本当に「データが許した」のか~疑問符だらけの英マスク着用義務撤廃
ジョンソン英首相の最近の動きは人気取りのためだけに照準を合わせているように見え不甲斐ない。
英国政府は来週1月27日からのコロナ規制緩和を発表した。具体的な変更点は以下の通りである。第一に、在宅勤務推奨の解除である。現在は、可能な限り在宅勤務を推奨する、というのが国の方針だったが、それが解除される。第二に、公共施設内でのマスク着用義務の解除である。第三に、映画館、劇場、ナイトクラブなどの大型娯楽施設に入る際のCovid passの提示義務の撤廃だ。
現在残っている規制は、コロナテストの陽性が判明した時点で、10日間の自主隔離が義務(テストの結果次第では7日に短縮可能→新しい方針では5日に短縮可能)となっているものである。しかしながら陽性者の隔離も、3月24日の当規制終了時に撤廃する方針。感染者の状況によっては規制解除を早める予定で、その場合、コロナ陽性でも症状がなければ隔離義務がなくなることになる。
早急に正常化することが、ジョンソン首相の言う「データが許した」のなら問題はないのだが、何となく、自らの進退問題をかき消すためのパフォーマンスに見えてしまい気持ちがよくない。ジョンソン首相の首相官邸でのパーティーに関して、日に日に批判と退任を要求する声が強まっているのは事実。自身で制定した法律を犯し、パーティーをやっていたとなると、国民からの反感が強まるのも当然である。1月16日に発表された世論調査でもそれがはっきりわかる。YouGovでは労働党の支持率40%に対して保守党は29%、Politicoでは労働党40%に対し保守党32%と、いずれも10%程度労働党が保守党の支持を上回っている状況である。保守党内部でもジョンソン首相を擁護する声は少なく、退任を見据えているという憶測さえ出ていると言う。
そんな中、起死回生の一打を打ちたいジョンソン首相が国民受けしそうな「マスク着用義務撤廃」。本来、政策は人気取りであってはならない。必要なことなら、不人気でもやらなければならないはずだが、現状のジョンソン首相が何を言っても信ぴょう性に欠けてしまう。国民をバカにしてはいけない。