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ビジネスコミュニティの生存確率を高めるKPI設定と4つのポイント

昨今ビジネスにおけるコミュニティづくりは事業づくりにおいて1つの重要な取り組みになってきています。

コーワーキングスペースなど「場」のコミュニティを醸成するコミュニティマネージャーも新しい仕事として注目を集めるようになっています。コミュニティマネージャーがコミュニティに参加する人をつないでいくことで、様々な出会いを生み、その中から新たなアイデアやビジネスにつながるようサポートしています。場づくりをコミュニティづくりと捉えることで施設の魅力向上につなげているのです。

こうしたコミュニティがビジネスにおいて注目される流れの中で「どのようにすればビジネスコミュニティを継続していけるのか」という相談を良く受けるようになりました。

今回はビジネスにおけるコミュニティづくりにおいて生存確率を上げていくのはどうすれば良いのか考察したいと思います。

コミュニティづくりは最初のKPI設定が肝

ビジネスコミュニティを立ち上げたけれども、上司が変わったり、予算が縮小されコミュニティの継続が困難になるケースは多く発生します。様々な要因があるわけですが、まず大切なのはKPIの設定を間違えないことです。KPIは企業や組織の目標達成のために実施する日々の活動の具体的な行動指標のことを示しますが、このKPIが会社からの期待値となるため、設定を間違え会社の期待値とズレが生じるとコミュニティの継続が困難になります。

拙著「コミュニティづくりの教科書」内でも書いておりますが、ビジネスコミュニティにおけるKPIは下記5つがあると考えています。

1. ブランディングKPI : メディア掲載数、SNSの反応数、自社ブランドへのリーチ数など
2. エンゲージメントKPI : コミュニティ参加者の満足度(NPS)、参加者のアクティブ率
3. インフルエンサーKPI : インフルエンサー、メンバーの人数
4. コラボレーションKPI : 社内・社外とのコラボレーション数
5. 営業KPI : 売り上げ増加額、イベント開催数、動員数

コミュニティのKPIにおいて、初期のタイミングでは1-4を中心に考えるのが良いでしょう。売り上げの増加に短期的につながりにくいコミュニティ醸成においては初期に営業KPIを追いかけてしまうとコミュニティが出来る前にKPI未達で継続が困難になるのです。

詳しくは「コミュニティづくりの教科書」内で書いておりますが、ビジネスにおいて営業KPIは分かりやすく最初に設定するケースが多いのですが、まずは「ブランディングKPI」「エンゲージメントKPI」「インフルエンサーKPI」「コラボレーションKPI」など間接的な効果を測るKPIの設定から始めることをオススメします。

コミュニティの生存確率を上げる4つのポイント

KPIを適切に設定した後、コミュニティ醸成をしていく上で生存確率を上げるための4つのポイントがあります。

1. コストをかけ過ぎず少ない予算で運営する
2. イベントなどの活動を赤字にしない
3. 上司や、経営陣に対し活動の成果をシェアする
4. 管理部門など社内に仲間をつくる

これら4つのポイントを意識しながらコミュニティ運営していくことでビジネスコミュニティの生存確率は上がっていきます。

1. コストをかけ過ぎず少ない予算で運営する
まず、ビジネスコミュニティ活動のコストですが、特に初期の頃は出来るだけ予算をかけずに運営しましょう。上記で記載の通り、コミュニティ活動は短期での売上増加にはつながりにくい為、業績の悪化など外部要因により会社全体の予算縮小が必要となった場合、予算が大きい場合に活動の停止の判断となる可能性が高くなるのです。

2. イベントなどの活動を赤字にしない
イベントも赤字での運営が続くと、活動縮小もしくは停止の判断につながる可能性が高まります。ただし大きく黒字にすることを目的にするのではなく、ポイントはプラスマイナスゼロで運営することです。

3. 上司や、経営陣に対し活動の成果をシェアする
ビジネスコミュニティの活動をKPI含め上司や経営陣にシェアし、理解を得ることもとても大切です。コミュニティ醸成の期待値、活動の意義の共通認識を社内でしっかり持てると、活動のプライオリティが下がりにくくなります。

4. 管理部門など社内に仲間をつくる
そして実は大切なのが社内での仲間づくりです。コミュニティづくりはマーケティングチームが担当していた場合、例えば経理チームに活動に対しての理解を得ているとイベント開催時の謝礼の支払いや経費の管理など心良くサポートしてもらえますし、総務チームと連携出来ていれば会場の手配などサポートしてもらえます。また経営層など決済者の巻き込みも重要です。例えば開催するイベントに経営層に参加してもらったり、登壇してもらうことで活動への理解を深め、応援する側になってもらうことも大切です。
社内の仲間を増やすことで想定外の動きがあった時の対応もしやすくなりコミュニティ活動が円滑に進められるようになるのです。

縦と横の連携を意識しよう

KPIのくだりで書きましたが、まずはKPIを正しく設定し、自分たちと会社が同じ方向を向くようにすること。そして社内にコミュニティ活動への理解者、応援してくれる人を増やしていきます。社内の縦と横の連携を意識し活動を続けていくことで生存確率が上がり、地に足をつけてしっかりとビジネスコミュニティを醸成していけるようになります。

畳むことも悪いことではない

今回はビジネスコミュニティの生存確率を高める方法について書きましたが、コミュニティを畳むことは決して悪いことではありません。ビジネスのフェーズによっては、コミュニティ活動の目的を達成し役目を終えることもあります。また目的やビジョンが変わることもあります。そのような場合にはコミュニティに参加してくれたメンバーとのコミュニケーションは丁寧に取り、コミュニティを畳みましょう。この部分に関してはまたの機会に詳しく書こうと思います。

正解のないコミュニティ醸成

色々と書きましたが、コミュニティ醸成において分かりやすい正解があるわけではありません。皆さまそれぞれのコミュニティに即したKPIや活動のポイントがあると思います。色々なKPIやアクションを試しながら、皆さまのコミュニティが育つ方法を是非見つけていただければと思います。

コミュニティづくりをどのように事業の成長につなげるかについては拙著「コミュニティづくりの教科書」にも書いておりますのでよろしければご覧ください。

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