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不透明感払しょくとはならず。

フランスの新首相にミシェル・バルニエ元外相が任命されたことで、政治的不透明感は幾分後退するという期待感が醸成され、基本的にはフランスの経済と市場にとって好材料となる、と見られる。

しかし、そう簡単ではないことは、現在フランスの全土で起こっているデモを見れば明らかだ。最大勢力になった左派連合は、首相を同連合から選ばなかったことに抗議しており、収まる様相を見せない。

マクロン大統領がバルニエ氏を選んだことによるインプリケーションは三つ。第一に、年金改革をはじめ、これまで進めてきた構造改革が撤回されるリスクが大きく低下することになること。フランスの中期的な財政の持続可能性に欠かせないものである。第二に、財政赤字削減に高い優先度が与えられる公算が強くなることを意味する。しかも財政赤字を削減するための軸足は増税よりも歳出削減に置かれることになる見込み。第三に、最低賃金引上げの可能性が低下する。家計の購買力に対する支援にはならないが、フランス企業の競争力をある程度維持できるとの見方が可能だ。マクロン大統領の改革の手綱を緩めず、競争力を確保する方向の政策を継続できることが見込まれる、ことになる。

そうでなくとも新首相が乗り越えなければならないハードルは数多くある。足元のデモをなんとか凌いだとしても、すでに10月1日にはいくつかの集会が開かれることが予定されている。予算を成立させられるかはさらに微妙だ。ある程度の猶予が与えられる可能性は大きいものの、制度上は9月13日までに来年度予算案を財政高等評議会に提出し、9月20日までに財政赤字是正EDP手続きに基づく中期予算計画を欧州委に提出し、10月1日にフランス議会に対して予算案を提示することが必要だ。

時間はかなり限られている割に、収まりもつかない。ドイツにおける極右の高まりも併せ、欧州の政治面からの揺らぎが気になりだした。何にせよ注意が必要だ。

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