カルティエ社長兼CEO EC売上高3倍 中国で回復早く 富裕層の消費動向
第22回日経フォーラム「世界経営者会議」(主催=日本経済新聞社、スイスのビジネススクールIMD、米ハーバード・ビジネス・スクール)で仏カルティエ・インターナショナルのシリル・ヴィニュロン社長兼最高経営責任者(CEO)は「ブランド戦略:激動の時代をどう乗り越えるか」についての講演をしました。そこから富裕層の動向などを考察します。
ラグジュアリーブランドの業界では、第一回目のロックダウンにより、店舗を閉めざるを得なかったのですが、EC売上高が3倍に伸びたということです。
その際にはロジスティックも含めたITにこれまで以上の投資をしたということです。また、インスタグラムなどが好きではない顧客もいるので気を使ったようです。
そしてロックダウンが解除され、顧客がすぐに戻ったということです。経済の回復は中国が1番早く、アジアが早く回復をしました。
中国の人は日本に来てラグジュアリーブランドを購入することが好きでしたが、今年は国内で消費をするという購入の場所が変わりました。
シンガポールのマリーナベイサンズではカルティエなどの高級ブランドもオンラインで購入ができ、もしくは定員とSNSで連絡をして、デリバリーサービスもありました。
また、ロックダウンが解除されるとCHANELやルイビトンなどのラグジュアリーブランドは人数制限もあり、列になり並んで店舗に入店を待つ人の姿が見られました。
どこにも行けないので余ったお金が高級ブランドやファインダイニングに向かったのです。シンガポールではGotoイートのような飲食助成はありませんが、急にランチの予約をしようとすると、何十件かけても満席ということがあります。
富裕層の資産と消費動向
ラグジュアリーブランドの株式に関してはロックダウンの際に売却をした富裕層の資産管理をするファミリーオフィスもありましたが、ロックダウンが解除され買い戻すこともあったようです。
また、テック系を中心とした米国の株高などにより、富裕層の資産が大きく増えました。
保有資産が10億ドル(約1060億円)を超えるビリオネア(超富裕層)の総資産額は、世界的な新型コロナウイルス危機にもかかわらず、今年、過去最高を記録しています。スイス金融大手UBSと国際監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調べ。
また、旅行に行けないということでその資金がラグジュアルジュエリーに向かったということです。より安全に消費をしたいという心理からだそうです。また、ネットフリックスでの韓国ドラマ『愛の不時着』人気からヒロインユン・セリ 役のソン・イェジンが持つラグジュアリーブランドバッグ、洋服、時計やジュエリーが欲しいというニーズも生まれたとシンガポールの店員さんから聞きました。
ジュエリーは何十年と長く使え、価値が変わりにくいということがあります。パーティーなど用の洋服を控える代わりにジュエリーを購入した人も多いようです。
業界の再編に関してはLVMHがティファニーを買収するニュースがあったものの、その他は進みそうではなく、CHANELやHERMESなどは独立を維持するだろうということです。
ラグジュアリーブランドの中でも勝ち負けは明確でチャンピオンブランドはより売れて、中途半端な価格設定だと難しいようです。