「機会の限界」を知る時

日銀の「次の一手」をどう予想するかは別にして、「追加緩和」よりも「引き締め」(実際は微調整)を見込む向きの方が金融市場参加者の中では圧倒的多数派と考えられます。また、為政者としても金融システムへのダメージを看過できる状況ではないという認識は明らかに持っているように見受けられます。実際に総裁自身が口に出すと直情的に怒りだす向きがあるのでMPMでその旨を連呼することはありませんが、折に触れて要人発言からも「このままでは行けない」という空気は感じます。既に地銀を中心として緩和の副作用が看過できないものとなっており、若手層を中心として人材流出も加速していると聞きます。これまでQQEの副作用が大きく問題になってこなかったのは、ある程度現場が耐えてきたからという側面もあるでしょうが、いよいよヒトが減り始めているのだとすると由々しき事態です。悲惨な収益実態は各種報道を見れば分かるでしょう。銀行部門の収益はマクロ経済情勢に追随するものであって、経営の工夫は必要であれども、「機会の限界」が存在することも事実です。この辺りの重要性がそろそろ周知されるフェイズに入ってきているのではないでしょうか。

なお、記事中、米欧に遅れて日銀の緩和が長引く・・・という記述がありますが、ECBの経済・物価情勢とて、とりわけ正常化を肯定できるようものではありません。結局、日本よりもさらに深い「▲0.40%」というチャージが存在することが憂慮されているという側面があるのでしょう。過剰な緩和が金融システムの安定毀損に繋がるのではないかという論点はもう少し社会的関心が高まっても良い論点に感じます。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32467600Q8A630C1MM8000/

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