家事のシェアが必須な『女性ワンオペ禁止特区』ができたとしたら
『家事のシェアサービスが広がれば、男女共同参画社会はつくれますか?』
先週、内閣府の男女共同参画の調査官の方にこんな問いをもらった。
1.シェアの広がりと、変わらない固定概念
内閣府の男女共同参画の調査官の方は、毎年発行する調査のため、「家事×シェア」のイベントを主催した私達のところに取材に来てくれた。
「家事×シェア」はどのようなものがあるのか?
「家事代行×シェア」における動向や普及の現状は?
いろいろな視点から、(いい意味で)根掘り葉掘り1時間半の質問をうけた。
そして最後に
『家事のシェアサービスが広がれば、男女共同参画社会はつくれますか?』
と問われ、わたしは答えられずに考え込んでしまった。
そして、そんな時に、ある人の熱のこもった言葉を思い出した。
それは、子育て家庭でライフキャリアを学ぶ人材育成プログラムを企業・大学で展開しているスリール代表の堀江敦子さん(通称:あっちゃん)の言葉。
(右から2人目:男女共同参画の有識者会議のメンバー務めるあっちゃん)
2.仕事も、家事も、子育ても。”無理ゲー”な社会を生きる女性たち
これまでの日本経済は、男性が働き、女性が子育てや家事をすることで、回ってきました。
これからの日本経済は、女性も働きに出る家庭が増えていく。しかし、家事や子育ての負担が従来のまま女性に期待されている風潮があります。
女性が働きに出ていくことは悪いことでは有りません。
でも、核家族が進む日本で、
従来の長時間労働もまだまだ是正されていない中
働きに出ていく女性が、継続して家の中でも「女性だから」という
自分の母親と同じような役割を担おうとするのは
「無理ゲー」なので、絶対にしないでください。
何度でも言います。
仕事も、家事も、子育ても女性が頑張ろうとするの状況は
「無理ゲー」です。
そんな状況は絶対に作らないでください。
「仕事も、家事も、子育ても女性が担っていく」
そんなことを実現した国は、過去に一つも存在しません
メディアや、雑誌などがつくる
スーパーウーマンに自分を重ねないでください。
そう、彼女は、何度も「仕事も、家事も、子育ても女性がになっていく状況を”無理ゲー”(攻略不可なゲームのこと)だと、熱量を込めて伝えていた。
3.増えるワーママと、下がりゆく幸福度
彼女の言葉の現状を証明するような、切ないデータがある。
日本の女性の幸福度を20年近く研究している慶應大学の調査結果では
子どもがいる働く妻の場合、
仕事を抱えているうえに、家事・育児負担を一手に担うため、
幸福度が相対的に低くなっていた。
という。
やりたい仕事もできて、愛する子供もいる。
しかし、実際は、周りから期待される「母親像」や「できる女性社員像」などを感じながら、家事、育児そして仕事も担っているため、幸福を感じられる余裕あなっているというのだ。
4.自分のための時間がなかった先輩ワーママたち
知り合いの女性(59歳)からは、その具体的な話を聞いたことがある。
定年間際の彼女は「子供も手が離れて、定年も間近、第二の人生がとっても楽しみ」という。そんな彼女に私は「定年後、何をされたいんですか?」と無邪気に聞いた。
すると彼女は、何秒か黙り込んだあとに「就職して子供が生まれてから、仕事と子供のために働いたから、自分が何をしたいかわからない。趣味もないし。でも、それを今から作るの」と言った。
もちろん、家族のために自分の時間を捧げる幸せもある。
しかし、20代から60歳になるまでの40年間、自分が何をしたいのか考える時間もないほど、周りの期待に答え続けた時代というものは、少し切ないなとも思った。もし彼女が自分の母親だっとしたら「”自分”が楽しいと思う人生を生きた」と言ってほしいなと思った。
5.どうすれば男女共同参画社会はつくれるのか?
そんな言葉の数々やデータを思い出しながら、
『家事のシェアサービスが広がれば、男女共同参画社会はつくれますか?』
という言葉に対する答えをわたしは考え続けた。
今、考え続けながら思うことは、
『(家事のシェアサービスを導入したとしても)従来の価値観の延長に、男女共同参画は、無理ゲーだ』ということ。
家事のシェアサービスは、もう過去、数年存在している。
しかし、それを使う人がまだまだマイノリティー(少数派)なのには、家事は母親が担うものという先入観がある。
あるデータでは、「ベビーシッターを使用したいと答えた人が”58.6%”もいたにも関わらず、実際に利用した人は”5%”に留まっている」といういう。
先入観と、軽く一言で言うけれど、この価値観はギチギチに私達の手足をしばっている。それほど氷山のように大きく、根深いものなのだ。
実際に(私達が行うセミナーでは)参加者に、シェアサービスを利用するハードルは何かを聞いてみると、多くがこころの問題にひもづくものだ。
・家事のシェアを使いたくても、旦那が嫌がるんです
・なんだかサボっている気がして、罪悪感があるんです
・(私がしているように)お願いできる人が見つかるか不安なんです
6.処方箋は、女性ワンオペ禁止特区
どんなに家事のシェアサービスが増えたとしても、女性が、それを担うものという固定概念がある限り、男女共同参画の社会は、まだまだ桃源郷に聞こえてしまう。
そんな現状に対する『男女共同参画のための処方箋』として、私が最終的に思いついたのは、共働き家庭での女性ワンオペ禁止特区を創ることだ。
小さい子が、事故の時に自分で自分の身を守れというのが無理ゲーで、チャイルドシートの導入が義務化されたように。
子供がいる共働きは、全てを各家族の家庭内で賄おうとするのは無理ゲーなのだから、家事のシェアを導入することを義務化すればいい。
長くかけてつくられた固定概念は、それと同じぐらい長い時間をかけて解きほぐす必要がある。しかし義務化となれば、そのような時間を一瞬で短縮できる。
この固定概念は私達の子供や次の世代に引き継いではいけないことは多くの先輩ワーママたちが気づいていると思う。
だからこそ、スピード感持って男女共同参画を実現するために、『女性ワンオペ禁止特区』をつくり、その地域で実証実験をしてみるのはどうだろうか?
「罪悪感」とか「周りの目」とか言っている時間がゼロになり、毎月、必ず月1万以上は、掃除、洗濯、作りおきなど誰かの時間をシェアしてもらい、自分の時間を作らなくてはいけないというふうに思考が切り替わる。
そんな経験を1回でもすることで、共働き家庭は「頼れる人がいる!」「頼らなくてはいけないんだ」と気づくきっかけになるはずだ。
子供がいない私は、まだまだ想像力や経験が足りないのかもしれない。それでも、これが『どうすれば、男女共同参画社会はつくれますか?』という問いについて、私がたどり着いた一つの解だった。
先輩ワーママのみなさん
みなさんだったら、
『どうすれば、男女共同参画社会はつくれますか?』という質問にどう答えるでしょうか。
また『女性ワンオペ禁止特区』ができたとしたら住みたいと思いますか?
ぜひ、いろいろな人に聞いてみたいなと、夜空の満月を見ながら考えた一日でした。
#男女共同参画 #シェアリングエコノミー #ワーママ #スリール
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