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物価のピークアウトは本当か

欧州の経済成長は、物価がピークアウトした感が出たため、低位でも上方修正に向かっている。物価については、1月のHICPエネルギーの項目が前月比1%低下したこと、家計の基調的な電力・ガス料金が暖冬や再生可能エネルギー源による発電の拡大を追い風に大幅に下落したこと、などが働き、一時期に比べて物価の煮詰まり感がなくなってきたことは確かだ。

とはいえ、インフレ状況はまだ続くと見るべきであろう。

第一に、これら指標に単月で実施したような措置や各国のエネルギーに関する還付打ち切りなどを反映していないことがある。ドイツは12月にのみ、ガス料金還付を行ったが、この先その反動があるかもしれない。また、同じく、フランスの会計向けガス料金の15%の上限引き上げや、スペインの燃料小売価格に対する1リットル当たり20セントの還付の打ち切りも物価高に寄与する可能性はある。

第二に、ピークは近いにせよ、コア財価格上昇率が12月の6.1%から1月に6.4%に上昇していることがある。サプライチェーンの大幅改善や需要の鈍化、強いベース効果にも関わらず、の上昇は懸念しておくべきである。

第三に、企業行動がコアインフレ率の上振れリスクにつながるかもしれないことである。企業は過去12か月コスト増に見舞われたが、それを賄うため、価格改定を実施した。他の条件がすべて同じとなれば、インフレ率は機械的に押し上げられる。また企業は投入コストの低下を消費者に還元するまでにタイムラグを意識的に作る可能性もある。

こうしたことから、簡単にインフレ圧力がなくなるわけではなく、それがECBの政策判断にも影響を与えうることも見ておきたい。

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