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好きなチアを続けていたら、いつの間にか……【複業にトライ③】

試合の合間に華麗なダンスで会場を盛り上げるコートの華、チアリーダー。プロバスケットボールチーム「横浜ビー・コルセアーズ」のチアリーダーズ「BーROSE」に所属するChikaさんは、チアリーダー活動を図らずも「複業」として続けている。

高校生の時に始めたチアリーダーを社会人になってからも続け、いつしかプロのチアリーダーに。昼間は食品メーカーの営業職で働いている。「お金を稼ごうと思ったわけではないのですが、チームから報酬はいただいています。でもチアを職業として生計を立てられるわけではないので、複業ということになりますね。好きなこと、やりたいことを続けていたら、いつの間にか複業となった感じでしょうか」とChikaさん。

Chikaさんがチアに目覚めたのは、新潟明訓高校の3年生の時、チアリーダーとして甲子園で応援したことだ。同校ではダンス部に所属していたが、晴れの舞台で「観客の皆さんと盛り上がる空間が最高に楽しかった」。大学はチアの盛んな立命館へ進み、木曜日以外は毎日練習か試合というチア漬けの日々。3年次にはアメリカンフットボール部がライスボウルで社会人王者を破り、日本一に輝いた。チアリーダー冥利を味わった瞬間だ。   

就職は地元、新潟の食品メーカーへ。社会人となったが、チアとの縁は切れなかった。サッカーJリーグに加盟するアルビレックス新潟のチアスクールに通ったのち、アルビレックスのオーディションを受けてプロのチアリーダーに。チア活動については会社に申請して許可を得たという。

プロとして報酬を得て活動する充実した日々だったが、ふいに大きな問題が起きた。人事異動で勤務地が東京になったのだ。毎週末、新潟に戻っていたが「交通費もかかるし、体力的にも大変で限界だった」

そして選んだのが、社会人のアメフトリーグ、X2リーグに所属するソニーのアマチュアチームを応援するアマチュアのチアリーダーという選択だった。大好きなチアリーダーではいられたが、「試合が年間10くらいしかない。なにか物足りない」。次のチャレンジ先として選んだのが「受からないと思った」有名チーム、BーROSEだった。

オーディションという狭き門を通過。再びプロに返り咲き、活躍の舞台を横浜に移すことになった。

試合でチアリーダーがコートに登場するのは、オープニングやエンディング、休憩を取ったり作戦を伝えたりするのに使われるタイムアウトの時。一糸乱れぬダンスのパフォーマンスで観客を魅了する。1回の試合でコートインする回数は、踊らないものも含めると20回前後にもなる。

試合前から最後まで、まったく気を抜くことができない緊張感を強いられる。1週間のうち火曜日と土曜日は練習、シーズン中は土曜日と日曜日が試合となる。今年11月を例にとると、試合が7日あったため、休暇はわずか2日。本業の仕事とはどうバランスをとっているのだろうか。

「私にとって仕事はあくまで仕事で、生活するために仕事をしているという意識が強いですね。本業でも楽しさや達成感を感じなくはないですが、生きる糧・エネルギーにはならないです。チアの活動は私という存在を表現する場、生きるエネルギーを得る場所かな」

Chikaさんの中では仕事とチア活動ははっきりしたすみ分けができているようだ。

「肉体的にも精神的にも追いつめられることはありますが、チアの活動はみなさんが休日に友人と食事をしたり、映画をみたりする感覚と一緒なのかも。休日の過ごし方が人より過激なだけですね」

こう聞くと趣味のようなものか、とも感じるが、Chikaさんは一方で

「興業としてのスポーツの一端を担い、プロフェッショナルな意識を持ちパフォーマンスを行っている、という観点からチアリーダーの仕事はプロであるという感じです」という。

複業とは何か、プロとは何なのか……。Chikaさんの取材を通じて、改めて考えさせられた。




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日本経済新聞社のCOMEMO担当。日経記者、デスクをへて2017年10月からCOMEMOスタッフ。※投稿する内容は個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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