忘れてはならないユーロ高の背景

こうなることは分かっていたとしか言いようがありませんが、この状況は今後ますます強まってくるでしょう。マクロン大勝後にリベラル復調を拙速に持ち上げた論陣が目立ちましたが、やはり短命に終わりそうです。忘れてはならないのは、「マクロン大勝→メルケル4選確実→独仏を主軸とするEU政治安定」という政治的安定性を評価するロジックが年初来のユーロ買いの少なくない部分に反映されているということです。チャートを見れば一目瞭然ですが、ユーロ/ドルの反転は4月半ばから本格化しており、これはフランス大統領選挙の1次投票の結果を受けたものでした。その後の上離れは決選投票におけるマクロン勝利が寄与していることも論を待ちません。

今でこそECBの正常化がユーロ買いの原動力となっていますが、これを多くの市場参加者が意識し始めたのは6月政策理事会のフォワードガイダンス修正からであり、本当に火がついたのは6月末のシントラスピーチからです。チャートだけで言うならば、1.06~1.12程度の上昇はフランス大統領選挙が寄与した面が小さくないと思われます。

歴史を振り返ればユーロ高に真っ先に苦情を申し立ててくる傾向が強いのがフランスそしてイタリアであったと記憶します。若くて新鮮な指導者が現れたからといって、一夜にしてフランスがドイツと対等になり、ドイツと同じくらいのユーロ高を歓迎できる体質になるはずがありません。ジャクソンホールではユーロ高容認という無理筋としか言いようがないレッテルを貼られたドラギ総裁ですが、今後はフランスを筆頭に、金利と通貨の上昇に耐えられない(ドイツ以外の)加盟国に配慮し、その払拭に努める場面が恐らく多くなってくると予想します。

https://jp.reuters.com/article/france-macron-support-idJPKCN1B80AR

https://jp.reuters.com/article/france-macron-support-idJPKCN1B80AR

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