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50人の編集チームでニュース・キュレーションと独自コンテンツに取り組むLinkedin

昨晩聴いたメディア関連のポッドキャスト、『Recode Media  with Peter Kafka』のゲストは今年からLinkedinの Editor-at-Largeとして活躍されている Jessi Hempel氏でした。以前から「Wired」や「Backchannel(Medium)」などで印象に残る記事を執筆していたジャーナリストということもあり聴いてみたところ、現在世界中で約6.2億人(国内は約200万人)が利用するビジネス系SNSのLinkedinの今を詳しく知ることが出来ました。

印象的だったのは世界中で50人ものプロフェッショナル編集者・ジャーナリストからなる編集チームの新しい取り組みにより独自コンテンツ(オリジナル記事、ポッドキャスト(「Hello Monday」)、毎朝の注目ニュース5本をキュレーションする「#DailyRunDown」など、数多くの新しい取り組みがスタートしていることです。

ニュースキュレーションにより生まれるコメント・会話の重要性

リンクトインというと多くの人は「転職サイト」というイメージを持たれるかもしれませんが、スカウト機能のみならず、ネットワーキング、オンライン教育、グループ、ニュースフィードなどを通じて「Economic Opportunity」(経済的な機会)提供するというミッションを実現するために、メディア、編集の力を効果的に活用しようとしていることに驚きます。フェイスブックやツイッターはフェイクニュース、ヘイト投稿、ディスインフォメーション、プライバシーなどの問題が相次ぎ批判にさらされる中、「編集(Editorial)」の役割を担うことからは距離を置いているのに対し、リンクトインがこうした「編集」「メディア」的な点に力を注いでいる点も新鮮です。

特にHempel氏がポッドキャストの中で言及していて注目したのは記事を公開した後で寄せられるコメント、そこから生まれるディスカッション(Conversation)の重要性です。彼女はジャーナリズムスクールを卒業後Businessweek、Fortune、Wiredなどで16年に渡ってテックジャーナリズムでキャリアを築いてきたとのことですが、そのキャリアの中で昨日ご紹介したMedium(参照:書く人、読む人のためのプラットフォーム、Mediumの今)上で展開していたBackchannelという新しいメディア運営に取り組んだ際に大きな発見があったそうです。

Mediumの特徴として、記事に対しハイライトをしたり、コメントをすることが推奨されていて、読者とのやり取りがしやすい設計になっています。今までWiredで記事を執筆しても得られなかったような多様な視点、フィードバックをMediumで得られたことがLinkedinでの新しいキャリアを始めるきっかけのひとつになったと語っています。

世界中で展開している毎朝5本の厳選ニュースキュレーション、DailyRunDown

特に個人的に共感したのは毎朝リンクトイン編集部が厳選した記事を5本、著名経営者の引用メッセージとともに紹介する「DailyRunDown」というコンテンツです。会話のきっかけとして、かつては「今朝の日経によると」がビジネスパーソンの中で一般的だったかもしれませんが、今日数多くのニュースメディア、そしてソーシャルメディアのプラットフォームが情報洪水を毎朝もたらす中で、どのようにして「毎朝目を通しておくべきニュース情報源」としてのポジションを獲得することが出来るのか、本当に大事になりつつあると感じます。その人の、そして地域、テーマごとに価値ある「ニュース情報源」のありかた・しくみとして、「DailyRunDown」の試みに学ぶところは多くありそうです。

米国版はこちら Linkedin #DailyRunDown
英語版では1分程度の動画も作成されていて、過去3年近く運営されている中でフォロワーも既に76万人以上います。

そして嬉しいことに日本語版も昨年の7月にスタートしていて、米国版同様、「LinkedIn編集部 今日の厳選トピックス」を毎朝7時頃に日本語で届けてくれています。既にフォロワーも5,500人以上いて、Hempel氏もポッドキャストの中でいかに東京のDailyRunDownの反響がすごいか、絶賛しているほどでした。ジャーナリスト出身の編集チームの方が書かれた詳細な活用法も紹介されているのでご興味ある方は是非チェックしてみてはいかがでしょうか?

そして今年の3月に始まったばかりのポッドキャストシリーズも毎回豪華なゲストを招きながら、リンクトインコミュニティの中で話題になったトピックなどを紹介する構成となっています。

リンクトインは更に今月始めに新しく投稿へのリアクションボタンもリリースしています。「いいね」のみならず「おめでとう(Celebrate)」、「Love」、「洞察あふれる(Insightful)」、そして「興味深い(Curious)」などのアイコンを簡単にクリック出来ます。

こうした細やかな改善も含め、オンライン上での会話が拡がり、一人ひとりがより新しい発見、学び、つながりが生まれるようなメディア、ニュースキュレーションのあり方に、改めてLinkedinの可能性を感じます。いずれ自分なりの「DailyRunDown」も始めてみたい、という気持ちも新たに抱くことが出来ました。

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