従業員の生産性の源泉となる"チーム力"は管理職にかかっている
チームリーダーは、企業における生産性において、大きな役割を担っています。
日本企業における「管理職」は、一定の給与水準に達して残業代管理から外れる人を指すことが一般的です。ただし、言葉の持つ意味合いから考えると、「管理職」とはチームを率いるリーダーを指す方が自然です。
日本人の生産性は低く、やる気もない
2019年における日本の労働生産性は、トップのルクセンブルクの3割程度で世界では34位となっています。これは、高所得国の中では最低水準になります。
世界各国の企業を対象に、従業員の仕事への熱意度の調査をしているギャラップ社があります。
ギャラップ社の2017年の調査では、日本における「仕事に主体的に取り組む人」は全体の6%にとどまり、やる気のある人の多さは世界139カ国のなかで132位と、残念な結果になっています。
生産性はチームに依存している
ギャラップ社で組織について研究をしているマーカス・バッキンガム氏が、最近『仕事に関する9つの嘘 NINELIES ABOUT WORK』を出版しました。
この書籍では、高い生産性と業績を上げるのに必要な要因を、大量調査から導き出しています。その内容は、これまで組織の常識として考えてこられたことと、大きく異なります。
全部で9つの常識が覆されているのですが、私が最も衝撃を受けたのは「どの会社」で働くかよりも、「どのチーム」で働くかの方が大事であるという事項です。
なぜ、チームが重要なのかは、従業員が何を高く評価すると業績が上がるのかと明確な相関のある8つの項目を見ると理解できます。
1. 会社の使命に貢献したいと心から思っている (会社)
2. 仕事で自分に期待されていることをはっきりと理解している (チーム)
3. 所属チームでは価値観が同じ人に囲まれている (チーム)
4. 仕事で強みを発揮する機会が毎日ある (チーム)
5. 私にはチームメイトがついている (チーム)
6. 優れた仕事をすれば必ず認められると知っている (チーム)
7. 会社の未来に絶大な自信をもっている (会社)
8. 仕事でつねに成長を促されている (チーム)
1番目と7番目以外は、チームの外からは干渉のしづらい項目、つまりチームがどのように運営されているかで決まります。
従業員のやる気を引き出し、好業績の創出を期待するのならば、チーム項目を高めていかなければなりません。リーダーがいなくても、自然に高まっていくなんて、そんな偶然に期待するのは楽観的に過ぎます。チームリーダーは大きな責務を担っているのです。
リモートワークでは、仕組化が求められる
日々、仲間が同じ空間に集まることができれば、リーダーはチームの状況を観察し、適切な対応をとることもできるでしょう。
しかし、リモートワークでは入手できるチームメンバーの情報量が減少してしまいます。気軽に雑談したり、期待を伝えたりできていた環境が失われます。
そのため、これまで随時で行っていた会話を、定期的なOne on Oneとして設定するなど、上記のチーム項目を意識した明示的な仕組みづくりが求められます。
試行錯誤を行って効果的な仕組みを模索する大変さはありますが、もともと日本企業は上手くやれていなかった領域なので、危機を機会と捉え、挑戦を続けていきましょう。
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