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恥も外聞もなしのナショナリズム?ドイツもか?

新型コロナウィルスはイタリアやスペインの惨状が伝えられることが多いが、欧州一番の大国ドイツも例外ではない。しかしながら、3月24日現在で、新型コロナウィルスの感染者が2万人を超えた割に死亡者が114人で、イタリアやスペインとは単位が違っていることがわかっている。死亡率が低くなっているというのは明らかにポジティブで、この背景に検査や医療体制が充実していることが効いているという説明がなされている。この説が正しいのだとすれば、“くそ真面目”だと揶揄されることもあるドイツ人気質が功を奏したと言えそうだ。

しかし、感染者と接触していたことがわかったメルケル首相が陰性診断を受けるまでは自宅隔離されていたし、3月16日から隣国との国境封鎖、3月22日からベルリンのロックダウンが始まっている。このロックダウンは4月19日まで延長することも決まった。

3月25日に発表になったIfo経済研究所発表のドイツ企業景況感指数確定値は、86.1と大幅に悪化。そうでなくとも基幹産業として栄えてきたドイツ自動車が低迷の危機にある。景況感の低迷やディーゼルエンジンからCO2排出削減への流れも受け、BMWやVW、ダイムラーなど多くの高級車を輩出する自動車会社に課題という状況。自動車産業が冴えなければ、ポーランドやチェコなど周辺国の繁栄もおぼつかない。そこに新型コロナウィルスの影響が来たわけだ。

世界からの要請もあったろうが、そんな現状に楔を打つべく、ドイツ政府は総額7500億ユーロ規模(GDP比22%)の経済対策を発表した。企業と雇用維持が主眼である。財政再建に対してもっとも真摯な国が、7年ぶりに新規国債発行を解禁して財源を手当てする。新型コロナウィルス対策が優先で、さすがのドイツでさえ、財政悪化も辞さない構えに見える。

しかし、お金を使う以上(というだけでもないだろうが)、ドイツ国内に資金を停滞させ、自国の競争力を改善させることを狙うあたり、ドイツっぽいと言えそうか。EU域外からの買収を巡っては規制強化を計画し、国内企業を保護しようとしている。また、新型コロナ支援要請の企業に対しては配当支払い停止を要求し、配当するくらいなら内部留保して新型コロナウィルスによる想定外の出来事に備えよ、ということを企図する。

欧州共通の債券として発行が検討されているコロナ債は、いつも通りドイツやオランダが発行を拒否した。もともと、財政規律がしっかりしているドイツは、EUでの財政統合に拒否感が強いが、ブレグジットなどで結束を強めるべき時の“EUあるべき論”にかかわらず、新型コロナウィルスが増長させたナショナリズムが横行していることをうかがわせている。


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