「在宅勤務」の議論の前に、「業務」「仕事」依頼方法の再定義を

「在宅勤務」「テレワーク」が一般用語になった

 この数か月で「在宅勤務」や「テレワーク」という言葉が、一般用語になっている。そして、何か「在宅勤務率」が低かったり、「テレワークの導入」が進んでいない企業は、問題企業のようにも感じるようになった。

 どうも、私たちは、その中身より、「形」から議論、そして実行する癖があるのではないだろうか?今回の「在宅勤務」も、会社に出社せずに、家から仕事するという形にこだわっていると思う。

「勤務」ではなく、「業務」「仕事」の定義が必要ではないだろうか?

 デジタル・トランスフォーメーションの議論でもそうだが、何か「デジタル・トランスフォーメーション」というものをやらないといけないという雰囲気が蔓延している。これも、形の議論だ。

 まずは、中身、つまり「業務」「仕事」の整理を行い、会社で勤務して行うべきこと、在宅で行えることの整理が先に必要なのではないだろうか?

 この議論・整理をすると、私たちの会社に集まって、行っていた仕事は、明確なGoalが決められていないことに気が付く。今まで、会社に出社していたのは、日々の業務内容、仕事内容が明確になっていないために、それを適宜、確認するために出社していたのかもしれない。そして、意外にもその状況変化に臨機応変に対応する人が、良く働いているという印象すらあったかもしれない。

 例えば、テレビのドラマで、「ねぇ、〇〇さん、この資料明日まで整理しておいて」と勤務終了間際に若手担当者に上司から命令され、残業するというシーンは、まさにこの典型である。しかし、テレワークでは、これができない。

「在宅勤務」の人事制度改革とともに、マネージャー改革も

 つまり、今まで私たちが会社で行っていた「業務」「仕事」は、会社に出社して、相談・確認したから行えた方法だ。ところで、その出社の頻度が下がったら、同じようにできるだろうか?であり、今後もそのように行うのか、というのは一つの判断だろう。

 今、多くの会社では、「在宅勤務」になったことによる、残業管理や、交通費の代わりの光熱費支援など、人事制度の議論が表面化しているだろう。それも、大刹那改革である。実は、それと同じくらい大事な改革は、マネージャーの業務マネージメント方法の改革だろう。在宅勤務、テレワークでの、部下への業務の伝達方法。そして、その管理周期が変わる。この改革も必要なのだろう。

 つまり、今企業に求められているのは、「在宅勤務制度」の導入とともに、「在宅勤務時代」の「業務」「仕事」の方法の確立である。上司と部下の業務の伝達方法。そして、メンバーの業務の相談方法。多くの会社では、このような業務手法が確立していない。この方法が、良くなければ、いくら人事制度として、「在宅勤務制度」を導入しても、望んでいた「会社の生産性の向上」にはつながらないだろう。

 ちなみに、伝えておくが、この私たち取って新しいマネージメント方法は、時差のある国では、常識的に知っていることである。今まで、日本という、「時差がなく、移動が便利な国」では、直面していなかった課題であることを、付け加えたい。


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