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失敗の捉え方で、企業の成長が決まる

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

変化の激しい時代をどう生き残るのか? 未曾有の災害やパンデミック、ついには戦争など、近代史をみても稀にみる出来事が立て続けに起こっています。そんな中で企業経営に携わるみなさんは毎日のようにこの質問を自身に投げかけているのではないでしょうか。

先日人気のポッドキャスト番組である「COTEN RADIO」で財閥の歴史編を聞いていたところ、とても面白いエピソードが紹介されていました。

日本を代表する財閥のひとつ、住友。とあるグループの上席執行役員の方が過去70年間の社長の訓示を読んでいたところ、どの年にも出てくる「共通のセリフ」があったそうです。それが「今は変化の時代である」という一節。つまり、経営とは以下に変化にしなやかに対応しながら売上を上げ続けるか。この1点に尽きるのかもしれません。

変化に対応するということは、これまでやってきたことを惰性でやり続けるだけでは難しいということです。だからこそ、最近でもオープンイノベーションや業界の枠を超えた協業に向かう企業が多くあるのでしょう。なにか新しいことを仕掛ける。その中に次の時代の成長のドライバーが隠れています。

しかしながら、新しいことというのは失敗することを意味します。100%やったことがヒットすることなどあり得ないからです。一流の打者であっても、そのヒット率は30%あまり。10回勝負して、3回当たるかどうかです。では、残りの7回は失敗だったのでしょうか。

わたしは、ここにイノベーションのヒントがあると考えています。つまり、失敗をどう捉えるかということです。うまくいかなかった7回の勝負は決して無駄なものではなく、次はこうやったらどうだろう? バットの振りをもう少し早くしてみるか、はたまた初動を早めてみたらどうだろうか。真剣勝負をしたからこそわかる「感覚」の積み重ねが、貴重な学習経験として蓄積されていくのです。

よくある話として、開発の失敗があります。この点について、以下の記事は非常に示唆に富んでいると思います。

「開発の失敗が誰の責任か(追及して)とがめるかって?あり得ない、そんなのナイストライに決まっている」――。最近の取材で、最も記者の印象に残っている言葉だ。

これはデジタル活用に積極的なことで知られる、ある大手流通業の最高デジタル責任者(CDO)を取材した際に出たコメントだ。インタビューの話題が過去のシステム開発プロジェクトの失敗に及んだ際、上記のような発言があった。

日経電子版

犯人探しを優先しない組織運営、上司のメンツを潰すような発言が憚られる職場。最近では心理的安全性という言葉もすっかり浸透したと思いますが、自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる状況はとても重要です。別にこれは、文句や不平不満をいつでも誰にでもぶつけて良いという話ではありません。心理的安全性は組織の生産性をより上げるために不可欠な要素のひとつです。建設的な意見を自由に発言できることが、組織や会社をよりよくするために必要であるということです。

誰しもがバイアス(偏見)に囚われています。私たちは自分が見たいように見ますし、理解したいように理解する傾向があります。そのことが、物事の正しい認知をする上で障害となりますし、特に失敗や自分の欠点にはなかなか目が向きません。例えば特定の上司だけが自分の考えだけを反映して意思決定をするとどうなるでしょう。まさに正しい意思決定は難しい状況になります。

これをよりよくするためには、他者からのフィードバックが最も効果的です。役職や権威に左右されることなく、あらゆる意見・フィードバックを受けて自身の情報を更新して拡張していく。すべての失敗も貴重な学びの機会であるというマインドセットが、成長するために必須の企業カルチャーと言えるでしょう。

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タイトル画像提供:YUJI / PIXTA(ピクスタ)

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