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IKEAの戦略から学ぶ、 リアルとデジタルの繋ぎ方

今日はIKEAの戦略変化から、来年以降の戦略ヒントを探っていきます。

最初に:IKEAの出店戦略が変わってきている

IKEAの出店戦略が変わってきています。

日本では、都心への店舗出店を強化。

イケア原宿に続き、冬には渋谷のスクランブル交差点近くに「イケア渋谷」を開店する予定。今後も都心型店舗を展開する予定で、都会を意識した日本発のコレクションの投入で消費者の獲得を狙う。

原宿、新宿に続き、2021年春には「新宿」に新店舗オープンを予定しているそうです。

以前のIKEAの特徴は、郊外の超大型店舗(1店舗あたり売上は100億円と言われていた規模)。家族で車に乗って出かけて、大量に箱に詰まった部品を持ち帰る→家で組み立てるスタイル。

・郊外→都心
・大規模→小規模
に変化してきている。

実は、IKEAは、日本だけではなくグローバル全体で小規模の店舗フォーマットを開発しています。新時代に適応する店舗として戦略的に仕掛けているようです。

IKEAの新たな仕掛けから学べる『次世代小売業のマーケティング』についてポイントを整理していきます。

ポイント3つです。

①リアル店舗はブランドの世界観を伝える場とする
②リアル店舗は未来の顧客とブランド接点をつくる
③デジタル・ECとの連携・役割分担が鍵

①リアル店舗はブランドの世界観を伝える場とする

IKEAの渋谷店は、壁のいたるところにIKEAのコンセプトや、社会的なメッセージが貼られています。

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1Fにはスウェーデンフードマーケットも入っていて、北欧の暮らし・思想を体験できる仕掛けが至る所にされています。

D2Cブランドと当たり前のように言われていることですが、店舗体験=ブランドの世界観を伝える機会と捉えることが、ますます重要になってくる。

小売店舗が活用できるメディアとしては、現実のショッピング空間こそが、最も強力で直接的な影響力を持つ極めて重要な存在になるだろう。

②リアル店舗は未来の顧客とブランド接点をつくる

メディア化する店舗は、特定のセグメントをかけるのではなく、未来の顧客も含めてコミュニケーションをとる場と捉えるべきだと考えています。

IKEAは1Fにカフェがあり、家具を購入しない若者も出入りしています。

店舗は購入してもらう場ではなく、『ブランドの世界観を体験する場』

店舗はセグメントをかけ過ぎずに、未来の顧客を含めてコミュニケーションをとり、ブランド接点をつくる場として捉えると良いのではと考えています。

ブランディングの科学に書かれている、
・マーケターはユーザー獲得→シェア拡大に集中せよ
・ライトユーザーを無視せず、全ユーザーの認知シェアを獲得せよ

を店舗を通じて実践するイメージです。

③デジタル・ECとの連携・役割分担が鍵

小型店舗となると、IKEAの郊外大型店舗と同じ品揃えを実現することは難しいです。
それでもECとの連携が取られていれば全く問題なしです。

IKEA渋谷店舗でも、ECやアプリへの導線が店舗内にたくさん貼られています。

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店舗とECは連動しつつも、下記のように役割分担する流れになると予測しています。

・店舗では主要、王道商品を販売する
・ECではロングテール商品を販売する

小売業の巨人ウォールマートも同様の流れです。

D2Cブランドを買収→若年層や高所得者層向けの商品はECで販売→店舗は従来の低価格商品(エブリデイ・ロー・プライス)

こちらの記事に詳しく掲載されています。

2021年以降の出店戦略はどのように変わるか?

IKEAから学ぶ、リアルの世界とデジタルの繋げ方を整理してきました。

①リアル店舗はブランドの世界観を伝える場とする
②リアル店舗は未来の顧客とブランド接点をつくる
③デジタル・ECとの連携・役割分担が鍵

IKEAからの学びを他の業界にも活かしやすいよう抽象化します。

・リアルな場(イベントや対面営業)では世界観を伝える
・リアルな場は今すぐ顧客だけではなく未来顧客含めコミュニケーション
・オンライン連携して、細かいニーズにはデジタルで適応

小売に限らず、全ての業界において、リアルとデジタルの役割と繋ぎ方を考え直すことは必須です。

顧客体験が大きく変わる中で、特定のチャネルハックだけではブランド価値をあげることは難しくなってきています。
各体験をつなぐ・統合してブランドの認知・好意度を高める思考を忘れないようにしたいですね。

本日は以上となります。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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