複業人材を迎え撃つ、言葉の壁と乗り越え方
セミが鳴き始めたなと思う2015年の夏に、当時、正社員として働いていたランサーズと、新しく正社員として働くガイアックス、2つの会社の雇用契約の書類にハンコを押した。
それ以来、私は、複業人材
「日本初のダブル正社員」という言葉に、誰もやったことがないなら、出来るかどうか。自分自身がやってやろう!という高揚感と、「でも、実際はどうなるんだろう」という不安の2つがあった。
その夏からずっと、私は、複業人材である。雇用先は変化しているが、複業人材である。
#複業人材を生かす組織とは ?と聞かれたら、そんな5年間の経験を振り返って、”異文化をリスペクトできる”組織だと思う。
コロナで加速する複業文化
2019年のトヨタ自動車の豊田章男社長から飛び出した「終身雇用難しい」という言葉から少しずつ複業は大手企業でも受け入れられ始めているように感じる。
そして、必要に迫られる社内のデジタル化や、コロナ禍による事業の転換、そして給与削減など、更に多くの要因が絡み合い、結果として、『複業人材』の受け入れが広がっている。
そして複業人材の活用に関しては、民間企業だけでなく行政にも広がっている。元ナンパ師の公務員がいることで有名な長野県塩尻市は、民間に席を置く人材7人が、副業限定で特任CxOが就任した。
複業人材を迎え撃つカルチャーショック
大手企業や、地域経済を基盤とした組織の中に、複業人材が入ってくる。すると、いつも使っていた「言葉が通じなくなる」ことが多くある。
例えば私の場合。
複業を開始してからの数ヶ月間、私は『アジェンダ』という言葉が仲間に通じていなかった。それにも関わらず使い続けていた(涙)
私は現在、複業先として人口6万人弱の富山県南砺市に位置する社団法人の仕事をさせてもらっている。毎月開催する定例会は、地域の若手経営者が集まる貴重な時間だ。
その打ち合わせの冒頭で、私は、参加者のメンバーに『アジェンダの用意をお願いします』と伝えた。すると、相手は突然難しそうな顔をし始めた。
私は、『何か変なことを言ったのかな?』と思いつつ打ち合わせを続けていた。気にしていることを忘れそうになっていた会議後の休憩時間、私は難しい顔をしていた相手に『何か変なこといいましたか?』と聞けるタイミングが合った。
すると、彼は『アジェンダ』という言葉が分からなかったという。
分からないので、結果、何をしていいかわらず。そして、その瞬間に聴くこともできずに、後で御手洗いに離席した時に調べていたという。
『むしろ私が(わからない言葉を使って)すみません。』
複業先では、そのように思う機会が本当に多くある。
どんなに小さくても、それぞれの組織や、経済圏で使われている独自の言葉がある。仕事の進め方も違う。
複業人材が、新たな組織でコラボレーションを生もうとするも、うまく行かないのはこのすり合わせができていないからだと、心底思う。
地域の言葉が、複業人材に伝わっていない
もちろん、その逆もある。
例えば、先日は富山の方が話している『萬蔵』という単語の意味が分からなかった。話の文脈からは『萬蔵(まんぞう)=町内会費』と想像していたが調べてみると、それ以上の意味を持つ言葉として使われていた。
そして、謎な言葉は、他にもたくさん!
このような地域ならではの言葉が会議の時間に、ピュンピュンと飛び交っている。
打ち合わせの時間は、聞きたいけど聞けないという瞬間が積み重なっていくのが現実で、その結果、想いをかけたプロジェクト自体が動かなくなることもある。
使っている言葉については、いずれかが正しいとか、優れているというものはない。人が話す言葉の日本語かフランス語かに優劣がないように。仕事場で話される言葉が<IT業界の言葉>なのか<地域社会の言葉>なのかに優劣はない。
大切なのは、使う言葉ではなく、それぞれの文化をリスペクトした上で同じ成果を目指すため、お互いに歩みより続けるという姿勢なのだ。
相手の仕事文化に歩み寄ること
だからこそ、私は、#複業人材を生かす組織とは?と聞かれたら”異文化をリスペクトできる”組織だと思う。
相手が使う言語を自分の中で変換しつづけること。知らない言葉は聞き続けることが大切。最初は恥ずかしくても結果、それが一番の近道だと思う。
企業にはそれぞれの企業色がある。大きな組織であればあるほど、企業文化は独特で外部の人ににとっては戸惑うことが多い。
だからこそ、複業人材の活用に関しては、相手方は国籍が違うんだぐらい思って受け入れていくことが大切だと。自身の経験をもって思ったりする。
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