文系・理系というバイアスがイノベーションを阻む
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
大学入試も佳境を迎え、今年も多くの受験生が将来を切り開くために頑張っていることと思います。最後まで悔いのないように実力を発揮できることを願っています。
進路と言えば、最近では様々な専門性をもった学部・学科が新設されています。私が客員教員を務める武蔵野大学では2021年春に「アントレプレナーシップ学部」を開設。次の時代を自らつくりだす起業家の育成に特化した学部として注目を集めています。
このような学部は、文系なのか理系なのか。ふと疑問が浮かびます。なぜならば、多くの高校では1年生のときに文系コースか理系コースかを選択する必要があるからです。そして、数Ⅲは理系コースでしか学ばないことが多く、大学入試の際に理系学部を志望する場合は数Ⅲを履修していないとエントリーすらできません。実務的には、かなり早い時点でどっちの方向に進むのかを自身で決定する必要があるわけです。
この問題について指摘している記事がこちらです。
そもそも日本で文系・理系が分けられるようになったのは、大正時代の1918年。第二次高等学校令が発布された時とされています。理系教育に必要な実験器具が高額で、学生数を絞らざるを得なかったという背景があります。つまり、予算の都合という大人の事情が働いただけです。現在も工学や先端科学などでは高価な実験器具が必要になりますが、コンピューターサイエンスなどではPCとクラウドがあれば相当高度なことも学べますので比較的低予算でも可能です。前述の記事が指摘するように、予算の都合でできたシステムが意欲ある学生の未来に影を落としていることは大きな機会損失でしょう。
このような課題感からか、大学側も改革を始めています。東京大学では文理融合の新課程を27年秋入学から創出するとのことです。秋入学となっている時点で、海外からの留学生の受け入れを強く意識していることもわかります。
このような新しい教育は今後の日本がイノベーションを創出する基盤となるでしょう。ビジネスの現場では国際的な競争の激化やデジタル技術により、業界自体の再定義が必要となっています。AとBとかけあわせて新しい価値を創造する「新結合」の重要性が増しています。
既存のバイアスに囚われず、新たな視点で未来を描くことができる人材。そして、それを実装できる企業・組織が今後の主役となっていくことでしょう。
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タイトル画像提供:tadamichi / PIXTA(ピクスタ)
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