなり粗利とは関係ない話(会計上の項目として粗利率には関係ない)からしますが、
お店の場合は、イニシャルでかかるお店の立ち上げコストと、日々の運営にかかるランディングコストの両方の効果効率的な最小化ではないかと思います。

特に個人でお店をやる方は夢をもって始めるので、最初のイニシャルがとても膨らむ傾向があります。周りに聞いてみると、最初は借入の借金で開業資金を補填する人多いと思います。私もそうでした。結論的には、借入額は最少にする、できれば自己資金のみで開業するが理想です。

潤沢な資金が無い状態で、お店を作る際に個人的なオススメは1点豪華主義です。お店のコンセプトに関連するのですが、シンプルに言うと、お金をかける部分を決めて、それ以外はコストをかけないと言うことです。

これは私の失敗から教訓です。なぜかこっちがいいと思った家具や部材素材は値段が高い事が多いんです(笑)
最初はお金もないですし、成功するかもわかりませんので、なるべくお金をかけない方がいいと思います。なので問答無用にこのルールを決めてしまう事を強くオススメします(笑)

次に、商品点数を絞る事です。最初からたくさんモノをだしたいという気持ちはわかりますし、特に洋菓子店は品数が多かったりします。生菓子も焼き菓子もやりたいとなりますが、製造上の機材種類が増えることになっていくのでイニシャルコストが膨らんでいきます。

絞る際のポイントはまず「専門店化」を思考してみることです。専門店になる!と同義ではないので注意がいります。もう少し具体的にすると、スペシャリテを決めるともいえます。

このお店と言えば〇〇という看板商品や代名詞は何かを考えて商品に落とし込む思考は大事です。コーヒー店のだとしても同じです。コーヒーの中でも浅煎り深煎り、抽出方法など特徴はだせるはずです。

ただ、間違えていけないのは接客やサービス、空間も大事ですが、出来る限り食品や飲み物の味でお客さんにわかりやすい特徴を出す事から考えて実行するがポイントだと思います。

最後に原価を削るです。
商品の材料費や人件費が大きな項目だと思います。ここを常にメンテナンスしていくことは大事です。注意は安易に削ると商品の質やサービスの質の低下を招いて売上を落とすリスクがあることを肝に銘じておくことです。

ポイント②「売上をあげる」

画像5

売上をあげる各論はたくさんあります。
ここでは私の思考している方向性を記載しておきます。

①認知の獲得。
これは粗利率のとこでも触れたスペシャリテにもつながりますが、他店との違いを明確にすることからです。お店の代名詞の獲得とも言えます。

もっと簡単にいうと、看板メニューやサービスのクオリティを高め、お客さんに噂してもらえる状態を目指すということです。

どんな広報PRもお客さんの評判や口コミに優るものなかなかありません。

②シーンの獲得。
簡単にいうとサイドメニューやお酒の提供などを思考することです。
これはここまで話した点数を絞るとは矛盾する話です。なので開店すぐではなく段階的な話かもしれませんが、大事なのは増やす際の考え方だと思ってます。

その商品を提供するとお客さんにどんなシーン提供できるか。もっと言うと、お客さんのどんな時間を頂くことができるかです。

例えばコーヒーのサイドメニューでマフィンを提供するのは、喫茶の時間の充実で従来コーヒー店が提供している時間の補強です。
またお酒を提供するなら、夜の飲食の時間やシーンを獲得していく事です。この場合はコーヒー屋さんを少し拡張して「憩いの場や飲食の場」として定義していることになるので、提供価値が変わってきます。

この二つの方法のメリットは、
①は近隣固定客と、遠方の新規客を呼び込み続けれますし、
②はコーヒー以外のお財布への拡張し、単価や売上をあげれます

認知とシーンの意識で捉えてみるといろんな気づきがある思います。

初期に大事な事はファン(固定客)の獲得

富ヶ谷本店内観

最後に立ち上げ初期のお店において、最も大事にすべきことは、ファン(固定客)になってくれるお客さんの獲得です。

立地によっては観光客の新規をとり続けても成り立つ場所ももちろんありますが、多くのお店は地域に根ざして、地域の人に愛してもらえる事が大事です。

そのため、初期のフェーズで一番大事なことは、初めて来て頂いたお客さんがもう一回来たいと思ってもらえるお店である事ですし、もう一回きたお客さんが何回でも来たいと思ってもらえるお店である事です。

今回は割と数字ベースの現実的な経営のテクニックや考え方をお話しましたが、それよりも一番大事なことはいかにそのお店がお客さんの人生にとって無くてはならない存在として愛してもらえるかですし、人生のエモい存在(笑)になれるかです。

これは商品とサービスと人とすべての合わせた提供価値をどう設定して、研鑽し続けるかにかかっています。

すごく身も蓋もないことを乱暴に言えば、個人経営の小さなお店はここがあればここまで経営のテクニックや考え方を知らなくても成り立ちます。実際に成り立ってたり、そのまま繁盛しているお店もたくさんあると思います。

確率的な成功方法があるわけではないのが経営ですが、個人的にコーヒーも洋菓子も大好きで、素敵なお店が街には必須であると思っているので、そんな個性的で素晴らしいお店がたくさん増えれば良いなと思っています。

そのために今回のnoteが少しでもお役たてれば良いなと思って書きました。

※あくまで私的な経験から書いているので、その他に大切な事はたくさんあると思いますので、参考程度に読んで頂ければ幸いです。

※Minimalのチョコレート&SNS

Minimalのチョコレートのスペシャリテは板チョコレートです。
カカオ豆とお砂糖しか入っていないのに、ブドウのようなフレーバーがするんです。ぜひ体験してみ下さい.

オンラインショップはこちらから

Minimal公式SNSもぜひフォロー下さい!

🍫LINEアカウント
🍫Instagram
🍫Twitter
🍫Minimalのnote
🍫Facebook
*最新情報や限定商品情報が確実届くのはLINE@です

山下のTwitterもぜひフォロー頂けると嬉しいです!今回のようなテーマのことをつぶやきます。


いいなと思ったら応援しよう!

山下貴嗣_Minimalチョコレート
最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは私がブランド経営やモノづくりを行う中で悩み失敗した中からのリアルな学びです。何かお役に立てたら嬉しいです。良い気づきや学びがあれば投げ銭的にサポートして頂ければ喜びます、全てMinimalの活動に使いたいと思います^_^