統計でも明らかな若者のゴルフブーム

日本でも若者の「ゴルフブーム」が続いています。背景には、スポーツの中でも比較的「3密」を避けやすいことに加え、リモートワークの浸透などで現役世代も時間の融通が利きやすくなったこと等により、土日祝日より割安な平日を利用しやすくなっていることがあります。

実際に、総務省の家計調査(2020年)を用いて世帯主の世代別に見たゴルフプレー代を比較すると、平均では前年から減少していますが、20~40代といった若い世代に限れば、同支出が明確に増加していることが確認できます。この背景には、ゴルフが旅行等に代わる安全で魅力的な娯楽の選択肢になっている可能性があります。ゴルフは食事やカラオケ等に代わる選択肢として、デートや合コンに選ばれていることも要因の一つといえるでしょう。

また、若者のゴルフブームは、今年さらに勢いを増す可能性があります。というのも、特に期待されているのが、松山英樹プロのマスターズ・トーナメント優勝効果です。ゴルフ業界(ゴルフ用品、ゴルフ場、ゴルフ練習場)の市場規模は1992年の約2.9兆円をピークに1993年から縮小トレントにあります。しかし、当時15歳だった石川遼選手がツアー最年少優勝を飾った2007年と、渋野日向子選手が日本勢42年ぶりのメジャー制覇となる全英オープンを優勝した2019年には市場規模がそれぞれ+230億円、+300億円拡大しています。

さらに、近年では国内160のゴルフ場や練習場で19・20歳の利用料金を無料とする取り組み等もあり、若者市場の拡大に貢献した可能性があります。コロナの感染防止のために、間に休憩を挟まない「スループレー」や単独のプレー希望者が何人か集まって回る「一人予約」などのプレースタイルも最近目立っています。また、更衣室の改装や食事にこだわりのスイーツを提供するなど女性客の獲得を進める取り組みなども報告されています。このため、こうした動きも若者のゴルフブームを後押しするのではないでしょうか。

なお、今後もゴルフにはまる現役世代が増加し、団塊ジュニアも含めて健康な中高年が増えれば、医療費や社会保障費の抑制にもつながる可能性があります。実際にウィズ・エイジングゴルフ協議会は、国立長寿医療研究センターと東京大学、杏林大学との共同研究で、ゴルフで記憶力が改善され、認知症予防に効果的であることを明らかにしている。ゴルフ自体が認知症の予防につながる側面も踏まえれば、若者のゴルフブームは日本の経済や社会保障財政にプラスの効果をもたらす可能性があるといえるでしょう。

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