イギリスには孤独担当大臣があるという。孤独は、幸せでない状態の代表的な特徴である。単に物理的に一人か、皆と一緒かは孤独とはあまり関係がない。

心理学で注目されている「心理資本」が低下している状態が孤独と関係している。

幸せには、刹那的で過渡的なポジティブ/ネガティブな感情がある一方で、その反対に、生まれながらに遺伝的に固定化されたポジティブ/ネガティブな傾向がある。この両者の中間に、訓練や学習や体験によって変えることのできる持続的な幸せな(あるいは、幸せでない)状態がある。これを心理資本という。このような持続的な幸せ、あるいは持続的な幸せでない状態の表現として「孤独」を捉えることができる。

心理資本は4つの要素で構成されることが知られており、孤独とも関係が深い。4つの要素とは「希望(Hope)」「自信(Efficacy)」「困難への強さ(Resilience)」「楽観性(Optimism)」であり(HEROと略されており)それぞれに心理学的な意味が明らかになっている。心理資本が低下し孤独感が高まると、希望を失い(H=心理学的には、目指すものとそこまでの道が見えなくなり)、自信を失い(E=不確実な状況で行動することに確信が持てなくなり)、困難に戦う力を失い(R=いざとなったら自分一人の力でなんとかなると思えなくなり)、悲観的になる(O=仮にポジティブなことが起きても単なる偶然と思い、ネガティブなことは必然的に起きたことのように思う)ようになる。

孤独の改善に希望はある。心理資本はシステマティックに改善できる方法が知られているからである。実は、上記のHEROを理解し、意識するだけでも状況は変わる。

そして今後さらに様々なテクノロジー(特にIoT技術によって収集されたビッグデータとAIによる解析)によってその方法は進歩する。単なる個人の問題とせず、社会全体がデータとテクノロジーを駆使して、孤独という問題に向き合う時が来ている。

http://wol.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/020100168/022000003/

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