久しぶりに海外に出てみて感じた、コロナ禍の"世界"と"日本"
2年半ぶりの海外出張に行ってきました。2020年頭に行った最後の出張もヨーロッパで、イタリアの同僚に会いにミラノに行き、出国した数日後にミラノがロックダウン、そしてその後ドイツ・フランスを訪問したのですが、フランスから帰国するときにガスマスクのようなものをつけている人がいて「大事になってきた・・・」と思ったのをよく覚えています。
一方で帰国した日本、羽田空港は何もなかったかのような状態。でもそこからどんどん事態が悪化し、もう二度と海外に行くことはないのではと思う時もありました。
Plug and Playのマーケティングチームは、シリコンバレーの本社を中心としつつ、スペインのバレンシアという都市に半分くらいのメンバーがいます。毎週シリコンバレー・バレンシア・日本を繋いでのミーティングは、3つのタイムゾーンで唯一なんとかなる時間として、シリコンバレーは早朝(7:30)、日本は深夜(23:30)(ちなみにバレンシアは16:30)という枠で行っています。ディスカッションに時間が必要でも、全員が揃っての長時間の時間確保は難しく、「会えたら早いのにね・・」とよく話をしていました。
そして・・・ちょっとずつ事態は変わってきて、スペインは入国後の隔離はなくなり、また3月には日本の水際対策も緩和され、3回目のワクチン接種をしていればスペインの場合は帰国後隔離がない・・!ということでそろそろみんなで集まりたいという話を具体的に進めることに。
5月の方がいいかな?いや、それぞれの拠点でのイベントの予定を考えると7月かも・・という話をしつつ、またいつどう事態が変わるかわからない!という話になり4月に決行する事に。
昨年本社に行ったメンバーや、水際対策が緩和されるまでに出張されていた方の大変な話を聞いていて、それよりは・・・と思っていましたが、まだまだコロナ禍の出張。
出国前のPCR検査もそうですが、スペインの場合は事前に個人情報や搭乗便や滞在先の情報、ワクチン接種の証明書などをウェブサイト or アプリで登録をしQRコードを予め発行しておく必要があります。でも、実はそれさえ発行しておけばあとは空港でそのQRコードをスキャンしてもらって入国手続き完了。出国前の航空会社のカウンターの方がチェック厳しかったと思います。乗り継ぎのドイツでも書類のチェックだけでEU入国手続きは完了。あれ、コロナ前と一緒・・・!と衝撃を受けました。
ちなみにこちらが乗り継ぎのドイツの空港の様子。もちろんマスクはしていますが、20:00頃で沢山人もいて、お店も全部空いていてまさに"通常営業”状態。今回、ロシア上空を回避するためにルートが変更になり、ウィーンを経由して給油後フランクフルトに、というルートだったため早朝の出張だったのでお店は全部閉まっていたのですが、通常も閉まっていると聞いていて大きな違いを感じました。
ちなみにスペインは屋外ではマスクはしなくてもよく、屋内に入るときだけ。久しぶりのマスクなしの外歩きは不思議な感覚でした。2022年の1月頭に33万人の感染者数がいたとのことですが、今は1日平均1万人ほどの新規感染者が報告されているそう。データを見るとばらつきがあり、4/11は5万人弱で、日本の13日の報告数の5万人強と比較すると同じくらいです。日本ではマスクも消毒も徹底化されています。下記のロイターが発表している各国のデータ、とても興味深いです。日本にいると日本の感染者数のデータだけが目に入ってきますが、世界で何が起きているのかを見ることも大事。見てはいたつもりですし、チームでも各国の状況などを共有し合うので知っている方だとは思っていたのですが、改めて見るとそして現地で体感すると”全然見ていなかった”事に気付かされます。
ちなみに日本と海外の違いをより痛感したのは帰国してからです。なんというかとても日本らしい、ということを感じました。今回帰国のために経由したドイツに入国するために出発72時間前にPCR検査を受けて陰性である必要があるのですが、日本に関しては日本政府が定めたフォーマットでの陰性証明書が必要になります。これを取得するのが結構大変で、バレンシアではなくバルセロナに移動して検査を受けての帰国になりました。
また、さらに大変なのが帰国してから。聞いてはいましたが、飛行機を降りてから入国審査まで数時間かかります。指定アプリがダウンロードされているかチェック→必要書類のチェック(ファストトラックを利用するために予めウェブサイトで登録していても同じ書類に記入が必要だったりします)→検査を受けるための器材を受け取るチェック→検体採取→検体を提出して移動、結果が出るまで待つ・・・・・という感じなのですが、何度もパスポートチェックがあり、書類のチェックもあり、そして空港内を沢山移動する必要があります。私は一人だったからいいですが、ご家族での移動や海外から出張で来られた方は対応に苦労されていました。
オペレーションに携わられている方々のスピードは丁寧で早く、またきっと日々改善されているのだと思います。3時間〜5時間かかる、と聞いていましたが到着便が少ない時間だったこともあり私は1時間で入国できました。また、引き続き感染者数が横ばいであることを考えても、水際対策として必要なことではあると思います。当事者からすると海外のように簡略化されているといいな、と思いますがそんな簡単なことではないことは理解しています。
それでも。この”日本らしさ”が本当にいいのか、あれだけDX(デジタルトランスフォーメーション)と言っている中で人海戦術での対応が適切なのか、考える必要な機会なのではないかと思います。一緒に待っていたドイツからの出張者と話したら「今は仕方ないしここは”日本”だからね」とある意味諦めてもらっているような感じがあります。でもそうやって外を見ずに、自分達らしさだけを追求していったらどうなってしまうのか。日本が世界の様々な選択肢から外れてしまうのではないかということを心から危惧した出来事でした。