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人生100年時代と介護とキャリア

介護と仕事の両立のために

人生100年時代と言われるように平均寿命が延び、高齢化社会が深刻化するなか、介護の問題は日に日に大きくなっている。働き盛りの40代で親の介護問題に直面する人もいれば、早いと孫世代が曾祖父の面倒をみなくてはならない事態も珍しくなくなってきた。介護負担が大きくなる中で、「ヤングケアラ―」という言葉もみられるようになった。本来大人が担うと想定されていた家事や家族の介護を18歳未満の子供が担うことだ。
介護の負担が大きく、キャリアを諦める人も多い。仕事との両立ができず、介護のために離職したり、非正規雇用となって収入を大きく減らす。当然、そうなると自分の老後の備えをするどころか、結婚や家庭を持つことも難しくなる。
そういった介護による犠牲を少なくするためにも、企業には柔軟な働き方を広げるように政府主導で働きかけが行われている。介護休業の推進もその文脈の1つだ。

介護休業は特効薬ではないが必要なステップ

介護にかかわる問題は簡単に解決できるものではない。正直に言って、介護休業制度をどれだけ推進したとして、介護をする人々の負担を軽減することに大きく寄与はしないだろう。例えば、現在の介護休業の仕組みの多くが、「子供が親の面倒を見る」というモデルから脱却できていないのが課題だ。両親と祖父母の両方の介護をしなくてはならない孫世代やヤングケアラ―、子供がいない高齢者の存在など、介護にはさまざまなケースがあるものの、そういったケースは頭にない。
もし祖父母の世代が100歳を迎えた時、その子供世代は70~80歳代になる。孫世代は50代前後だ。55歳の役職定年のタイミングで大きく収入を落とすことが多いため、祖父母世代と親世代を収入が下がった50代の孫が面倒をみなくてはならなくなる。下手をすると、社会人になったばかりの曾祖父の世代が金銭面で介護を支えなくてはならない事態も出て来る。
加えて、男性よりも女性のほうが平均寿命が長く、女性が専業主婦だと男性に先立たれた後で年金だけで生活することができないケースも増える。補助があるといっても、高齢になると病院の通勤代は馬鹿にならず、認知症が始まると入居する施設の費用もばかにならない。
介護休業の制度が広がることで、助かる人が大勢いることもたしかだ。しかし、介護休業だけでなんとかなるほど、介護にかかわる問題は簡単ではない。介護休業をまずは広めつつ、多様な状況に対応できるように、次々と対策を講じる必要がある。しかも、スピード勝負でもある。日本社会の高齢化は急速に深刻さの度合いを増している。歩みを止めるどころか、歩みの速度をゆるめることですら致命的になりかねない切羽詰まった状況に私たちは置かれている。

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