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コーポレート部門は進化する

大企業のコーポレート部門と言えば、従来はなんとなく営業から煙たがられる存在であり、優秀だが「現場を分かっていない」テクノクラート集団と見られたり、悪くすればアドミ業務の親玉だったりと見られることが多かった。しかし、この位置づけは25年近くクライアントとして大企業を見てきて、今昔を比べると非常に大きく変わったと思う。

いまだにコーポレート部門を必要悪のように見なしているとすれば、その認識は更新が必要だ。地政学やサイバーを含むリスクの高まり、労働市場の流動化、ITソリューションの進化、アクティビストを含む投資家コミュニケーションの高度化、デジタルチャネルによるフィードバックの加速など、少し前には考えられなかった激流に企業はさらされている。「じゃあ、わが社はどうするの?」に答える役割が、コーポレート部門には期待されている。

具体的に見てみよう。

例えば、国境をまたがるモノの移動にまつわる移転価格や関税の最適化といったトピックは、従来財務部門やその中のタックスチームがごく地味に粛々と手掛けていたものだが、昨今の関税戦争により、俄然、注目を浴びることになった。最新の知識をもって戦略的に、グローバルな関税の視点からサプライチェーンを組むアドバイスが求められる。

このように新しい知識を常にオペレーションに反映するためには、外部専門ファームへの一部外注も有効なオプションだ。故に、コーポレート部門にはそのようなサードパーティーとの付き合いや目利き能力が必要となる。

このように専門的かつ外部に開かれたコーポレート部門の人材を育成したり、外部から採用したりするためには、新しいマインドセットとプログラムが必要だろう。専門性に加え、社内外へのコミュニケーション能力が高いことが必要条件となる。

財務、人事、IT、法務、PR、IRといった伝統的な本社組織に場合によってはサステイナビリティやデジタルといった領域が加わり、コーポレート部門は変化の激しい外界に能動的に対応し、社内組織を引っ張る経営陣の懐刀とならなければならない。このようなコーポレート部門を持つか否かは、これからの企業の競争力を左右するだろう。

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