国内消費を刺激するために、キャッシュレスとEC化を大胆に推進すべきだ
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
日本国内の消費の回復が遅れているようです。他の先進国に比べると強いロックダウンをせず、自由に出歩くことができる状況にも関わらず。先の4連休ではGoToトラベルの効果もあり、観光地への人でも大きく増えました。
日本国内の消費の回復が遅れている。先進主要国の小売売上高を見ると6月にはコロナ前の水準を上回っているが、日本は7月になっても下回ったままだ。もっとも政府の資金支給などもあり家計の現預金は3月末以降に30兆円も積み上がった。この消費のマグマをどう動かすか。デジタル技術の活用など売り手の知恵が問われている。
(筆者略)
日本でも消費のマグマはたまっているように見える。政府が4月に始めた1人10万円の特別定額給付金は総額で約12兆円にのぼる。子育て世帯や学生向け給付金も配られた。昨秋の消費増税時から始めたキャッシュレス決済向けポイント還元では、政府補助分だけで5千億円弱相当が消費者に流れ込んだ。PayPay(ペイペイ)の「100億円還元」など民間独自のサービスも相次いだ。
しかし、こうしたお金は十分に消費に向かわず財布に収まる。家計の現預金は6月末時点で1031兆円と3月末比で30兆円以上増え、過去最高に積み上がっている。
日本はEC化率が約7%と非常に低いです。また、伸び率で見ても他の先進国が2桁増となっているのに比べ、6%程度にとどまっており、浸透のスピードも遅いです。市場規模で見ると世界で4位のマーケットですので、潜在的な爆発力はあると思います。
国内ではアパレルやスーパーはその規模を鑑みるとEC化の潜在力が高いでしょう。経済産業省によれば2019年のEC化率で「衣類・服装雑貨」は約14%、「食品・飲料・酒類」は約3%にとどまり、「書籍、映像・音楽ソフト」(約34%)や「生活家電・AV機器など」(約33%)に比べて低いです。衣類なら店で試着したい、食品でも温度管理が難しく、店で鮮度を見て選びたいという声が強いためと言われています。
EC化率・伸び率共にダントツの1位である中国では、「アリババ」と「京東」が、生鮮食品などを素早く配送できる独自の配送ネットワークを構築しています。その背中を追うように、新興企業も拡大を続けており、全体のEC化の伸びに貢献しています。
その他にECが伸びているのは、アメリカやイギリスです。これらの国では、
・クレジットカード(キャッシュレス)が普及している
・英語圏のため越境ECを利用しやすい
などが、利用が底上げしていると見られます。ドイツもEC化率は高いですが、クレジットカード利用が10%程度で半数以上がコンビニ決済や後払いであることから、伸び悩んでいる状況です。
発足した菅内閣では、行政のデジタル化を大きな柱にしています。マイナンバー制度の改革もその1つです。
政府は行政のデジタル化へ33項目の政策目標を掲げる。マイナンバーカード情報をスマートフォンに搭載する仕組みを検討する。運転免許証など様々な免許証や国家資格証のデジタル化とカードとの一本化もめざす。新型コロナウイルス対策で一律10万円の給付が遅れたことを踏まえ、マイナンバーと銀行口座の連動も急ぐ。
33項目のうち年度内から着手する施策も複数ある。マイナンバーカードの未取得者には12月以降、QRコード付きの申請書を発送する。21年3月からは健康保険証として使えるようになる。
キャッシュレス事業に続き行われている「マイナポイント」により、キャッシュレス決済のさらなる普及を目指しています。これらの相乗効果でキャッシュレスが普及していけば、EC化率もより伸びていくことが期待されます。コロナ禍で買い物に出られなくても存分に買い物ができれば、消費を刺激することができるかもしれません。
賛否両論のあるマイナンバーと銀行口座の紐付けですが、仮にマイナンバーがデビットカードとしてそのままECに使えれば、あっという間にキャッシュレス化がなされるような気もします。実現のハードルは高いと思いますが、誰もがオンラインでもオフラインでも気軽に支払いができる手段をどう整えるかが、今後のEC化ひいては消費全体を底上げするためのカギになるでしょう。
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タイトル画像提供:maruco / PIXTA(ピクスタ)
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