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脳卒中の救世主はヘビ型ロボット?

日本人の死亡原因の上位を占める脳卒中。未然に防ぐに越したことはありませんが、もし発症してしまったら――。

カギを握るのが早期治療です。発症6時間以内に対処できれば命が助かり、脳の機能を回復できる可能性が高いといいます。今年8月、より速く患部に到達して手術できる技術を、米マサチューセッツ工科大の研究チームが開発・発表しました。

その技術とは、ヘビ型ロボットです。

血管を自在に這う、ヘビ型ロボット

ヘビというとちょっと想像しづらいですが、見た目は糸状のロボットです。記者が撮影した映像には、ヘビさながらにぬるぬる動く様子が収められています。気になる映像は日経電子版の連載企画「Disruption 断絶の先に」の最新回でチェックしてみてください。

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今でも脳卒中は血管にカテーテルを挿入して治療します。なぜ同じように血管を通る手術なのに、難しい技術に挑戦するのか。その理由は治療時間が短縮できるだけでなく、遠隔手術を可能にする技術だからです。

技術への挑戦が「創造的破壊」につながる

医療の進んだ先進国の都市部なら、発症から6時間以内に対処しやすい環境が整っています。一方、アクセスが悪い地方や発展途上国はどうでしょう。同じ環境を提供できているとは言いがたいのが現実です。こうした機会の不平等が解消されるため、患者からも医師からも要望が強い技術なのだそう。

開発者によれば実用化には「10年程度はかかるだろう」とのこと。それでも実現に向けて努力するのは、その先に医療の常識を覆す未来が待っているからなのでしょう。

「Disruption 断絶の先に」バックナンバー

技術的革新が世の中の常識を変える――。今回はロボットの技術をご紹介しました。これまで「Disruption」では様々な現場で起きている変化の芽を先取りしてきました。

・オフィスが仮想現実(VR)にある会社
・気象予報士がほとんどいない気象予報会社
・健康状態に応じて一番おいしいネタを提供する寿司屋
など

あなたの身近な世界でも、Disruptionが起きているかも。

先端技術から生まれた新サービスが既存の枠組みを壊すディスラプション(創造的破壊)。従来の延長線上ではなく、不連続な変化が起きつつある現場を取材し、経済や社会、暮らしに及ぼす影響を探ります。

(日本経済新聞社デジタル編成ユニット 渡部加奈子

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