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中国の地図アプリ高德地图が神アプリに。天空から全て見られてるのではと実感する宇宙ビジネス時代

最近、中国の国民的地図アプリ「高徳地図」が一段と便利になったことがネット民の間で話題になっています。

この凄さ、文書や画像では伝わらないと思いますので、まずはこちらの動画を見てください↓

死角や追い越ししそうな場面でのアラート機能などが神アプリと評価されています。

上記の動画の中に出てきたように、例えば、山道の一本道で対向車が来て、ヒヤッとした経験がある方も多いと思います。片側一車線で前のノロノロ車を追い越ししようとするとなおさら。しかし時代は変わりました。高徳地図のナビをオンにしていると「対向車線にトラックが来ているので、追い越ししないで」とアラートをあげてくれます。

画像:IT之家のキャプチャより

また、信号がない交差点でのアラートも素晴らしい。

画像:IT之家のキャプチャより

事故が起きるNo1スポットの交差点。とくに信号機がない交差点は中国でもけっこうありますが、信号が無いにも関わらずブラインドになってしまっていたり注意を怠ったときが危ない。動画の例に出ていたのは、右から車が来ているがブラインドで気づかないケース。進化した高徳地図のナビは、「右側から車がきているので注意して」と警告を伝えてくれます。

さらに、地味に便利だと話題になっているのは信号機があと何秒で変わるかを表示してくれること。これは高徳地図が中国各地の交通警察機関とのデータ交換によるもので、AIを活用しながらアルゴリズムでスマート交通を構築するプロジェクトの成果の一つだそうです。

(画像:高徳地図オフィシャルWeiboから)

実感としてわかるかと思いますが、信号が切り替わるまであと50秒あるなとわかっていれば、その間に車の中でちょっとした片付けを終えて、あと5秒くらいのタイミングで発進する準備を整えておく、といったことができます(運転に集中しなさいというご意見はあるかと存じますが)。好評なのです。

「高徳地図」のナビがここまで進化したのには色々な要因があります。一つは高徳地図ユーザーがとても増えたこと、そして使っているユーザー間のデータが共有されるようになったこと。

上記の対向車アラートなどはあくまで相手の車両も高徳地図を利用している環境に限られます。利用している全車両の位置情報を把握していて、死角状態で接近している状況を発見すると関係車両にアラート信号を送るという仕組み。かなり多くのドライバーが高徳地図アプリを利用していることがカバー率の向上につながります。

そして、もちろんナビの精度やディレクションを正確に行ってくれたりのレベルがどんどん高まっていることも利用者が増加している要因。

高徳地図は、中国が独自開発した北斗衛星航法システムも積極的に取り入れてます。2024年9月3日にリリースされた最新バージョンの高徳地図は、北斗衛星システムでネット接続のない時やネットのない地域でのナビと救出機能もリリースされ話題となっています。

(無人砂漠で設置された広告 画像:新摘から)

■宇宙を制するものがこれからのビジネスを制するのか

ここまで読んでこられた方の中で、高德地图は知っていても北斗地图、北斗衛星を知っている方は少数かと思います。「北斗衛星航法システム」は世界的な衛星航法システムの一つで、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のガリレオに次ぐ4番目のシステム。

↑だいぶ前にまとめてるので興味がある方は読んで見てください

実は北斗の開発は米中が技術の面での競争が激しくなった昨今よりもだいぶ前から開発されていましたが、その経緯などは、特に日本などではほとんど報道などされていないかもしれません。

中国の報道では、今までGPSが意図的に閉鎖されたことがいくつかあることを伝えています。例えば1993年の「銀河号事件」では、運送禁止物をイランに運送しようとしたという理由でアメリカがGPSの使用を一時停止し、その結果ナビを失った船が洋上で22日間も漂っていたというもの。

日本とアメリカの関係ならいざしらず、中国がこのままGPSだけを使い続けるのは危険なのではないかの議論となり、独自の航法システム開発を進めました。2010年ごろから始まった開発で、2018年5月1日には一般向けの「北斗地図アプリ」がリリースされ、今ではナビゲーション機能に加え、位置情報に基づいた各種サービスの提供を始めています。

報道によると、中国の21の省では高精度位置特定サービスを提供していて、スマートシティ、自動運転、スマート物流などへの活用が盛んに行われいます。正直この北斗地図ナビをインストールしている人は身のまわりには一人もいないですが、高徳地図や百度地図など中国の代表的な地図アプリ大手が積極的に取り込んでいます。

記事や有識者の議論からの共有ですが、
・北斗衛星航法システムから提供されるデータでは、長年地図アプリを開発・運営している大手と連携
・広範なユーザーに対してモバイルでリアルタイムの位置特定とナビゲーション、AIやアルゴリズムをさらに活用
・衣食住行と商家情報などの位置情報に基づくサービスを提供でき、その精度も1メートル以内の範囲の高精度ぶり

と高く評価されていて、この恩恵を知らず知らずに大手地図アプリユーザーが享受しているのです。北斗地図は実際の道路状況に基づき、さらにAIも活用したルート最適化の提案を行い、移動効率を高めることができるようになったとのことで、ナビやアプリの精度向上や自動運転などには必要不可欠な域に達していますね。

宇宙開発がいかにビジネスやテクノロジーの発展にインパクトを与えるか、といった記事や議論はたくさん目にしてきましたが、いよいよ日常生活や地図アプリで実感するようになってきました。中国の宇宙開発や宇宙事業関係は今後ますます注目していきたいと思います。

(参考資料)


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中国情報局@北京オフィス
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