デビルマンからAIへ 人類が追求する能力外在化の冒険
石器時代から始まるテクノロジー、デビルマンのデーモンの合体能力、そして現代のAI。人類が能力の外在化を追求する冒険として眺めてみます。
テクノロジーと能力の外在化
テクノロジーの始まりは石器時代とよく言われます。『2001年宇宙の旅』の冒頭を思い出します。そこにある物を、道具として扱うこと自体は、人以外の生物も実践していることです。しかし、その物を磨き上げ、更なる機能向上を目指すバージョンアップに余念がないところは、人独自の営みと言えるのではないでしょうか。
ここで使われるテクノロジーは、能力の外在化と呼べるものです。
閉塞感を打破する三つの鍵
僕は、閉塞感が嫌いです。今日できないことは。一生できない。今日できることも、いずれできなくなる。この尻すぼみの状況こそが閉塞感だと考えています。その逆はと言えば、今日できないことが、できるようになる未来を信じられること。今日できないことが、できる明日が来ると思えること。その可能性こそが、閉塞感の真逆と信じています。
1:一人でできないことであれば、誰かと手を組めばいい。
2:能力が足りなければ、道具を使えばいい。
3:自分ができないことができる人と対話したり、新しい道具を使うためには、学び続ければいい。
この3つがあれば、閉塞感を打破できると信じています。
石器からAIまで
先のテクノロジーは、この2に当たるものと思うのです。能力が足りなければ、道具を使えばいい。肉を切り裂くことができなければ、石器やナイフを使えばいい。空が飛べなければ、飛行機を使えばいい。宇宙に行けなければ、ロケットを使えばいい。調べる時間が足りなければ、検索エンジンを使えばいい。思考の時間が足りなければ、AIを使えばいい。
時代は、確かに、新しいフェーズを迎えています。
デーモンと人類
1970年代に『デビルマン』という漫画がありました。小学生の頃に原作の漫画を読み、大きな衝撃と影響を受けた作品です。機会があれば、ぜひお読みいただきたいです。
この作品には、人類以前に地球に存在していたデーモンという種族が登場します。このデーモンは、合体能力を持っていました。蝙蝠と合体すれば、蝙蝠の能力を身につけられます。鷲と合体すれば、鷲の能力を身につけられます。鮫と合体すれば、鮫の能力を身につけられます。しかも、複数の合体を繰り返すことで、それらの能力を複合的に身につけることができるのです。そうして、それらの合体した生物の複合的な能力と姿を持った、特異な姿と能力を持つユニークな存在となっていきます。
それはまるで、クリスパーキャス9技術で促進するバイオトランスフォーメーションを先天的能力によって実践するようなものです。
能力の内在化と外在化
デーモンは、言ってみれば、能力内在化の極地とでも呼べる存在です。
我々は、真逆の、能力外在化の極地なのかもしれません。
冒頭の『2001年宇宙の旅』では、人工知能HAL9000が登場しました。僕たちは、論理的思考の一部の外在化に成功しつつあります。
2023年になって、まさか1970年代の漫画に登場したデーモンとの対比を考えることになるとは思いませんでした。能力の内在化と外在化については、様々な観点から整理する必要があるのではないでしょうか。