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「女性が働きやすい」ということ。

資生堂で働いている、というと「女のひとが働きやすいんでしょ」とよく言われます。なのに気の利いた返事を返せたことがない私。
それは会社の業務部門が多岐にわたり、会社全体を自分が語るには迷うこと、そして何より「その人の働きやすさとは何か?」は千差万別であると痛感しているからなのです。

女性の生き方は、多くの選択肢から常に迫られる

図式化したのが下の記事内の「現代女性のライフコースの木」。(後輩くんが教えてくれました)出版が2002年なので、今の女性たちの木は枝がさらに複雑に増えているはず。

結婚・出産・育児など本来は私的なことであり、業務とは無関係。しかし特に女性は働き方とどうしても絡んでしまうため、その時点で価値観や働きやすさは千差万別になるわけです。(本当は男性だって、私的なことで生き方を変える選択肢があるのに、なかなか見えてこないのは、男性の生きづらさかも)

今回は私の個人的なケースを基にですが、この会社にいると日々考える「女性の働きやすさ」について書いてみようと思います。

産休育休介護休、で今に至る

私は産休育休2回、さらに介護休業2回という満載状態で今に至ります。特に介護休業の時は事態が突然で、取得するか悩みましたが(リモート勤務で行けるかと思ったが頓挫)、周りの皆さんが快く背中を押してくれました。労働者として当然の権利かもしれません。それでも実現できたのは、突然ふりかかった私の仕事を代わってくれる同僚がいたからです。さらに言うなれば、資生堂だったから、大手だったから、という身もふたもない事実でもあると思うのです。

実はまだ我が家の状況は不安定。できれば中断と再開が容易であることは、今の私の働きやすさには大切です。フリーランスのほうがよいのかもしれません。一方不安定な家庭だからこそ、定期収入や安定した雇用や制度が何よりも大切でもあります。この時点ですでに何か破綻している。でもそれが人生というもので。そして一度辞めたら、また戻ることは今の日本社会ではとても厳しいことも知っている。だからとにかく諦めず続けようと今に至ってます。

そんな不安や問題は日本中で起こっていて、凝縮している記事。

いま私は本当に運がよかっただけで、仕事を続けていられる。でもその先、明日ですらどうなるか分からない。

休みたい人が休める、戻りたい人が戻れる社会へ

「代わってくれた人がいた」と書きましたが、実際決して潤沢に人がいたわけではありませんし、どの企業もこの時代、ギリギリの体制であるはずです。育児世代への援助はありがたいものの、本当はもっとシンプルに「休みたい人が休める」「戻ってきたいとき戻って来れる」社会であってほしい。それこそ公的な仕組みの援助がほしいと切に思います。
「マミートラック」問題も、仕組みの援助と会社と本人で働き方についての丁寧なすり合わせがあればもっと改善したはずで、それを面倒くさがってひとくくりにトラック内に放り込むのは乱暴な話です。

私視点で、資生堂のよかったこと

冒頭で女性の生き方の多様さに言及しましたが、会社では働く女性の生き方に沢山ふれることができました。それは資生堂全体の良さとして語れることかもしれません。

一人を神格化せず、自他の部門、様々な先輩たちのそれぞれの長所や反面教師を自分なりにつなぎ合わせられた。頼れる「心の姉」と思っている人たちがいるし、妹たちにもできることをしてあげたいと思う。そんな出会いは、会社生活を続けられた理由のひとつです。こういうニュースって結構強引だなと思ったものの、とにかく女性の絶対数を多くして見える世界もあるのかもしれない。

「女性が活躍する会社」の役割とは?

資生堂は、女性側の制度整備はベストを尽くしたともいわれています。それでも制度の隙間からこぼれてしまうケースがあったり、そこからさらにどう女性がキャリアアップを目指すかの課題もあります。ただ資生堂の女性だけが頑張ろうとしても無理で、男性社員、家族、周りの人たちまで波及しないと、社会は変わらないと思うのです。

うれしかったのは、他社の友人が「資生堂はこういう制度がある」と会社との制度改定の交渉に使ってくれたこと。結局実現には至らなかったそうだけど、他社で実現している事例は、新たな扉を開ける大きなきっかけにもなるはず。こんな動きが日本中で起きるために、資生堂が利用してもらえれば本望だと感じました。次は男性育休100%に向けて動いています。

男女ともに「新しい働き方」を発信すること、世の中に問いかけ続けること。それが資生堂の役割のひとつかもしれない。そう思って今回書いてみました。さてまた来月。お気軽に立ち寄っていただければ!



ここまで読んでいただきありがとうございます。 読んで、少し心がゆるんだり、逆にドキッとしたり、くすっとしたり。 おやつ休憩をとって、リフレッシュする感じの場所に ここがなれたらうれしいです。