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ジャーナリズム支援ブロックチェーンプロジェクトのCIVIL(シビル)、静かにスタート

「ジャーナリズムを救うためのブロックチェーンプロジェクト」ということで昨年秋に大きく期待され、トークンセールという資金調達に「失敗」したCIVIL(シビル)が満を持して3月6日にサービスを開始しました。とても静かに。

Civilは世界中のジャーナリズムに対する信頼と持続可能性を向上させるために設立された、独立したジャーナリズムのためのコミュニティにより運営されるプラットフォームです。 コミュニティメンバーはニュース組織であり、あなた、彼らが奉仕する一般の人々です。
(Civil is a community-run platform for independent journalism founded to advance trust and sustainability for journalism worldwide. The community members are news organizations and you, the public they serve.)

CIVILのマット・アイルズCEOによるブログ記事を一読して思うのは、残念ながら報道機関、利用者にとっての魅力的なポイントが何か、今ひとつ分かりにくい、という点が昨年から変わってない点です。

利用者(読者)はトークン(CVL)を購入することでCIVILというプラットフォームに「参加」することが出来て、問題があるニュースサイトがあれば反対票を投じることが出来る、と記載されています。ニュースルーム(報道機関やニュースサイトを始めたい個人)は最低1000ドル分のトークンを購入することでパブリッシングプラットフォームを利用出来るようになります。将来的に読者からの定期購読費用をトークンなどで徴収できるようになるとのことです。少額のグラントをシビル財団から得られる可能性があったり、その他掲載された記事がブロックチェーン上に記録されることで、ジャーナリストが書いた記事が永久に保存される点などが「売り」とされています。

今回目を引いた点はCIVILのホームページ上に参加ニュースルームが公開した記事が掲載されている点です。現在参加している100のニュースルームが公開した記事が掲載されていますが、イメージとしてはMediumやnoteのトップページのような印象です。コロラドのローカルメディア、コロラド・サンの調査報道の横に、フィリピン最大手のデジタルニュースメディア、ラップラーの記事が並んでいます。

CIVILを応援したい(ジャーナリズムを支援したい)という気持ちを持っている人にとってはこうした取り組みや将来の可能性に期待を抱くかもしれません。ただ残念ながらメンバーになるためにCVLトークンを購入するには、煩雑なプロセスを経なければ辿り着くことが出来ません。Quartz(クォーツ)というニュースメディアのディベロッパーでもあるJohn Keefe氏は昨年秋にブログを投稿し、44ものステップが必要とされ、いかにトークン購入が煩雑か、という指摘をしました。今回も早速ブログを投稿し、簡略化されたことで「たった」33のステップで済むようになったと指摘しています(エンジニアの彼でも2時間を要したそうです)。

ジャーナリズムのビジネスモデルに対する模索が続く中でCIVILへの期待はブロックチェーンという新しい技術への期待と併せて高まっていることと思いますが、残念ながら今回のローンチに関しては十分な魅力が伝わってきませんでした。サイトにはここがスタート、と記されているように、今後の更なる改善に期待したいと思います。

以下はCIVILのウェブサイトに掲載されているCIVILのしくみを示すイラストです。

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市川裕康 (メディアコンサルタント)
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