10年会社が続いた私が独立初期にやっておいてよかったこと
会社務めを7年半して独立、起業してから昨年の秋で10年が経ちました。社長として、あっという間の10年でしたが、ただただ周りの人々に恵まれていたなあという印象で、続けてきたから続いているだけというシンプルな10年でした。
今回は、日経 COMEMOからのお題 #仕事の心がけ に合わせて、これから会社を辞めて個人事業主としてやっていくor会社を作ろうとしている人によく質問される、「独立したときにやってよかったこと」をシェアしたいと思います。10年前と比べて、副業をされる方、副業で起業される方も増えていると思います。副業開業でも参考になるかも。
2月、確定申告の季節です。副業でも20万円以上は確定申告必要、など上記のような記事が多いところも、働き方が本当にやっと色々になってきて可能性を感じるこの頃です。
0.SNSも身だしなみだと心得る
前提としてなので「0」とする話。自分がいつか独立起業したいと思っているのと同じジャンルでなんとかやっていそうな人を見ると、TwitterのリプライやIGのDMで質問をしている方がいらっしゃるのですが、TwitterやIGの運用が現段階で飲み会の写真のみ…みたいな人多すぎです。自分がどういう風に見られるかを客観的に見られるか=仕事したい相手として見られるかどうかを相手の立場になって考えられない人は、会社の看板のない仕事は向いていないと思うので気をつけましょう。(辛口)
1.果報は正座して待て&こまめな連絡を
真面目さに救われたところは割とある
私の業務内容は、ブランディングをオペレーションする中の人だったり、何でも屋さんなディレクター、場や企画をオーガナイズするプロデューサーで、ぱっと見何をしているかわからない人です(いまだに子どもたちは私が何をしているのかわからず、「tiktok見てるお仕事」などと思われている始末)。
元在籍した会社のお客様を連れてくることはできないので、開業時は仕事も特になく不安でした。そんな私は、前日が出勤最終日朝まで送別会で朝方タクシーで帰宅したのにも関わらず、初日の朝9時ちょうどにPCの前で正座、仕事ないけど。案外そういう真面目なところがあったのは、心がけとしては大切だった気が今になって沸々と。
積極的な連絡を恥ずかしがっている場合ではない(切実)
過去、カンファレンスなどした際に、クラウドファンディング成功した秘訣は?と聞かれたりした際に、「友達に毎日連絡するんだよ」と回答すると、「友達に縋るのはちょっと…」と言われて「友達にお願いできない奴は他人に課金してもらうのは無理ですね」と答えたことがある。
これと同じ話で、独立起業したのに積極的な連絡を躊躇ってる場合じゃないんです。仕事が来るまでなんとなく過ごす…ではなく、PCを開いてひたすら誰かに連絡する、SNSやサイトを更新してコメントがきた人に連絡する、というのを恥ずかしいと全く思わずしたのは本当に良かったです。
2.会社員時代仕事を発注した相手から仕事をもらう
利用すべき生態系を利用する
で、どういう人から仕事をもらったのか。会社の看板がなくなった瞬間に私が何をしているのか見えなくなるのであれば、自分の仕事ぶり・立ち振る舞い・視点などを既に把握している人と仕事をして、ポートフォリオになる仕事を作っていくしかないのです。利用すべき生態系は利用するのだ。
私の場合は、会社員時代、大プロジェクトを共に動いてもらうため、当時独立したばかりの友人の会社に発注した経緯があり、最初に仕事をもらったのはその会社からだった。「具体的に何お願いできるか今見えてないけど、翠川さんならなんかやってくれるでしょ」と言って仕事をもらった。
一緒に働いたことがある人のレビューは間違いない
その会社のSNS運用・PR周り、PM業務やマネージメントをこなして、そういった私の仕事の人物像の輪郭構成にはかなり大きな影響があった。これを数社させてもらって、気づいたらすることないけど正座している時間は2週間くらいで終わった。あとは120%やり切って結果を出して、ポートフォリオにまとめて出していくと、その変形としての次の仕事が決まっていく。
「自分も独立したときに仕事もらってすごく感謝してるし」というのは、後から聞いた話で、今まだ在籍中の人はそういった目線で仕事をくれそうなところに会社の予算を使ってコネクションを作るというのは有効な手だと思う。
3.天才に「植え付ける」
なんでもない自分を売り込むなかれ
はい、これがこの投稿の目玉です。これは、独立起業時などでなく、新しい事業を始めたときなんかにも有効でいまだに新しいことを思いつくとまずやることです。
社会人として仕事をしていると、たまに「この人天才だな、どうやっても敵わないな」という人に出会うと思います。若い頃は圧倒的に先輩や経営者の方が多いように感じると思いますが、同世代や下の世代にも天才はいるもので。
正座していた2週間の間、私が意図的にしていたのがこの「天才にアポを取り自分のやることを植え付ける」ということでした。これは、「仕事をくれそうな人に自分の仕事を売り込む」とは実は似て非なるもの。
「仕事をくれそうな人に自分の仕事を売り込む」というのがだめな理由は、「仕事をくれそうな人=まだ実績のない自分に仕事をくれる若干余裕がありそうな人」というフィルターでの人選はうまくいかないから。舐めてるのすぐバレます。また、実績がないうちに提案されるプランが、実績あるプロから提案されるプランに勝てるわけないからです。実績ないうちは、自分でも全く自分のプランを信頼できません。その状態で売り込むのは、精神的にも良くない。
天才の采配に任せると想定していないことが起きる
では、「天才にアポを取り自分のやることを印象づける(=植え付ける)」と何が起きるのか。天才は、面白い素材だな、いつか何かに使えそうだな。と頭の片隅に置いておいてくれて、何かの機会に「この前いってたことってこういうことだよね〜じゃあこういうことできるかな?」とこちらでは到底想像していなかった奇想天外な企画に混ぜてくれる連絡をくれたりするんです。その方が、できることの少ない縮こまったプランを売り込むよりよっぽど、可能性が無限大に広がります。
以前、出演したTwitterスペースでこの話をさせてもらったときに、司会のみずPから「天才シェフに素材を見せとくんだね〜なるほどね〜」と言われたんですが、そう、そういうことです。天才は、こちらが思うことを100倍越えた提案してきてくれますから。そのシェフの期待に応えて、素材(自分)を生かして踊りまくれば美味しい料理になれるというわけです。
そこでまた、120%やりきれれば、実績がなくても「この人を隠し味に入れておいたら面白い企画になるのね」「今度うちでもお願いしたい」「どういう仕事頼めばいいの?」と展開していったわけです。本当にありがたいですね、天才万歳。
そんなわけで、0と1は心がけの話、2と3は学生時代から起業していたカリスマ起業家には持ち得ないリソースをフル活用した発展術です。在籍していた2社(スマイルズとイデー)におんぶにだっこでやってきたのが丸見えですが、今独立準備中の方は、2と3の準備が整ってから起業するというのは、良い手になると思います。
10年経った今でも、天才に頼ってるところとかまあ基本的には変わらないですが、頼れるものに頼りつつ良い世界を作っていきましょう。