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「できる理由」を求める人は、「できない理由」と向き合っていない人。

ありがたいことに、最近は講演の依頼をもらうことが多い。講演のテーマはキャリアだったり、プレゼンだったり、経営だったりと多岐にわたる。(私自身に、特にこだわりはない)

ただ講演後の質問は概ね似通っている。

「どうしたらアイデアを実現できるようになりますか?」という類のものだ。

講演では、私の過去の仕事や取り組みを紹介することが多く、そのアウトプットを見ると「どうやって実現させたんだろう」という疑問が沸くようだ。

なんとなくそれっぽい理由は答えているのだが、正直なところ「そんな特殊なことはしていないんだけどな…」と感じている。

このズレはなんだろう。

単純に私に気を遣って無理やり質問をしてくれているだけかもしれないが、少しモヤモヤしたので、パワポで整理してみた。

今日はそんな話。

◾️計画とアイデアの違い

まず考えたいのは、実現ハードルの存在について。
基本的に「アイデア」と「ハードル」はセットである。

そのプランを「アイデア」と呼べるかどうか。その基準として考えられるのが、

「実現できたら、おもしろい」

と感じるかどうか、だ。

そう感じないプランは、ただの「計画」に過ぎない。ワクワクしない。速やかに実行すればいいだけだ。

つまり私たちが「おもしろい」と思うのは、そこにハードルや壁が存在するからである。だからアイデアとハードルは2つで1つの存在なのだ。

逆に言えば、何のハードルや壁もないアイデアなんてありえない。

「いいアイデアを思いついたのですが、ハードルが高くて…」という発言は、ある意味当たり前のことを言っているに過ぎないのだ。

◾️できない理由があるのは大前提

実現に向けたハードルや壁は、「(実現)できない理由」とも言い換えられる。

こんなアイデアを形にしたい。
こんな自分になりたい。

という理想はいつも、壁の向こう側にある。その間にはいつも「できない理由」が存在している。

この状態をまず「前提」と捉えることが重要だ。

「いいアイデアがあるのに、壁がある!」とフラストレーションを溜めることは無意味だ。「簡単に実現できないから、いいアイデア」なのであって、壁がないアイデアは、そもそも「いいアイデア」ではない。

この状態が大前提
これが前提ではない

当たり前のことを言っているようだが、この「どちらを前提としているか?」によって壁に対するアプローチが変わる。

◾️壁を壊すか、丁寧に取り除くか

講演後に「どうしたら(小島さんみたいに)アイデアを実現できるようになりますか?」と尋ねてくるタイプの人は大体、壁(できない理由)と向き合っていない人だと思う。

壁があることを当たり前だと思っていないから、それを邪魔者扱いして壊そうとする。だから壊すための武器を欲しがる。

すぐに壁を壊す武器をほしがる

一方、壁があることを前提としている人は違う。壁(できない理由)とちゃんと向き合おうとする。無理やり突破するのではなく、1つ1つ丁寧に壁を取り除こうとする。

例えば大きな壁は分解して、自分で運べるサイズにする。それを繰り返して「向こう側」に辿り着くまでの道筋を考えるのだ。

計画的に壁の向こう側に辿り着こうとする

◾️実現力は突破力ではない

そう考えてみると、アイデアの実現には3段階あることがわかる。

STEP1.ハードルがあることを考える
STEP2.ハードルの取り除き方を考える
STEP3.計画を実行する

という3段階だ。そして多くの人が2の存在を無視している気がする。アイデアを思いついたら、すぐに実行に移そうとするし、すぐに実行に移せると勘違いしている。

だから1と3の間にある2を無理やり突破しようとして、即効性のある武器を欲しがる。その結果が冒頭のような質問になっているのだろう。

このように多くの人が、実現力を「発想力」や「突破力」だと勘違いしている。日本で起業家というと、発想力豊かなクリエーターや、突破力に長けた大胆な人をイメージするからかもしれない。

しかしどんな起業家も優れているのは、実はSTEP2の力なのではないだろうか。

安易に「できる理由」を求めず、まずは「できない理由」としっかり向き合うこと。

それが「アイデア」を「計画」に変えていくのだと思う。


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小島 雄一郎
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