ブレグジット、英新首相の選択肢は4つ?

7月23日、ボリス・ジョンソン元外相が保守党党首としてのお墨付きを得た。得票率は66%と高く、十分な信任を得ていると見てよいため、今後の政策運営でも選挙戦中に示した強行はスタンスを大きく撤回する必要性は生じないであろう。今日は議会で新首相としての所信表明だが、その翌日から9月2日まで議会は休会期間に入る。

注目すべきポイントとしては、まずは組閣。選挙中に弾力的な財政政策方針を打ち出してきたため、財務相の人選はキーとなる。離脱強硬派の人選が中心だが、穏健派議員をどこまで取り込めるか、自党内に協力地盤を確保するためには注意を払いたい。第二に、ブレグジットに関する発言内容である。選挙中も対EUで強気姿勢をしばしば示してきたジョンソン氏は、協定内容の変更に向けてEUに揺さぶりをかける可能性は大きい。もっとも、4月時点でEUが10月末までの期限延長を承認した際の条件として、「離脱協定の見直しを求めないこと」という項目があることを踏まえればEUも簡単には譲れないはず。EUができるのはアイルランド国境に関する譲歩であろうが、内容次第では政府が過半数確保の上で頼らざるを得ないアイルランド民主統一党(DUP)の支持を失う可能性もあり悩ましい。第三に、与党保守党は議会においてDUPの議席を含め過半数を二議席しか上回っていない。さらに8月1日に行われる下院補欠選挙では与党が1議席失う可能性があると言われており、その場合は野党全体に対してわずか1議席のリードに過ぎない。どうして重要な法案を通過させることができるのか。

今後ジョンソン新首相はブレグジットに対して何を選択するか。合意ありの離脱、合意なしの離脱、自ら解散総選挙を指向、国民投票を実施の四つ。まずは夏休みに入るが、ジョンソン新首相の発言内容、8月1日の補選結果、世論調査などで、この四つのうち、どの確率が高そうかを探っていくことになるのである。

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