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ゲノムを解析して人類はなにを目指すのか

技術が大幅に発展してゲノムの解析が進んでいますが、機能がわかっているのはごく僅かに過ぎないので、研究者としてはもっと多数の「データ」を分析して機能を明らかにしていきたいという考えを持っているとのこと。

すべてのゲノムが解読されたというニュースを聞いてからだいぶ時間が経過するので、機能が判明しているのがごく僅かというのは意外でした。

研究者にとっては多数のデータが集まることにより研究が進むメリットがあり、利用者にとっては利用が増えるに従いコストが低くなり、将来的には「インターネットサービス」がそうだったように、無料で高精度の解析を受けることができるようになるメリットがあるということ。

ゲノム革命の立役者であるハーバード大学のチャーチ教授は、なぜゲノム解析をして自分の将来の健康のため備えないのかと語ります。

ゲノム解析で特定の病気を発症するリスクや薬剤への反応が事前に分かり、適切な予防策や治療を受けることができる。解析のコストは下がった。「なぜ備えないのか」。チャーチ教授は鋭い眼光で語る。

とはいえ、ゲノムは産まれたときから死ぬまで変わらない究極の個人情報なので、情報の漏洩や意図しない利用を懸念して、情報提供をためらう人がまだ多く、安全性を担保するためにブロックチェーンが活用できるとのことですが、思うようにデータが集まっていないのが現状なようです。

国内でもいくつかのサービスが出ていますが、複数のサービスを実際に体験して別々の結果が出たという情報もあり、個人的には興味がありますが、数万円という料金、提供したデータの安全性などをあわせて考えると、ちょっと踏み切れないのが正直なところです。

ゲノムの解析が進むと、いままでは臓器ごと(肺・肝臓・大腸などなど)に対処していたがんの治療が、遺伝子にあわせた完全に「パーソナル」な治療方法へ進化するとのこと。素人の考えでも、こちらの方が効果が高いように思えます。2019年現在ですでに「がんは治る病気」ということですが、近い将来には、治らないことの方が少なくなっていくのでしょう。

こういった話を聞くと、昨年日本語訳が出版された書籍「ホモ・デウス」の内容がさらに重要になってくると思われます。

1 生き物は本当にアルゴリズムにすぎないのか?そして、生命は本当にデータ処理にすぎないのか?
2 知能と意識のどちらのほうが価値があるのか?
3 意識は持たないものの高度な知能を備えたアルゴリズムが、私たちが自分自身を知るよりもよく私たちのことを知るようになったとき、社会や政治や日常生活はどうなるのか?



元の記事で最後にあるこの部分は気になるところ。AI戦争での中国の優位性と同じように、先日「遺伝子操作ベイビー」が話題になりましたが、ゲノム解析でもある意味では中国に優位性があるのでしょう。

ゲノムデータはいったい誰のものか。個人主義の強い米国では自分のものという考えが一般的。一方、中国は国家のもので機密情報にあたるという。フランスやドイツのように遺伝子解析をビジネスとして認めない国もある。命に関わるデータを売って過当なお金を手にするとなれば、倫理面から批判がでるかもしれない。

技術の進歩は多大なメリットがある反面、常に倫理面での懸念が指摘されます。「ホモ・デウス」の著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、別の対談で「人間はハックされる動物。だがテクノロジーで守ることもできる」といったことを言っています。どのように技術を使うのか、それが何をもたらすのか、一般人としても慎重に考えていく必要があるのでしょう。


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