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著名音楽家が活動を無期限停止した理由に、社会人の学び直しのメリットと勇気が詰まっていると感じた話

 ソーシャルディスタンスが意識される中で、企業のデジタル投資が世界中で目立つ動きになっています。しかし、最先端のデジタルツールを企業に導入しても、それを扱える人材が居なくては費用対効果の良い投資とはならないでしょう。そのため、世界ではデジタル分野に強い人材を作るために、デジタル人材を育てるためのリカレント教育(≒社会人の学び直し)が盛んです。日本は他先進国に比べてリカレント教育支援が遅れていることが下記の記事で言及されています。そうなると、個人間でのリカレント教育への取り組みが必要になっていきそうです。

 しかし、リカレント教育はデジタル分野の強化だけでなく、デジタル浸透で社会が大きく変化するのに備えるために、あらゆる分野で必要になるでしょう。自分の経験値の整理や知見のブラッシュアップをして、個人の経験則ありきで仕事をすることで疲れ切らないためにも…。しかし、社会人が仕事や家庭の時間と両立しながら、大学院進学、研究、資格取得…etcなどを行うのは体力、お金、周りの理解、時間、勇気も必要です。今回は、リカレント教育に一歩踏み出す勇気を与えてくれるだろう音楽家の言葉を考察します。

 

 *アンジェラ・アキさんの無期限停止理由は、リカレント教育への示唆が万歳だった

 シンガー・ソングライターのアンジェラ・アキさんが、2013年に日本での音楽活動を無期限で停止することを発表しました。大ファンな私自身は、とてもショックでした。しかし、その理由を見たとき、当時の私が社会人大学院に進学するきっかけや、今も博士後期課程で学びを続けている原動力にもなっています。その理由は、ご本人のコメントを引用すると下記のように書かれています。新たな夢を成功させるためにも、著名音楽家にも関わらず、一から音楽を学びなおす必要性を感じたとのことです。

来年2014年秋から、アメリカの音楽大学に留学する決心をしました。夫と息子の家族三人でアメリカに移り、日本での音楽活動は、春から始まる全国ツアー終了後、無期限に停止します。私は来年37歳になります。18歳で入学したワシントンDCの大学では国際政治を勉強しましたが、音楽大学で専門教育をうけるのは、実はこれがはじめてになります。現在とりかかっているブロードウェイ・ミュージカルプロジェクトを成功させるためにも、更なる夢を叶えるためにも、大きな決断をする必要がありました。日本での音楽活動を無期限停止にすることには、とても悩みました。ただ、これがラストチャンスであるという気持ちもあり、中途半端な状態に自分を置きたくありませんでした。自分の夢を実現させるためには、これからの数年間、新しい環境で勉強に集中し創作活動に打ち込むべきだと考えました。そして37歳の新入生になることにしました。

また、別のアンジェラさんに関する記事では、音楽を体系的に学び直したことで曲制作が楽になり、アメリカで一から学びたいという意欲が湧いたとのことでした。

(アンジェラさんは)18歳で入学した米・ワシントンDCの大学では国際政治を勉強。だが、シンガー・ソングライターになる夢を捨てきれず、帰国後にプロを目指した。ただし音楽については基礎から学ばないままで、作詞・作曲・編曲は独学で覚えたもの。それが長くコンプレックスとなり、6年前、米・バークレーの音楽大学の通信教育を受けてから曲制作が格段に楽になり、1から学びたい思いがふつふつとわいてきたという」(音楽雑誌記者)


*知を体系的に学び直すとは、どういうことか?

 上記の、体系的に学ぶというのは、知の先人たちが培ってきた理論や原理原則を学ぶことで、自分一人では何十時間も費やしていた物が、考え方の軸ができたことで、脳の省エネに寄与することだと思います。私自身も、20代の数日寝なくても大丈夫だった頃に比べると、今は明らかに無理ができない身体になっています。そうなると、経験や思考に使う時間も、無尽蔵には費やせなくなります。また、20代の頃に大学で学んだ知識が、社会の変化と共にドンドン陳腐化しているのを感じます。これは、年齢を経るにつれて更に加速すると思います。デジタル分野の最先端も、経済学、経営学、統計学、会計学…etc、全てに当てはまると思います。なので、社会人の学び直しとは、MBAの箔をつけるというのはあまり意味がなく、知見の整理やインプット、大学院卒業後や資格取得後も自立して学び直しができる作法を学ぶことに意味があるのだと思います。と、偉そうなことを書いてしまいましたが、私自身も社会人になって修士号を取得したことや、博士後期課程に在籍しているのは、本当に脳の省エネや、将来の不安との向き合い方に役立っていると感じています。周りにも、卒業後も聴講制度を使ってブラッシュアップを継続してい方が沢山存在します。


*もしも、学び直しをしたくなったら、どう行動に移すべきか?

 しかし、社会にもメリットが多いはずのリカレント教育が日本が諸外国に比べて浸透してないのは、日本の社会人間での理解が足りないことがあるでしょう。そこで、もしもリカレント教育を検討し始めたら、これを行うと決断しやすいということを、周りの知人の知見を集めながら下記にまとめておきます。

①家族の説得:家族のサポートや理解がないと、学び直しの壁は高いです。学び直しの時期に期限を付けることや、将来の収入にどう繋がるかを言葉にする必要があります。家族への感謝の気持ちもぜひ言葉に!

②会社の説得:自費で学び直しや進学をしている会社員の方は、同僚からの完全理解より、自分の将来設計を優先し、いざとなったら転職している方も少なくなかったです。

③体力:学び直しの期間は予想外に、体力を使います。健康的な生活を、いまから心がけて。

④学術と実社会の行き来:学術分野に進学される方は、最初は学術領域の学びが実社会に活かせるか不安に感じる方もいるようです。しかし、直ぐに役立つ物は、直ぐに陳腐化します。社会科学全般での理論研究を、まずは考える軸として向き合い、実際に社会人経験の中で課題意識を持った仮説に対してデータで検証するという流れをとることで、理論のすごさや、脳の省エネ間を実感できると思います。

と、ここまで読んでくださりありがとうございます!

応援いつもありがとうございます!!

今月も、大学院の課題や論文でぐったりしそうですが、皆さまのおかげで精進できます。こうして学べる環境に感謝です!いつもありがとうございます!

崔真淑(さいますみ)


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