採用について語ろうじゃないか!私の採用への想い
これから数ヵ月間は新卒採用活動が盛り上がる時期となる。22年春の大卒採用数はコロナ禍においてもプラスだという。
但し記事を読んでみると、コロナ禍で業績が振るわない業種では採用計画にもその影響が大きく出ているようだ。
私達が属しているビール業界はコロナ禍の影響を受けて大手もクラフトビール他社もほとんどが厳しい経営状況にある中、幸いにも私達は巣ごもり需要を取り込むことができ、直近四半期の業績は大幅に伸びている。
現時点で来春の新卒採用枠の内定受諾数は既に予定人数に達しているのだが、この好業績を踏まえ追加の採用枠を設け、新卒採用を継続して行う予定だ。
採用活動における私の役割
さて、私達の会社は採用にかなり力を入れているが、今回は私が担当している採用の役割についてお話したいと思う。
経営者は誰もが「採用は大事だ!」と言っているが、自身がどれくらい採用に関わるかはまた別問題で、自身で直接関わっている方もいれば人事にほぼお任せしている方もいて、企業によって様々である。ただ、私が尊敬する経営者の方々は採用にかける熱意も労力も非常に大きい方が多く、私も見習って現在に至っている。
私達の採用選考では新卒中途とも数段階の選考ステップがあるが、私は一番の難関である「課題プレゼン」の回の面接を担当している。順番で言うと最終面接の一つ前である。
この面接では私を含めて3人の面接官が担当するのだが、私は固定メンバーとして毎回担当している。つまりは、入社する正社員は全て私の面接を通過した方々なのである。これは私が社長になった13年前から変わらない。私達の会社の採用基準は結構ハードルが高く、競争率は数十倍の狭き門である。私の面接までたどり着けずに残念な結果になる方も非常に多い。それでも恐らく私はこの1年間で100人位の面接を行ったのではないか。1人当たり約1時間の面接なのでそれだけで相当の時間を割いていることになる。
採用に関することは面接の場だけではなく、社内会議はもちろん、会社説明会への参加、内定者の不安解消のために個別にクラフトビールを飲みながら相談にのる機会等々、出番は色々とあり私の仕事時間のうち最も時間を割いているのは間違いなく採用関連である。
面接で重視する2つのポイント
私が担当する面接は「課題プレゼン」発表の回であるが、これは「ある課題を提示して、一定期間内で解決策・打ち手にまとめ、面接時に発表してもらう」というものだ。事前にプレゼン資料の書類審査を行い、狭き門を通過した方のみがプレゼン面接にたどり着ける。
ここで大胆にも告白してしまうのだが、この面接で見ているポイントは下記2つだ。
1つ目は「当社の基準で優秀かどうか」である。
私達がスタッフの評価に使用している評価制度をそのままプレゼンの内容に当てはめて評価し、実際に社内で活躍している人と同等以上の評点を取ることが条件。
2つ目は文化フィット面。
「私達が大切にしている経営理念にフィットしているかどうか」が条件。
これについては、色々と情報収集して内定を勝ち取るべく「理論武装」してくる受験者の方も一部いる。ただし、数多くの面接を経験し、理念・人・組織のことを日々考えている私達の目を通してみると本来の姿が透けて見えるものだ。本来の自分自身の姿をごまかすことは難しい。
変に自分と違う姿を作るよりも、素直に自分の思いを語った方が入社後お互い「こんなはずじゃなかった!」と後悔しないためにもよい。
あくまで面接は「相互理解の場」であると認識してほしい。
上記2つが共に合格レベルに達して初めてこの面接が通過となる。面接で見るポイントや目線は私以外の他の面接官ともほぼ合致しているため「そろそろ私は面接から外れても良いのではないか」という声もあるが、企業にとって最も重要な「人材(人財)」を採用する責任はまだまだ担っていきたいと思っている。それに、他の面接官や面接を受けに来てくれた方にも私が面接の場にいるというインパクトは大きいようで、
「社長が面接官として来ている!そこまで採用に力を入れているのか!」
という良いメッセージにもなっている。
教育より採用
こんな感じで私自身が採用活動にかなりコミットしているのだが、それを分かりやすく言葉にしたものが
【教育より採用】
という考え方だ。複数の社外の人事領域のスペシャリストからこの言葉を言われたのだ。
入社した後の教育はもちろん大事だが、それ以上に優秀で文化フィットする人材を採用することの方が大事だ、ということ。そうでない人を採用してしまうとその後の教育でもなかなか伸びないが、ピタリ合致する人を採用したらそもそも教育をしなくても自ら学び大きく成長する。だから教育にかける資源は採用に回した方が良い。
私が13年間経営してきた経験で言うと【教育より採用】ということは本当にその通り。もちろん教育は大事なのできちんと力を入れているが、教育の大部分は私ではなく他のスタッフに任せている。その分、私の資源は圧倒的に「採用」に振り分けている。
その結果、まだまだ至らない点も多いのだが、同じミッションを追いかける優秀なスタッフに囲まれ、良いチームができ、業績も非常に好調で、多くの方から
「良い会社ですね~」
と言われることが多くなってきた。
でも、もっともっと良い会社にしていきたいので、これからも私は採用に更にコミットしたいと思っている。