侮れない小麦価格上昇の影響

これによって10月も政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格が引き上げられる可能性が高いでしょう。

既に同価格は昨年4月に4.6%、10 月に3.6%、今年4月に3.5%それぞれ引き上げられています。

小麦は加工食品への投入頻度が高く、加工食品は値上がりしても節約しにくい品目であることから、物価や企業業績を通じて実体経済に及ぼす影響が注目されます。

実際、産業連関表に基づけば、小麦価格の上昇により「精穀・製粉」「めん・パン・菓子類」「酒類」等の食料品、「畜産」「特用林産物」等の農林水産品、「飲食店」「旅館・その他の宿泊所」等の対個人サービス部門を中心に価格上昇圧力がかかります。

一方、企業が価格上昇分を製品価格に十分転嫁できなければ、「精穀・製粉」「その他の食料品」「と畜」「酒類」「めん・パン・菓子類」といった部門を中心に利益を圧迫することになるでしょう。

このように、小麦価格の値上げは、日常生活に欠かせない食料品やサービスの価格上昇を通じて、家計により一層の節約を余儀なくすることに加えて、日本経済に対する思わぬリスク要因になる可能性があることには注意が必要でしょう。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34315610Y8A810C1EA2000/

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